北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。
第53回は、北海道のシンボルともいえるヒグマです。
これがキタキツネの本性! 紅葉の大雪山で殺気を放つ美しきハンター
絶対に近くで会いたくはないけれど、でもちょっと、生で見てみたい気もするヒグマ。圭さんは、登山の途中で遭遇することがあるそうなんですが、大丈夫なの……?
写真・文/佐藤圭
[gallink]
後ろを向いて走って逃げるのは絶対NG!
北海道では、ここ数年、ヒグマによる人身事故が増加傾向にあり、今年の被害(死傷者数)は統計を取り始めて以来、最多となっています。
6月には、札幌の市街地で人が襲われるという事故もあり、8月には、旭川駅のすぐそばを流れる忠別川の河川敷を疾走する姿が目撃されました。
北海道第一、第二の都市の真ん中にヒグマが出没するというは異常な事態です。これ以上の被害が出ないように祈るばかりです。
僕は、撮影のために大雪山系の山に登ることが多いのですが、登山の途中で、ごくたまにヒグマに出会うことがあります。
登山道に現れたヒグマ
ハイマツの植生で美味しそうな実を物色している
座り込んで、ハイマツの実を食べ始めた
ときどき人間たちがいる方を気にしている
目が合ってしまった
夏山に残る雪渓に移動
雪渓に顎を載せて涼んでいる
出会うヒグマは、いつも草や花をのんびりと食べています。ヒグマは本来、温厚で臆病な生き物です。
登山者は、そのことを知っているため、ヒグマが去るのを待つか、距離を保って静かに通り過ぎます。それが、上手なヒグマとの付き合い方です。
北海道の山にはヒグマがいるのは当たり前なので、ヒグマがいても、ヒグマ注意の看板は立ちません。
ヒグマは嗅覚や聴覚が鋭く、人の匂いや気配、熊鈴の音などがすると自分から離れていきます。
今度は、高山植物のシラネニンジンとハクサンボウフウをムシャムシャ
やはり人間たちがいる方が気になる様子
登山道から離れ、山奥に去って行った
この写真を撮影したときも、十分距離をとって望遠レンズで撮影しています。ヒグマは食事を終えると自らゆっくりと去って行きました。
危ないのは、お互いに気づかず、近距離でばったり出会ってしまうことです。
注意すべき場所や状況があります。川の近くで流れる水の音が大きい場所や、雨が強い日、風の強い日などは、熊よけの鈴をつけていても音が届かず、匂いも届きにくいので、ヒグマが離れて行かない場合もあります。
そういう日は、曲がり角や視界の悪い場所では、大声を出したり、手を叩くなどするようにしています。
もし、至近距離で出会ってしまった場合は、後ろを向いて逃げたりせずに、目を見たまま、後ずさりでゆっくりと離れるようにしてください。ヒグマは、逃げる者を追う習性があります。
また、距離があるときは、大声を出せば離れて行ってくれますが、近くにいるときは、大声を出すのは危険です。ヒグマが興奮してしまうからです。
本来、ヒグマは人間の存在を恐れています。人間を襲ってしまうのは、恐れから来る自己防衛の攻撃なのです。
ヒグマは大きく強く、人間は絶対に敵わない相手です。まず、ばったり出会わないための注意を最大限に払うことことが重要です。
アイヌの人々は、ヒグマを「キムンカムイ=山の神」と呼びました。
大雪山はアイヌの言葉で、「カムイミンタラ=神々の遊ぶ庭」と表現しています。カムイはヒグマを指していると言われています。
僕は、いつもヒグマが遊ぶ庭にお邪魔しているという気持ちで、
山に入っています。
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。MILLETアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
インスタグラム:https://www.instagram.com/slashslash_photography/
佐藤圭さんのデビュー写真集が、10月27日に発売されます。北海道大雪山系に暮らすエゾシマリスの一年を追った写真絵本です。エゾシマリスの体の特徴や子育て、独特の生態について、Q&A形式でわかりやすく紹介しています。
定価1,980円(本体1,800円+10%税) 文一総合出版
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みんなのコメント
増加傾向ならタイトルと違うだろう。煽るな!
山は野生の住処です。
熊は子に教育を行ってから独立させるそうです。
人間は恐ろしいという教育も含まれていたでしょう。
これがあったからこそ、記事のような対処法が確立されたのです。
しかし春狩猟を止めて何十年も経ち、その教育を受けないまま生息しています。
札幌市、旭川市の市内に出没しているのが何よりの証拠です。
来春に駆除を再開できるよう急ぎ準備を始めるべきです。
どんなに綺麗事を言っても、地球上で最も他の生物との共存を苦手とするのが人間です。