エンリコ・カルディレがアストンマーティンに移籍し、チーフテクニカルオフィサー(CTO)に就任することで、アストンマーティンの技術部門のトップ体制は完成する。現在、ダン・ファローズがテクニカルディレクターに留まり、新たにボブ・ベルが技術担当エグゼクティブディレクターに就任している。
技術グループのトップ層の厚さを考えると、アストンマーティンにはエイドリアン・ニューウェイのような天才でさえ入る余地がないのは明らかなようだ。ローレンス・ストロールのチームのためにニューウェイがカバーできるすべての領域は、基本的に埋まっている。実際、アストンマーティンに近い情報筋によると、ニューウェイがチームに参加する意志がほとんどないか、まったくないことに気づいたストロールは、カルディレに拒否できないようなオファーを出したという。彼の報酬は、フェラーリから今も受け取っている額の数倍になると見られている。
アストンマーティンF1、フェラーリの元TDカルディレとの契約を発表。2025年にF1チーフテクニカルオフィサーに就任
パドックでは、ニューウェイとアストンマーティンのつながりは、ニューウェイのマネージャーであるエディ・ジョーダンによって誇張されてきたと長いこと考えられていた。この戦略は、フェラーリとの交渉で金額を釣り上げることを目的としていた。スクーデリアは依然としてニューウェイにとって最も可能性の高い目的地だからだ。
エディ・ジョーダンが、新ポッドキャスト『Formula for Success』でデイビッド・クルサードとパートナーを組むことを承諾した唯一の理由は、ニューウェイの将来に関するすべての物語を決定づけることができるプラットフォームを手にすることにあったと、かなりの数のベテラン観測筋が主張している。
レッドブルからの離脱は、チーム代表のクリスチャン・ホーナーが関わったスキャンダルによって引き起こされはしたが、長い時間をかけて決められたことだ。ニューウェイは、レッドブルに対する自身の最近の貢献についてふさわしい評価が行われていないと感じていた。それと同時にホーナーとの関係は、双方がパートナーを変えた後、近年はかなり冷え込んでいた。
クルサードとのポッドキャストで、エディ・ジョーダンはアストンマーティンを繰り返し称賛し、ローレンス・ストロールがどれだけ先見の明がある人物であるかクルサードに主張し、ニューウェイがイギリスのチームに加わることを真剣に望んでいることを指摘していた。同時に、ニューウェイに近い一部の情報筋は、彼がストロール家とのつながりを感じていないことを保証した。ニューウェイは生活と富に対して非常に異なるアプローチを取っているし、ミーティングとアストンマーティンの2026年型マシンの進捗状況を確認するために時々シルバーストンのファクトリーに車で行く方がはるかに便利だとはいえ、ついにフェラーリで仕事をしてルイス・ハミルトンと協業することの魅力が、スクーデリアに有利に働いた。
興味深いことに、カルディレが辞任することをほぼ1カ月前から知っていたフェラーリは彼の後任を任命しておらず、チーム代表のフレデリック・バスールがシャシー部門の暫定リーダーに就任している。フェラーリは、上級デザイナーのひとりをその役割に昇進させることもできたが、そのポジションを空席のままにしておくという決断は、バスールがすでにシャシープロジェクトを率いる他の誰かと条件に合意していることを示しており、その人物がニューウェイになる可能性は非常に高い。
ニューウェイの今後は9月中旬まで知らされることはないため、彼の将来の役割の発表まで数カ月待たなければならない。一方で、彼がマラネロで仕事を始められるようになるのは、レッドブルの“ガーデニン休暇”が終了する2025年4月になってからのことだ。
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