現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ポルシェなら「992」より「964」が絶対に買い! 価格高騰でも30年前の空冷モデルがオススメな理由とは

ここから本文です

ポルシェなら「992」より「964」が絶対に買い! 価格高騰でも30年前の空冷モデルがオススメな理由とは

掲載 39
ポルシェなら「992」より「964」が絶対に買い! 価格高騰でも30年前の空冷モデルがオススメな理由とは

価格が急騰する前に手に入れておきたい「964」との付き合い方とは

 世界的なクラシックカー人気に後押しされる形で空冷ポルシェ911の取引価格も高騰。いまでも1000万円前後の軍資金を用意しないと、良質車をゲットできない状況が続いている。 なかでも人気なのが1989年に新世代モデルとして登場したタイプ964のポルシェ911だ。930シリーズの生産終了と同時に導入された964は、85%のパーツが新しく設計され、まず4輪駆動仕様の911カレラ4がデビューした。

1970年代に最高速366km/hの怪物! 昭和オヤジが少年時代にシビれまくった「ポルシェ935」とは

 911カレラ4は4WD機構を初めて採用した911で、搭載された電子制御式フルタイム4WDシステムは、通常はフロントアクスルに31%、リヤアクスルに69%の比率でトルクを伝達し、走行状況に応じてトルク配分を変化させた。リヤエンドに積まれた排気量3.6リッターの空冷水平対向6気筒SOHCエンジンの最高出力は250psを発揮する。 ボディは伝統的なフォルムを継承しつつ、エアロダイナミクスを最適化。これはフロントおよびリヤセクションの丸みのある流麗なラインと、可変リヤスポイラーの採用によって実現していた。

 ボディタイプはクーペ、タルガ、カブリオレがラインアップされ、1990年型から後輪駆動モデルで一番最初のティプトロニック搭載車である911カレラ2が登場。さらに1991年型からはターボモデルもラインアップに加わり、ボディが補強され、軽量化が図られたカレラRSが1992年にリリースされた。

あのポルシェの乗り味を気軽に体感できるティプトロニックを初搭載

 964の魅力は、なんといっても930シリーズっぽいスタイリングを愉しめる点で、それをティプトロニックと呼ばれるATでドライブできるのだからウレシイ。筆者の友人がアマゾングリーンのティプトロニック仕様の964に乗っており、22年ぐらい前に結構な距離を走らせてもらったが、快適かつ速すぎて、運転しながら笑ってしまったことを憶えている。

 日本国内にあった個体の多くが外国人勢の買い攻勢に圧倒されたことにより、ここ最近は964のユーズドカーは流通数は少なく、700~1700万円といった相場が形成されている。2000年代はそれなりにキレイな個体が250万円ぐらいだったので、ただただ驚くばかりだ。正規ディーラーから販売された964の約60%がティプトロニックだったといわれているが、その数字は現在の中古車市場にも反映されている。

 高価だからといって購入後に安心して乗れるかといえばそんなこともないのが中古車の宿命だが、いまでも部品が揃うのでポルシェの正規ディーラーがメンテナンスや修理を引き受けている。オーダーするとポルシェクラシックワークショップのスペシャリストたちが作業を担当してくれるのは心強い。

 また、ポルシェに強いスペシャルショップもたくさん存在しており、そちらでも純正パーツを使った入念な整備を実施してくれる。 びっくりするようなイニシャルコストがかかるが、ランニングコストのほうは恐れるほどではないので、手に入れて損しない空冷ポルシェの雄だといっていい。964は930シリーズ以上に実用車として使えるので、ティプトロニック仕様一台ですべてのことをこなしてもカッコイイだろう。

空冷ポルシェを味わい尽くすための964のメンテナンスポイントとは

【エンジンまわりのメンテナンスポイント】

 最後に、購入前・購入後の参考となるように、964ならではの注意点を列記しておこう。 まずはエンジンまわりから。1992年式以降の個体は対策済みだと言われているが、M64型エンジンはシリンダーヘッドとシリンダーのつなぎ目からのオイル漏れが持病であった。スルーボルトのOリングからのオイル漏れも多くみられるようになったが、この問題はオイルがボタボタ出始める前に解決しておきたい。

 エンジンオイルは、遅くても5000km走行時までには交換すべきだ。 ちなみに、以前ポルシェ専門の修理工場を取材した際に遭遇した964は、ガソリンが入った状態で約20年間保管されていたらしく、燃料タンクのフィルター、レベルゲージセンサー、ポンプ、リレー、ホースなどがヒドイ状態になっていた。長期保管車の再始動時はプロに相談するのが得策だ。

 クーリングファンベルトおよびエアコンファンベルトは、日頃から飛ばす人はつねにチェックしたい。オルタネーターや点火コイルも「そろそろ交換した方がいい時期かな?」と、常時考えておく方がいいだろう。また944系の物が使われているDMEリレーは、993品番の物に交換することをオススメする。

 続いてクラッチまわり。964になってからフライホイール側に振動吸収のためのシリコンの緩衝材を挟み込んだダブルマスフライホイールを採用するようになった。これは初期ロットの物に限り、トラブルが頻発したと言われているが、その後問題点は改善され、993になってからも各モデル(一部を除く)に採用されている。

 このダブルマスフライホイールは、緩衝材の寿命がみえたところで交換となるが、その際にクラッチディスクをRS用に取り替えてしまうのもアリだ。クラッチのマスターシリンダーおよびレリーズシリンダーのOリングは、ペダルの動きが渋くなったら消耗している証拠なので、迷わず交換ということになる。

【トランスミッション・デフのメンテナンスポイント】

 次はトランスミッションだ。ポルシェがA50型と呼んでいるティプトロニックは、ケースおよび中身の材質がほかのメーカー用の物とは違うらしいが、ZF製の4HP22HLというミッションであった。そのため、通常のZF製オートマチックトランスミッション同様に丈夫で、なおかつ、同じメンテナンス方法で維持することができる。とはいえ、やはりスポーティなドライビングをする機会が多いポルシェの場合、オイルの交換時期が自ずと早まってくるといえるだろう。

 具体的には、3万kmごとぐらいのペースで交換した方がよさそうで、そうすることにより寿命がかなり延びるはずだ。一方、マニュアルミッション仕様はどのようなペースでオイル交換を実施すべきかというと、社外のLSDが入っている場合は5~6000km毎ぐらいがベスト。純正LSDの場合も2万km走行時までには交換したい。もしもオイル漏れを起こした場合は、シール交換で対策するのがセオリーだ。

【インテリアのメンテナンスポイント】

 続いてインテリアは、ドアの内張り自体は比較的丈夫だが、使用頻度が高いパワーウインドウのスイッチが破損もしくは接触不良を起こしてしまうケースがある。パーツの値段はそれほど高くないが、日頃からスイッチ類を丁寧に扱うことで防げるトラブルなので気をつけたい。ウェザーストリップは紫外線に弱く、気温差が激しい日本ではとくに劣化するのが早いと言える。これは消耗部品だとあきらめ、ドアを閉めたときのキッチリ感が失われた時点で交換してしまうのがベターだ。

 雨天走行時や洗車時などにリヤウインドウ周辺から水が入ってきたら、こちらもすぐさま交換することをオススメする。まだウェザーストリップも流通しているので、パーツの入手に関して心配する必要はない。経年変化によってエアコンもダメになるが、一度に修理すると物凄い金額になるので、ひと夏ごとに点検して、少しずつ直していくのが得策だろう。さらに、パワーステアリングは重くなったと感じたら、まずはオイルラインからの液漏れを疑ってみるべきだ。

【足まわり・ブレーキのメンテナンスポイント】

 次は足まわりだ。964が新車当時に持っていた走りのフィーリングを味わいたければ、すべてのラバーブッシュを新品に交換してしまうといいだろう。もしも、それが大変だというのであれば、Aアームとスタビライザー部分だけでも交換することをオススメする。足まわりのわずか1mmの違いを計算し尽くしたポルシェならではのシビアなセッティングは、すべての要素が整ったときにこそ本領を発揮する。そういった観点からさまざまな部位を見ていくと、まず、アライメントの狂いはスポーティな走りをスポイルするので、車高調整時やフロントのダンパー交換時などには必ずチェック(修正)しておきたい。

 また、車高調整ダンパーは、964の新車当時にポルシェが提示していた基本セッティングを知り、その数値をベースとしつつ、適切な調整を行いたい。ドライブシャフトブーツの状態は、エンジンオイル交換時などにショップでチェックしてもらうといいだろう。

 続いてブレーキは、964が採用したABSはボッシュ製であったが、これがまたトラブル知らずの丈夫な逸品で、20万kmを突破しても本来の性能を失っていない物すらあるという。パッドは警告灯が点灯したら交換し、キャリパーはオーバーホールすることも可能だ。ローターは一定の厚さまでなら研磨できることを知っておきたい。 ブレーキホースおよびマスターシリンダーは車検ごとに点検。走行中に少しでも普段とは異なるフィーリングを感じたら、すぐさま整備工場へ直行してほしい。パーキングブレーキは最後の最後まで引くぐらいの感じでOK。カレラ4でブレーキの警告灯が点灯してしまうのは、プレッシャースイッチがダメになって起こる場合がほとんどだ。

 しっかりとメンテナンスした上で乗り続ければスタイルがよく、トラブルシューティングも終わっており、パーツが揃う964は今後の価格高騰の可能性や、クラシックポルシェを味わい尽くせることを考えると最新型の992よりも絶対に買いと言える。軍資金がある空冷ポルシェ好きは、こぞって早めにゲットしていただきたい。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

都内の“旧式小型バス大活躍”路線ついに廃止へ 「リエッセ」と運命を共に 西武バス
都内の“旧式小型バス大活躍”路線ついに廃止へ 「リエッセ」と運命を共に 西武バス
乗りものニュース
ディーゼルトラックをEVへ改造、国内初の量産予定車が完成 ヤマトモビリティが発表
ディーゼルトラックをEVへ改造、国内初の量産予定車が完成 ヤマトモビリティが発表
レスポンス
FIAがフロア摩耗に関する取り締まりを強化。フェラーリ、メルセデス等に加え、抜け穴を指摘したレッドブルも修正
FIAがフロア摩耗に関する取り締まりを強化。フェラーリ、メルセデス等に加え、抜け穴を指摘したレッドブルも修正
AUTOSPORT web
頭文字Dの次なる遠征先は豊田市駅前? ラリージャパン2024はイベント盛りだくさん/WRC写真日記
頭文字Dの次なる遠征先は豊田市駅前? ラリージャパン2024はイベント盛りだくさん/WRC写真日記
AUTOSPORT web
優れたラリードライバーならF1でもきっと戦える! 8度のWRC王者オジェは確信「ファンも見たいと思っているはず」
優れたラリードライバーならF1でもきっと戦える! 8度のWRC王者オジェは確信「ファンも見たいと思っているはず」
motorsport.com 日本版
新車150万円台で「5速MT」あり! イチバン安い「普通乗用車」どんなモデル? 「国産ダントツ安価」でも装備は必要十分! めちゃ“リーズナブル”な「トヨタ車」とは
新車150万円台で「5速MT」あり! イチバン安い「普通乗用車」どんなモデル? 「国産ダントツ安価」でも装備は必要十分! めちゃ“リーズナブル”な「トヨタ車」とは
くるまのニュース
“熊本~東京1300km” 電気自動車でも快適に移動できる「裏ワザ」とは? 新型「タイカン クロスツーリスモ」で体感! ポルシェらしい走りと遊び心に触れる旅
“熊本~東京1300km” 電気自動車でも快適に移動できる「裏ワザ」とは? 新型「タイカン クロスツーリスモ」で体感! ポルシェらしい走りと遊び心に触れる旅
VAGUE
[15秒でニュース]メルセデスAMG、初の電動SUVを市販化へ
[15秒でニュース]メルセデスAMG、初の電動SUVを市販化へ
レスポンス
軽自動車の6MT!! 2020年登場ホンダ[N-ONE RS]の中古ってどうなん
軽自動車の6MT!! 2020年登場ホンダ[N-ONE RS]の中古ってどうなん
ベストカーWeb
車両火災対策で「消火器」を積むなら「種類」に注意! 場合によっては人体に有害なものも存在する!!
車両火災対策で「消火器」を積むなら「種類」に注意! 場合によっては人体に有害なものも存在する!!
WEB CARTOP
エンツォフェラーリへ通じる「DNA」 マセラティMC20 長期テスト(2) 車重を測ったら1710kg
エンツォフェラーリへ通じる「DNA」 マセラティMC20 長期テスト(2) 車重を測ったら1710kg
AUTOCAR JAPAN
アプリリアの新型スポーツバイク『RS 457』、日本上陸 85万8000円
アプリリアの新型スポーツバイク『RS 457』、日本上陸 85万8000円
レスポンス
100kg軽い車重580kgのベーシック軽[新型アルト]が2026年に登場!? 軽量化と48Vスーパーエネチャージで勝負!!! 燃費は30km/L到達か!?
100kg軽い車重580kgのベーシック軽[新型アルト]が2026年に登場!? 軽量化と48Vスーパーエネチャージで勝負!!! 燃費は30km/L到達か!?
ベストカーWeb
レクサス新型「小型スポーツカー」がスゴい! “テンロクターボ”×初の6速MTを搭載! 最小SUV「LBX MORIZO RR」どんなモデル?
レクサス新型「小型スポーツカー」がスゴい! “テンロクターボ”×初の6速MTを搭載! 最小SUV「LBX MORIZO RR」どんなモデル?
くるまのニュース
ルーミーって…なんでこんなに売れてるの? どこがいいの???
ルーミーって…なんでこんなに売れてるの? どこがいいの???
ベストカーWeb
間違えると最悪車両火災の原因に! クルマのヒューズが切れたら「同色=同数値」のものに交換が必須!!
間違えると最悪車両火災の原因に! クルマのヒューズが切れたら「同色=同数値」のものに交換が必須!!
WEB CARTOP
トヨタWRC代表、勝田貴元にいよいよ“攻撃命令”。同点で並ぶヒョンデとのメーカー対決に向けて「攻めに転じる時がやってきた」
トヨタWRC代表、勝田貴元にいよいよ“攻撃命令”。同点で並ぶヒョンデとのメーカー対決に向けて「攻めに転じる時がやってきた」
motorsport.com 日本版
ローソン、ラスベガス予選はQ2敗退15番手「大きくスライドしてしまった。まあそれがなくてもQ3は無理だったけど……」
ローソン、ラスベガス予選はQ2敗退15番手「大きくスライドしてしまった。まあそれがなくてもQ3は無理だったけど……」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

39件
  • 損得とかそんなこと考えず好きな車にのりゃええ
  • 現行モデルの992と30年以上経った964を天秤にかけるっておかしいと思わんのかねぇ…
    同じ年式のカレラとカレラSならカレラSが良い、とかなら分かるけどさ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村