アストンマーチンF1はメルセデスF1の風洞施設を使用する際、チームで異なるドアから出入りを行なうことで、機密性を確保しているという。
F1では許可されていないチーム間の“結託”にスポットライトが当たったのは、レッドブルと姉妹チームのアルファタウリの協力関係の強化にライバルチームが懸念を示したことがキッカケだった。
■アルファタウリCEO、2023年マシンのサスペンション”独自開発”は間違いと反省。「あの判断は失敗だった。レッドブルのサスを早く採用していれば」
22戦21勝のF1記録を残して2023年のダブルタイトルを獲得したレッドブルが8月以降大きなアップデートを投入しなかった一方、アルファタウリはシーズン終盤の積極的なアップデートで躍進。レッドブルが比較的苦手としてきた低速域で速さを見せ、コンストラクターズランキング最下位から8位にまで挽回した。
アルファタウリは2022年シーズンからレッドブルが持つ風洞施設を使用しており、2024年からチーム名称が改められるのと同時に、レッドブル内のシナジーをより活用するとしている。
そうした背景からライバルチームは警戒。FIAがパーツと知的財産権の共有に関するレギュレーションを両チームが遵守しているかどうかを確かめることとなった。
なお別チームの風洞を使用するのはレッドブル勢に限ったことではない。アストンマーチンは最近になって独自の風洞施設の建設が完了したが、それまではパワーユニットサプライヤーであるメルセデスの施設を使用してきた。
アストンマーチンでパフォーマンス・ディレクターを務めるトム・マッカローは、チームの協力関係がどのように管理されているかを説明し、機密性を確保するために異なる出入り口が必要だったと語った。
「FIAはかなり厳しく、多くの検査やその他諸々を行なっている。ドニミク・ハーロウ(F1技術監査主任)がチームを訪問するのだ」とマッカローはmotorsport.comの取材に対して語った。
「しかし我々とメルセデスの場合は、一方は完全シャットダウンされ、もう一方がオープンする形だ。入り口は違うし、セッションを担当する人も違う」
「だから機密保持(という点)では、メルセデスとの関係はしっかりしていると思う。FIAはその全てを取り締まるのが仕事だ」
また、レッドブルとアルファタウリの関係について、マッカローは次のように語った。
「彼らのやり方では現状、レギュレーションが許容するほど活用していない……(FIAは)あらゆる調査を求めることができる」
「FIAが視察に来たときは、完全な透明性が求められる。そして彼らは多くの検査を行なう」
「外から見ている限り、(アルファタウリは)独自の空力開発フィロソフィーを持っているように見える」
「とはいえ、(勢力図は)かなりの収斂が発生する。多分、彼らは“レギュレーションで許可されている限りのモノ(ギヤボックス、フロント・リヤサスペンション)を買う”ことになる。そこからフィロソフィーに従って開発を進めているだろう」
「彼らは同じ風洞を使い、おそらく同じCFDも使うだろう。だから見た目が似ていれば、それを使ってより競争力を高めた可能性がある」
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