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ついに発表された新型スバル WRXに暗雲!? 念願の排気量アップでもパワーほぼ据え置きの苦しい開発事情とは

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ついに発表された新型スバル WRXに暗雲!? 念願の排気量アップでもパワーほぼ据え置きの苦しい開発事情とは

<400cc排気量アップなのに出力向上はわずか3馬力>

スバルのスポーツセダン「WRX」がアメリカでフルモデルチェンジを発表しています。

>>WRX S4(生産終了)のおすすめグレードとユーザーの評価を見てみる

公開された画像をみればわかるように、まるでSUVのような樹脂製フェンダートリムが特徴的なエクステリアをもつ新生WRX。そのボディは「レヴォーグ」と同じく、フルインナーフレーム構造や構造用接着剤を採用した新世代のスバルグローバルプラットフォームで、エンジンは2.4Lの直噴ターボと発表されました。

従来のWRXは2.0Lのガソリン直噴ターボ(FA20型)だったので、排気量が増えたということでパフォーマンス向上を期待したくなりますが、じつはほとんど変わっていません。

北米仕様のエンジンスペックは次のように公表されています。
==========
最高出力:271hp@5600rpm
最大トルク:約350Nm(258lb-ft)@2000~5200rpm
==========

そしてモデルチェンジ前の2.0Lターボのスペックは以下の通りだったのです。
==========
最高出力:268hp@5600rpm
最大トルク:約350Nm(258lb-ft)@2000~5200rpm
==========

排気量が増えたにもかかわらず、最大トルクは発生回転も含めて同じ、最高出力も3馬力増えたのみです。排気量が2.4Lになったことで日本では自動車税が高くなってしまうし、ありがたみの薄いフルモデルチェンジと感じたファンも少なくないかもしれません。

<パワー据え置きの理由は高トルクに駆動系が対応できないから?>

先代モデルでも、最大トルクが350Nmというのは2.0Lターボとしては低いと評価されていました。抑えている理由は、トランスミッションなど駆動系の能力に合わせているというのが定説です。

それを裏付けるように、見たところ新型WRX(北米仕様)の6速MTはビスカスLSDをセンターデフに使う古い設計のままのようです。まして、電動化時代に新規でMTを起こすとは考えづらく、トルクを増やせないのは仕方ないことなのかもしれません。

とはいえ、ユーザー視点では排気量が増えてもトルクがそのままというのは納得しづらいでしょう。ちなみに、日本仕様の「WRX S4」(生産終了)の最大トルクは400Nmでしたが、北米仕様ほどではないにしても、日本仕様の新型WRX S4でもトルクが絞られるという噂があります。環境性能や燃費対策などは大切ですが、エンジン排気量が増えて速くならないというのはナンセンスです。

<日常ドライブでは排気量アップの効果がありそう>

もっとも最高出力や最大トルクといったスペックは、ターボチャージャーの過給圧がフルブースト状態になっているときの数値ですから、ブーストが高まっていない状態であれば排気量を増やしたアドバンテージはありそうです。具体的には、市街地での発進性やパーシャル状態からの中間加速などでレスポンスの向上を感じることができるかもしれません。

そうはいっても、最高出力の数値や発生回転がさほど変わっていないところからするとピーク性能についてはさほど変わっていないと考えるのが妥当です。スポーツカーにおいて排気量が増えてスペックが現状維持というのは商品企画としては疑問を感じます。はたして、新型WRXは世界中のファンからどのように評価されるのでしょうか。

文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)

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