スムーズなステアリングフィールを実現する電動パワーステアリング「DPA-EPS」が高評価を得ているショーワ。その新登場からわずか3年、早くもその第2世代を展示して注目を集めていた。●TEXT&PHOTO:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)
今やショーワの電動パワーステアリングの顔の一つとも言える第1世代「DPA-EPS(デュアルピニオンアシスト電動パワーステアリング)」が登場したのは2015年。その卓越したステアリングフィールは市場から高く評価され、「シビック タイプR」や「ロードスター」に採用された。
今回展示されていたのは、その第2世代「DPA-EPS」。高応答・リニアリティの高いステアリングシステムであり、高出力化(従来比5%アップ)と業界最軽量(従来比20%減)を達成しており、2020年以降に量産する予定であるという。
あのカーボン製フレームが…… [人とくるまのテクノロジー展2018横浜]
第2世代に採用された技術的な要点を、四つの要求項目に対応する形で紹介しよう。
第一の要求項目"高応答・高リニアリティ"達成のため、ギヤ効率最適化設計による減速機構の滑らかな特性と温度依存性低減を含めたフリクション特性向上を実現。さらに独自開発した操舵力制御技術を採用した。
第二の要求項目"高出力に対応する高効率なシステム"達成のため、ギヤ部の強度向上と制御により、減速機構の強度と耐久性を向上させた。具体的には、減速機構の諸元見直しと最適材料の選定によるギヤの高強度化が実施されたほか、制御の最適化により高イナーシャ荷重を緩和している。
第三の要求項目"業界最軽量化"達成のため、トポロジー最適化設計とショーワ内製薄肉鋳造技術の融合による軽量化ハウジングの製品化と、中空構造の圧接ラックバーなどの軽量化技術を採用。これにより従来システム比で約20%もの大幅な軽量化を達成している。
第四の要求項目"機能安全ニーズに対応した冗長システム"実現には、トルクセンサー冗長化対応(4ch、デジタル信号化)と、機電一体モーター冗長化対応とが行われた。
その卓越したステアリングフィールが高く評価された第1世代から更に進化した第2世代は、どんなクルマに採用されるのだろうか? 今から楽しみだ。
ショーワの注目出展物はこれだけではない。ベルトドライブ式ラックアシスト電動パワーステアリング「BRA-EPS」にも、人だかりができていた。コチラは、例えて言うならば、北米を走る総排気量3~4Lほどのピックアップトラックを始めとする大型車向けを想定した製品だという。
開発が加速する自動運転技術を搭載した車両では、高出力化、高度な信頼性や冗長性、省燃費化、低騒音化などがEPSに求められる。これら要求に応えるためにベルトドライブ式ラックアシストEPS(BRA-EPS)を開発しているという。汎用モーターを用いながら、ベルト駆動とボールスクリューを組み合わせることで高出力を実現。フェールオペレーションを想定した高度な信頼性や冗長性を実現するとともに、トポロジー最適化でハウジングを軽量化し、車両の高効率化にも貢献するという。2023年の量産化を目指している、と明言していることから、今後開発が加速して行くに違いない。
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