ルーキーイヤーからの連覇達成。トヨタ平川亮「2年前には想像もできなかった」／WEC最終戦

　11月4日（土）、バーレーンのバーレーン・インターナショナル・サーキットでWEC世界耐久選手権2023年最終戦となる第7戦『バーレーン8時間レース』の決勝が行われ、TOYOTA GAZOO Racing（TGR）の8号車GR010ハイブリッドが今季2勝目を挙げて2年連続でのドライバーズタイトルを獲得。7号車が2位で続き、TGRは今季4度目のワン・ツー・フィニッシュでシーズンを締め括った。

　セバスチャン・ブエミ／ブレンドン・ハートレー／平川亮の8号車はポールポジションからレースをスタートし、一度もそのポジションを譲ることなくトップでチェッカーを受けた。これにより、3人は2年連続でのWECドライバーズタイトルを獲得している。

　ブエミとハートレーはWEC史上新記録となる4度目のチャンピオン。平川はハイパーカークラスへの参戦開始から2年連続でタイトル獲得となった。

　マイク・コンウェイ／小林可夢偉／ホセ・マリア・ロペスの7号車は、スタート直後の1コーナーで追突され大きく順位を落としながらも、見事な追い上げを見せ、2位でチェッカーを受けた。彼らはランキング2位でシーズンを終えている。

　現地時間14時に始まったレースでは、7号車のスタートドライバーを務めたコンウェイが、前述のアクシデント後すぐに追い上げを開始。スタートから35分ほどでプジョー、ポルシェ勢を次々とかわしトップ5へ浮上していった。一方、その間に首位を行くブエミの8号車は安定した速さを見せ、追うフェラーリの2台に対し大きなマージンを築く。

　コンウェイは最初のルーティンピットまでに50号車フェラーリと38号車ポルシェをかわして3番手へとポジションアップ。さらに交代した可夢偉が51号車フェラーリをオーバーテイクし、7号車は2番手を取り返した。

　首位8号車はその後、ハートレー、平川、そして再びハートレーとつなぎ、2番手の7号車はロペス、可夢偉とドライバーを交代しながらフィニッシュを目指した。チェッカー時、ハートレーは7号車に対して47秒あまりのギャップを築き、8号車にとっての今季2勝目を挙げ、ドライバーズタイトルを決めた。

　ハイパーカークラスのライバルが増えた2023シーズン、TGRは7戦中6勝とル・マン24時間以外のすべてのレースを制し、4度のワン・ツー・フィニッシュを達成。5年連続でマニュファクチャラーズ／ドライバーズのダブルチャンピオンを獲得した。

　TGRからWEC第7戦に挑んだ6名のドライバーのコメントは、以下のとおり。

■小林可夢偉（チーム代表兼7号車ドライバー）

「シーズン最終戦でワン・ツー・フィニッシュを達成し、最高のパフォーマンスを見せて締めくくることができました」

「7号車のタイトル獲得は叶いませんでしたが、素晴らしい仕事を成し遂げた8号車の全員を祝福します。今季もずっとチームメイト同士の僅差の戦いが続きました。今日のこの素晴らしい結果は、ミスすることなく戦い続けたチームとドライバーの努力の賜物です」

「パートナーと日本の関係者の皆様の多大なサポートに感謝いたします。そして、もちろんここまで我々が強くなるように支えてくれたモリゾウこと豊田会長、佐藤社長のお二方にも感謝しています」

「今年は多くのマニュファクチャラーとの激戦となる中で、我々のチームとクルマの強さを証明することができました。このような形でシーズンを締めくくることができたことは、間違いなく我々全員にとって誇りとなります」

■マイク・コンウェイ（7号車）

「複雑な感情の湧くシーズンエンドとなった。今レースはチームメイトの後方からのスタートで、少しでもポイントを挽回するつもりだったが、スタート直後のアクシデントでポジションを落としてしまった」

「多くの車両をパスしながらの困難な追い上げを強いられ、タイヤにも負担をかけてしまった。ベストを尽くしたが、今日は2位が精一杯だった」

「タイトルを勝ち取った8号車を祝福したい。彼らの戦いぶりはタイトルにふさわしいものだった。今年もハードワークで支えてくれた7号車のメンバー全員に心から感謝している。そして、常に素晴らしい仕事をしてくれたチームメイトの可夢偉、ホセにも感謝したい。良いシーズンだったし、4勝できたのは素晴らしいことだと思う」

■ホセ・マリア・ロペス（7号車）

「チームにとって最高の1年だったし、全員が素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。2台のGR010ハイブリッドがすべてのレースで競い合いながらも、常にチームとして協力しあってきた。それが最も重要なことだ」

「今日のレースに勝ち、そしてチャンピオンも勝ち取ったセブ、ブレンドン、亮、おめでとう。我々の7号車も今年は何度も勝利を挙げ、その一員として戦えることができた、本当に素晴らしい1年だった」

「今日も勝利を目指し、逆転タイトルのチャンスをつかむために全力で挑んだが、1コーナーでその望みはかなり難しいものになってしまった。とは言え、そこからよく挽回したし、最終的な結果には満足している」

■セバスチャン・ブエミ（8号車）

「また世界チャンピオンを獲得でき、信じられない気分だ。本当にチームに感謝している」

「すべてが順調にいき、最後までレースとタイトル争いをリードすることができ、最高の夜になった。本当に価値のあるタイトルだと思う。もちろん、ル・マンで勝てなかったことは残念だったが、このタフなシーズンの戦いの中でチャンピオンを勝ち取れたことで、我々の強さは証明できた」

「何度でもチャンピオンは格別なものだが、今年は安定した走りで勝ち取ったタイトルだった。常に最速というわけではなかったが、困難なレースでも着実にポイントを獲得してきた。最終戦で優勝し、チャンピオンを獲得するというのはシーズンの締めくくりにおいて最高の形だ」

■ブレンドン・ハートレー（8号車）

「最高の1年だった。8号車、そして、TGRのチームの一員であることを誇りに思う。この最高のシーズンを支えてくれた全員に感謝したい」

「シーズンを通して7号車、またライバルたちとの激しいバトルを繰り広げてきたが、今日も同じだった。ラップタイムとしては、我々8号車が最速ではないこともあったので、とにかくプッシュし続けた」

「セバスチャンは今日のレースで最もプレッシャーのかかる、スタート直後の1コーナーをトップで抜けるという大役をこなし、亮と共に素晴らしい仕事をしてくれた。4度目の世界チャンピオン獲得を実感するまでにはまだ時間がかかりそうだが、本当に嬉しい」

■平川亮（8号車）

「今日のレースに勝利し、チャンピオンを獲得できて最高です」

「我々はチャンピオン獲得のために努力を続けてきたので、本当に嬉しいです。今年は厳しいレースもありましたが、常にプッシュを続け、タイトル連覇を達成することができました」

「シーズンを通して強力なライバルと、難しいコンディションでの戦いを続けてきましたが、今日のレースはいつも以上に厳しいものでした。我々は後続とのギャップを広げてそれを維持する走りを強いられましたが、タイヤの摩耗が激しく、容易ではありませんでした」

「2年連続で世界チャンピオンを獲得できるなんて、チームに入った2年前には想像もできませんでした。このチャンスを与えてくれたトヨタとハードワークで支えてくれたチーム全員に感謝します。このチャンピオン獲得という結果を、チャンスを与えてくれた皆様への感謝の気持ちとして捧げたいと思います」