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最後の優勝は90年前。多摩川スピードウェイでの優勝歴を持つレーシングカー『インヴィクタ4 1/2』が富士で実走行

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最後の優勝は90年前。多摩川スピードウェイでの優勝歴を持つレーシングカー『インヴィクタ4 1/2』が富士で実走行

 12月22日、静岡県小山町の富士スピードウェイでインタープロトシリーズ/KYOJO CUPの最終戦が開催されたが、同レースのイベント広場にて、1930年代の多摩川スピードウェイで開催された『第1回全日本自動車競走大会』で優勝した歴史を持つ貴重なレーシングカー『インヴィクタ4 1/2』の実走イベントが行われた。

 まず、このインヴィクタというクルマについて、おそらく多くの人が馴染みのない名前だと思うので、本題に入る前にクルマについて簡単に解説したい。

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 インヴィクタとは、1925年から1935年ごろまで存在したイギリスの高級車メーカーで、ノエル・マックリンというエンジニアが当時企業の援助を得ながら創業したという経緯を持つメーカーだ。

 そして、この個体『インヴィクタ4 1/2』は1930年にイギリスから日本へと輸入されてきた1台。購入・輸入したのは渡邉甚吉氏という実業家兼政治家であり、1930年に欧州周遊へ出向いた際に中古車として購入し、これを日本国内でショーファードリブン(運転手付きのクルマ)として使用していた。そのため、当初はレーシングカーとして使用するために購入したわけではなかったのだという。

 しかし、1936年6月7日に多摩川スピードウェイで開催される『第1回全日本自動車競走大会』に参戦するため、梁瀬自動車(現ヤナセ)の手により大改造が施されてレースエントリーを果たす。結果、運転手として雇っていた川崎次郎氏のドライブにより見事、優勝を成し遂げている。その後もレース参戦を続けていたインヴィクタだったが、日中戦争の影響でレースが開催できなくなり、インヴィクタが活躍する場も失われてしまう。

 第二次世界大戦終戦後の1955年、小林彰太郎氏とその友人が“かろうじて戦火を免れた状態のまま”を発見し同個体を購入しているが、その後はアメリカ軍人の手に渡り、アメリカ国内で元の状態にレストアされる。その後、ドイツのコレクターなど数々のオーナーのもとを転々としながら日本へ帰国をしたという、非常に数奇な運命を歩んできたのが、このインヴィクタである。

 そんな日本モータースポーツの黎明期に活躍した貴重な一台を、富士スピードウェイに併設されている『富士モータースポーツミュージアム』が実走行イベントを開催した。さらに、今回は走るだけでなく、一般来場者にも助手席に座らせたうえでの走行となった。デモランではエンジン始動が一発でかかるなど、車齢を感じさせない軽快な走りをファンの前で披露した。

 実走行イベントの途中、急きょゲストとしてモータースポーツジャーナリストの小倉茂徳氏が駆けつけると、小倉氏もインヴィクタの助手席に座ってインヴィクタの走りを体感。走行終了後に感想を求められた小倉氏は「この時代のレーシングカーには助手席にライディングメカニックという人が乗っていたのですが、その人の気分を味わえました。ただ、シートが滑るので足で踏ん張らなくてはいけないなど、大変でした」と貴重な体験を振り返った。

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