積算1万4880km 普段使いで優れた燃費を発揮
3.0Lのガソリンエンジンを積み、500馬力を超え、車重2tを超えるメルセデス・ベンツSクラスが、普段使いで優れた燃費を発揮する。従来は考えられなかったことだろう。
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長期テストで乗る、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のS 580eの場合、日常的なお買い物でも感心するほどの数字が示される。実に23.4km/Lだ。夜間に充電を済ませておけば、だが。
積算1万5137km 運転する方が好きか してもらう方か
とある知人に、クルマに乗るなら運転する方が好きか、運転してもらう方が好きか尋ねられた。ロングホイールベースのSクラスに乗っている人なら、確かに悩む質問かもしれない。
ヒーターとクーラーが内蔵されたリアシートは、見た目通りの快適さ。手元にはタブレットがあり、移動時間も飽きることはない。実際、筆者の子どもは何時間でも楽しく過ごしているようだ。
積算1万6315km 最大60kWの容量で充電可能
S 580eは、サービスエリアにある急速充電器を使えば、最大60kWの容量で充電できる。一般的なPHEVの場合、家庭用充電器で7kWの能力しか持たない例も多い。
自宅まで駆動用バッテリーがもたない場合、エンジンだけで走り切るか、割高な電気料金のサービスエリアで充電するか、毎回悩んでしまう。環境への配慮を優先するなら、大きなPHEVには乗るべきではないといえるが。
積算1万9490km スパ・フランコルシャンへ
筆者の年間予定で、クリスマス休暇に並ぶ重要なイベントがある。ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催される、6時間耐久レースだ。
筆者は2004年から参戦しており、ここ11年間は1964年式のフォード・ファルコンで走っている。チームは兄と彼の息子、筆者と息子という4名体制。一生懸命取り組むから、毎年ヘトヘトに疲れる。
レースが開かれる週の水曜日に、スパ・フランコルシャン・サーキットへ入り、木曜日はプラクティスとセットアップ。金曜日が予選。土曜日が本番で、午後の4時から10時まで全開で走る。日曜日にグレートブリテン島まで戻る、という日程がお決まりだ。
この一大イベントは、長期テストのS 580eを改めて評価するのにも相応しいものだった。快適にベルギーまで移動でき、現地でのチーム車両としても活躍してくれた。今年はチームで唯一の、5シーターのクルマだった。
毎日のように、サーキットへ何人もの大人を運んだ。誰もがSクラスに乗れてうれしそうだったから、ヨシとしよう。
PHEVのS 580eで唯一の弱点といえるのが、大容量の駆動用バッテリーを搭載するため、それ以外のSクラスより荷室容量が3割ほど小さいこと。レースの装備や数日分の着替え、充電ケーブルなどを積むと、殆ど一杯になってしまう。それ以外は理想的だった。
気分も体調も優れない日の長距離ドライブ
肝心のレースは、思い描いたようには進まなかった。トランスミッション・ケースへヒビが入り、筆者が運転する直前のスティントでリタイアに終わった。
早々に荷物をまとめてS 580eでホテルへ戻り、部屋に到着すると、筆者のスマートフォンが鳴った。メルセデス・ベンツのアプリ、メルセデス・ミーが、事故に巻き込まれたことを自動的に教えてくれたのだ。
ホテルの駐車場へ慌てて戻ると、S 580eのボディには擦り傷が付いていた。大部分が磨けば消えるような薄いものだったが、リアバンパーは外れていて交換修理が必要な状態。相手が隣の区画へクルマを停める際、運転を誤ったようだ。
楽しみにしていた耐久レースを走れなかった直後に、この事故はかなり応えた。翌日、日曜日は朝4時に目を覚ましたが、今ひとつ疲れも取れていなかった。
天気が悪い中、650kmほど運転してグレートブリテン島の西、ウェールズ州の自宅へ。昼食の時間には到着できた。こんな気分も体調も優れない日の長距離ドライブに、S 580eは完璧なモデルといえた。
まもなく、この長期テストは終了する予定。小柄で軽量なスポーツカーがやってくる。
果たしてPHEVのSクラスは、従来の定番といえるディーゼルエンジンを置き換える訴求力を備えていたのか。最後にまとめようと思う。
積算1万9849km アングルシー・サーキットへ
今週は、グレートブリテン島の西部にあるアングルシー・サーキットへ向かった。何台ものクルマを評価する比較試乗は非常に疲れる。
エキゾチックなスーパーカーも運転したが、自宅からの往復も当初の楽しみの1つではあった。世界中の量産車で最も優秀な1台、S 580eでロングドライブできるから。
積算2万314km カタログ値以上の航続距離
AUTOCARの読者ならうなずけると思うが、PHEVやバッテリーEVの公称の航続距離は、現実的な数字と大きく異なることが少なくない。日常的な運転でWLTP値の80%に迫れるなら、かなり良好といえるだろう。
ところが、S 580eは更に優秀。一度の充電で100km前後走れるというのがメーカーの主張だが、先日は112kmと表示された。高速道路に乗らなければ。
テストデータ
気に入っているトコロ
癒やされる車内:静かで快適な車内に身を置き運転していると、疲れすら癒やされる。
気に入らないトコロ
制限される荷室:大きなボディのSクラスながら、PHEVは荷室容量が限定的。100km以上も走れる駆動用バッテリーを搭載することのデメリットといえる。
テスト車について
モデル名:メルセデス・ベンツSクラス S 580e L AMGライン・プレミアム・プラス・エグゼクティブ(英国仕様)
新車価格:11万3880ポンド(約1833万円)
テスト車の価格:11万3880ポンド(約1833万円)
テストの記録
燃費:17.2km/L
故障:警告メッセージの誤表示
出費:なし
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