この記事をまとめると
■クルマから発せられる異音は、途端に愛車がポンコツになってしまったかのように感じさせる
いつまで「ブオオオオ」を使うんだ? クルマが進化した現代に「擬音」を見直すべきだとマジメに考えてみた
■クルマから聞こえてくるさまざまな異音の代表的なものとその原因と対策を紹介
■「たかが音」とそのままにしておくと重大な故障に発展する場合もあるので注意が必要だ
クルマから発せられるさまざまな音には耳を傾けよう
中古で購入した10年落ちの国産クーペ。エンジンのフィーリングは最高だし、チューニングしたサスペンションはしっかり動いてくれて運転が楽しい! 買ってよかったとしみじみと実感にふけっていると、オーディオから流れる曲の合間の無音のときに、なにやらセンターコンソールの奥から「カカカカカ……」と細かい音が聞こえてくるのが気になる。
せっかくいい気分に浸っているのに、この音のせいで、調子よく感じていた愛車がなんだかポンコツの入り口に立ってしまったかのように残念な気分が芽生えてしまう。
何台も乗り継いできた人なら、こんな経験を持っている人も少なくないでしょう。そしてその気になる音の種類や発生する場所は、クルマによってバラバラで、原因の究明もカンタンではありません。
ここでは、そんなクルマから聞こえてくるさまざまな「異音」について、その代表的なものの原因と対策を探ってみようと思います。
■クルマの「異音」の正体はさまざま
クルマの各所から発生する「異音」は、経年劣化で起こるケース、ネジの緩みや、勘合部の摩耗で発生するもの、あるいはエンジンの振動が変化して起こるものなど、その原因と場所はさまざまです。
その「異音」の原因と対策についての代表的なケースを、発生する場所ごとにピックアップして紹介していきましょう。
エンジンまわり
エンジンから発生する異音でいちばん多いと感じるのは、回転の上昇下降の際に起こる「キュウウ~」という鳴き声です。信号待ちの発進などでこの音を発して、歩行者の興味を惹いてしまったりしているシーンをたまに見掛けます。
これは、発電をおこなっている「オルタネーター」にエンジンから動力を伝達する「ドライブベルト」の不具合が原因です。
通常はゴムの摩擦力で、エンジン側のプーリーからオルタネーター側のプーリーへと回転をしっかり伝えていますが、これが経年による劣化で表面が硬化して、摩擦力が低下して「すべり」が発生するようになってきます。一度すべると、その症状はどんどん悪化してしまいます。その結果があの「キュウウ~」という異音の原因です。
対策は新品に交換することです。ベルトは規格で決まっているので、純正品でなくても大丈夫です。
また、エンジンの側から「カカカカ……」と細かいビビリ音が発生することがあります。この多くは、排気マニホールドなどに付く遮熱板が振動でビビってしまっているのが原因でしょう。新品時は振動を吸収していたものが、サビやネジのわずかな緩みなどで吸収しきれなくなってビビリが出てしまうことが多いと思います。
このビビリの対策は一筋縄ではいかない場合が少なくありません。単に新品への交換で収まる場合もありますが、それでダメなら、ネジにワッシャーを加えてみたり、遮熱板に板重りを貼ってみたりして振動を抑える工夫が必要なことも多いと思います。
足まわり
走行中に足まわりから聞こえてくる音で気になるのは、「ココココ……」とボディを伝ってくるものです。この原因で多いものは、ホイールの回転を支えている「ハブ・ベアリング」の不具合でしょう。ベアリングは消耗品ですので、走行距離や年数で交換時期が定められていますが、使用状態によって早めに寿命が来てしまうものもあります。中の硬球やその受け皿が摩耗したり、悪路での突き上げなどによってダメージが入り、ひっかかる部分ができたときに起こる音です。
これも対策は新品への交換ですが、走りを支える重要な部分なので、音を感じたら速やかに交換しましょう。
ブレーキの「キイイッィー」という音鳴りも気になるポイントですが、これは別記事でじっくりと紹介したいと思います。
放っておくと重大な故障につながる場合だってある
車体のフロア付近
床面のフロアの下あたりから聞こえてくる異音もいくつかありますが、この部分で発する音の原因で代表的なのがマフラー関連のものだと思います。そのひとつは触媒に付けられている遮熱板のビビリ音です。触媒は排気ガスを浄化する際に、排気の高い温度を活用するため、装置自体も熱々になります。
前出のエンジンの側のビビリ音と同じく遮熱のために装着されているカバーがビビって音が発生してしまうのです。対策も前出のように一筋縄ではいかないケースもあります。
また、マフラーを吊っているゴム部品の劣化や、それを固定するボディ側のフックの取り付け部の緩みなどが原因で音が発生するケースもあります。ひどい場合はエンジンの振動を拾って振動するマフラーがフロア面と接触して「ダダダダ……」と大きな音が出てしまうケースもあります。これはそのゴム部品の交換で対処できます。
室内の異音
個人的にもっとも面倒だと思うのがこの室内の異音です。エンジンや足まわりと違って遮る部分がなく、ドライバーから近いこともあって、より明確に音が響いてくるので、気になり度合いはいちばんだと思いますし、その対策は難しい場合が少なくないんです。
いちばん多いのはセンターコンソールの奥のほうから聞こえてくるビビリ音でしょう。
センターコンソールの奥には、計器類のケーブルや固定用のステー、作動させるためのワイヤー類などが縦横に入り組んでいます。もちろん新車時は音が出ないようにきちんと固定されていますが、年数が経つとあちこちに劣化や変化が起こってきます。
たとえばオーディオやエアコンの操作パネルを固定しているビス類の緩み、または、その接合部分の摩耗によるズレが発生し、それが原因でエンジンからの振動で共振してビビリ音を発してしまうケースです。結構この原因は多く見ます。
このケースの対策は、まず音が発生している部分をざっくり特定します。そうしたらその場所まで分解して、想定される部分のビスを締め直します。緩んでいる部分が見つかればスッキリしますが、そうでないこともあります。その場合は、ビスを締め直すときにネジの緩み防止液を塗っておくといいと思います。
これで直らなかった場合は、センターコンソールや、ダッシュボードの各パネルが音の原因である可能性が高いでしょう。これもたとえば、固定しているビスの緩みで末端部分が共振しているケースも多く見られます。なかには前オーナーの脱着ミスや、振動の影響で折れてしまっている場合もあります。この補修はなかなか難易度が高いものですが、今は通販などで便利な道具や接着剤などが手に入るので、それを活用してみましょう。
また、配線やエアコン操作用のワイヤーの固定が緩んでパネルなどに当たって音が出るケースもあります。それも含めて、室内のビビリ音の対策は、とにかく発生している箇所をできるだけ具体的に確定することがキモとなるでしょう。やっかいなのは走行中のみ発する場合です。これは助手を用意して運転してもらい、自分は原因の究明に専念しましょう。
ほかにもいろいろと異音の原因や場所はありますが、共通していえるのは、「たかが音だろう?」と放っておかないほうがいいということです。異音は劣化やダメージが発生したことの信号のようなものです。そのままにしておくとどんどんダメージが進み、終いにはパーツの破損、そして足まわりなどの重要な部分の場合は事故にもつながりますので、慎重に対処しましょう。
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