はじめに
BMWの現行ラインナップにおいて、最も重要なモデルは何だと思うだろうか。そう問われて、このクルマの名を挙げるひとびとも多いのではないかと、われわれは考える。M2だ。
必ずしも、今回の最新バージョンであるCSとは限らない。もっとも熱心で気前のいいMモデル信者であっても、7万5320ポンド(約1054万円)という価格は、支払いを躊躇するかもしれないからだ。それでも、M2という括りで考えれば、目が向くことだろう。
2022年には水素燃料電池版X5の投入が計画され、来年発売予定のEVセダンであるi4はこの時代のBMWにおいてもっとも意義のあるクルマになるかもしれない。そして、前輪駆動モデルの守備範囲は、より大きく重いカテゴリーへと広がりつつある。
そうなったとき、エンスージアストを自認するわれわれは、BMWというブランドに、これまでと変わらぬ強い好意を寄せられるのだろうか。はなはだ疑問だ。
その点、M2には気づかされることがある。このコンパクトなクーペは、直6エンジンをフロントに縦置きして後輪を駆動。望めば3ペダルを選ぶこともできる。これぞ基本のレシピであり、BMWはそれをみごとに実践し続けてきた。
2015年にデビューしたとき、われわれは書いたものだ。M2の前身にあたる、レアでワルっぽく、クールな最新技術を満載した1シリーズMクーペは「BMWがいまも、本格Mモデルを造るにはどのような要素が必要かわきまえているのだと確信させてくれる」と。対するM2についての記述は「その事実をますます裏打ちするもの」としている。
その各要素は2018年にアップグレードされ、M2コンペティションへと発展。よりシャープなサスペンションと、M4譲りの強烈なパワープラントであるS55ユニットを手に入れた。なにより、遊び心を抑えたのが一番のみどころだ。ほしいクルマをリストアップすると、いまだにこれを上位に入れるオートカーのテスターもいるほどの傑作だった。
今回のテスト対象は、F22世代の2シリーズクーペの集大成となるM2 CSだ。おおいにすばらしい出来栄えであるに違いない。CSはクーペ・スポーツの略であり、できればここにライトのLが加わってほしかったところだ。
このサブネームは、最近ではF80系M3/M4に、それ以前には2005年、英国向けのE46型M3に設定された特別仕様車に用いられた。さらに遡れば、60年代のモデルに散見される。
いずれも、当時の速く高価なモデルに与えられたネーミングだったが、運動性能的にはあたりはずれがあった。今回のCSは、はたしてどちらに転ぶだろうか。
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
CSLではなくCSを名乗ったこのクルマ、車両重量の公称値は、MT車でM2コンペティションと同じ1550kgだ。今回テストしたDCT仕様では、1575kgとされている。
そのほかの点でも同様に、CSとコンペティションとの差異は、一見してわかるほどではない。3.0L直6ツインターボと、その上で弧を描くカーボンのストラットタワーバー、リアのアクティブMディファレンシャルも共通だ。
リジッドマウントされるリアの軽量サブフレームや、ボールジョイント式サスペンションもキャリーオーバーされている。フロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンクとなるサスペンション形式もそのままだ。トレッドの幅や電動機械式ステアリングのギア比にも変更はない。
ただし、CSはコンペティションよりやや車高がダウン。また、全幅が17mmだけ拡げられている。大幅に手が入っているのは、毎度のことながらディテールだ。
M2では初採用となるMマルチモードアダプティブサスペンションは、M4用のハードウェアを専用チューンしたもの。よりハードなモードも設定され、サーキットなどオプションのミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2の性能を存分に使える状況では、作動が早く可変幅が広い多板式リアデフの性格も変貌する。
また、DSCを完全オフにしなくても、盛大なヨーを許容してくれる。これは、BMWが誇るMダイナミックモードにも同じことがいえるのだが。
Y字型スポークの鍛造ホイールは新設計され、同じ寸法のコンペティション用より重量を削減している。S55ユニットは、40psアップの450psを発生するが、電子制御を多少いじるだけでこの数字を達成。パワーカーブは、ピークを6250rpmまで高めた。最大トルクは、たった2350rpmで56.0kg-mを叩き出す。
2014年以来使われてきたS55型は、これを最後に次世代のS58型へバトンタッチすることになるが、このCSの直線加速に不足を感じることはおそらくないはずだ。
そのエネルギーを抑え込むべく、ブレーキにはM2としてはじめてカーボンセラミックディスクがオプション設定された。テスト車にはそれが装着されており、ゴールドに塗装されたキャリパーが識別点となっている。
メカニズムはもちろんだが、ボディワークにもそれは及んでいる。ルーフはGT4レースマシンにもみられるカーボンFRP製で、車高ダウンと合わせて重心低下を実現するとともに、ボディシェルの剛性アップにも寄与する。
ボンネットとおおげさな通風口も、GT4マシン譲りのカーボンコンポジット製。いっぽうで、ガーニーフラップや牙のようなフロントスプリッターは、ロードカー専用デザインだ。これらによって、M2 CSのリフトは、トップスピードの280km/hへ近づくにつれ、よりニュートラルになって行く。もちろん、外観上の特徴としても役立っている。
内装 ★★★★★★★★☆☆
構造的にみれば、キャビンはコンペティションと変わらない。だが、要素的にはM3/M4 CSとの共通性がある。少なくともバケットシートは、通常のM2用よりややゴツめで、レーシーな切り欠きが施されている。
そのほか、ダッシュボードを覆うアルカンターラには目立つCSの文字が記される。また、トランスミッショントンネルを覆うカーボンパネルは、コンペティションのプラスティックに対し重量を半減させる。たいしたものだ、そういう声も出るだろう。
M4 CSなどには、ドアの内側にファブリックの引き手が装備されていたが、このクルマはカーボン張りの立派なドアハンドルがあるので、わざわざ無駄になるものを付けはしなかった。
それと同時に、アームレストやセンターコンソールの収納部も省略されている。車内の軽量化には効果的だが、使い勝手を必要以上に、意味なく犠牲にしたようにも思える。
残念ながら、M2コンペティションとの2万5000ポンド(約350万円)ほどの価格差を正当化するだけの、大きな違いやエキサイティングさはみられない。おそらく、多くのユーザーは明らかな差別化を求めているはずだが、そうであるなら、やや失望を覚えるだろう。
それでも、エルゴノミクス的にみれば、このM2のコクピットは上々の出来栄えで、なかなか快適。フェラーリやアストンマーティンの最上級GTカーには及ばないまでも、それ以外のフロントにエンジンを積むハイパフォーマンスクーペには見劣りしない。
たしかに、後席は子ども用と割り切るべき程度ではある。だが、前席は手動式のステアリングコラム調整の可動域が広く、リムの太すぎるアルカンターラ巻きのステアリングホイールを、十分に手前へ引けないと感じるドライバーはまずいないだろう。オプションの電動シートも、同じく万能性が高い。
ベースが量販モデルの2シリーズ・クーペ なので、トランクスペースは深く、容量は十分。ポルシェ・ケイマンGT4やロータスの各モデルなど、走りで拮抗するライバルたちを優に凌ぐ。しかも、後席フォールド機構も備えている。
走り ★★★★★★★★★☆
このBMWは馬力/車重比が286ps/t。これもなかなかの数字だが、もっとも競合するだろうケイマンGT4は296ps/t、ロータス・エキシージであれば、もっともマイルドな仕様でも300ps/tを超える。
この数値からではわからないのが、M2 CSがほぼどんなときでも爆発的なトルクを発揮する能力だ。といっても、現代の基準からすれば、このクルマは心臓が口から飛び出しそうなほど速いというわけではない。
たとえ2速での48-80km/hが1.3秒、4速では80-113km/hが2.5秒と、なかなかのペースでありながらもだ。だが、いい感じに素早いシフトをする準備はできている。
S55ユニットは力強さと寛容さを兼ね備え、公道での使い勝手に優れる。われわれはMTのほうが好みだが、2645ポンド(約37万円)のDCTはワクワクするほど滑らかでクイックに作動する。ただし、低速での変速は妙に優雅さを欠くのだが。
すなわち、これは驚くほど有能なパワートレインだ。コンスタントにシフトチェンジし、長々とスロットルを開けていなくても、エキサイティングに走ることができる。とはいえ、この直6のサウンドとレスポンスは、ターボユニットであるにしてもちょっとだけ物足りなさを感じる。
純粋なペースをみると、われわれが計測した0-97km/h加速タイムは4.1秒で、オフィシャルデータの0-100km/h=4.0秒にやや及ばなかった。そうはいっても、0-241km/hは510psを誇るメルセデスAMG C 63 Sより、まるまる1秒速い。この速さは、価格に十分見合うものだ。
トランスミッション以外に、走りに大きく関わるオプションとしてはカーボンセラミックブレーキがある。ストッピングパワーに優れているのは疑うべくもない。
それでも、公道上で鋳鉄ディスクブレーキからの性能向上が見込めるかというと、それはあくまで机上論となる。初期の食いつきがやや激しすぎるのだ。だが、その後は鋳鉄ブレーキと変わらず簡単に、効きを調整できるようになる。
使い勝手 ★★★★★★★★★☆
インフォテインメント
BMW自慢のインフォテインメントシステムであるiドライブの最新版は、おそらくこの手のデバイスではベストな部類だ。それゆえ、M2 CSのプライオリティはほかのところにありながらも、このシステムは手付かずのまま残された。
トランスミッショントンネル上にはダイヤル式コントローラーが設置されるが、8.8インチのディスプレイはタッチ操作も受け付ける。そのうえ、音量とエアコンの調整用に、みつけやすい実体スイッチが用意されている。
そのため、指先の感覚を頼りに手探りで操作したり、いちいち目当てのメニュー画面を呼び出したりする手間が省ける。このクルマの動力性能を考えれば、これはじつにありがたい。
ただ、センターコンソールに収納スペースがないことにはフラストレーションを覚える。アームレストともどもコンソールボックスがなくなったので、USBポートはトランスミッション後端にむき出しで備わるのみ。Apple CarPlayを使うためにスマートフォンを接続するには、長い接続ケーブルをうまく取り回さなければならない。なお、Android Autoには非対応だ。
燈火類
M2 CSは、BMW独自のイコン・アダプティブLEDヘッドライトとハイビームアシストを標準装備する。
ステアリングとペダル
スロットルとブレーキの両ペダルは、明らかに右寄りへオフセットしているが、それでも快適に操作できるポジショニングだ。ステアリングホイールはド真ん中で、前後も上下も十分な調整幅がある。
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
運動性能的に、M2 CSでは解明すべき疑問がふたつある。ひとつは、M2として最上のステアリングを備えているのか。もうひとつは、M2のなかでベストのハンドリングを発揮するのか。
それは、現行のBMWラインナップにおいて、最高のドライバーズカーの仲間入りをできるか、ということでもある。そうなればもちろん、この掛け値なしにマッチョなFRクーペが、これほどの高価格になって、競合するミドシップ勢にどこまで迫る走りを手に入れたのかも知りたい。
最初の問いに対する答えはイエス。その次もイエスだが、サーキットテストができなかったので、あくまで公道でという条件付きで、従来モデルとの差はほんのわずか。そして、ミドシップのライバルに対しては、限りなく肉薄したといえる。
このCSが、E46時代のM3 CSLの再来であってほしいと願うファンも多いだろうが、残念ながらそうでないのは、車名のとおりだ。とはいえ、驚異的にすばらしいドライビングを味わえるクルマである。走らせる甲斐があり、走らせるほどに熱くなれる。
BMWはステアリングに関して、アシストの程度や電動機械式ラックの速さを変えなかった。だが、M2コンペティションに乗り慣れていれば、サスペンションジオメトリーの変更はハッキリわかるだろう。また、ステアリングのレスポンスとフィールは、タイヤを情報伝達の忠実度が高いカップ2としたことで増強された。
タイトなダンピングと、新型ホイールとカーボンセラミックブレーキによるバネ下重量軽減は、貪欲なほどに方向転換するこのクルマの能力を高める。
むろん、そうしたフロントアクスル周りに施されたディテールのすべてが際立つのは、剛結点の多いリアの挙動が精確で、みごとなまでにムラっ気のない、エンジンを思い切り回せるだけのプラットフォームに仕上がっているからだ。
それらが協調し、シャシーは一体となった、確信の持てる挙動を示す。実際、M2 CSは、この手のクルマに想像するであろう整った身のこなしと、ものすごい俊敏さを公道上で披露する。ただし、サスペンションを真に輝かせるには、かなりのスピードと負荷が必要なのだが。
当然というべきか、このクルマにはM2コンペティションのように遊べる側面もある。それを存分に解き放つには、かなりハードに走らせることと、オプションであるハイグリップタイヤのカップ2を履くことが必須ではあるのだが。
リアに搭載したアクティブMディファレンシャルは、トラクションをうまく保ってくれる。しかし、ドライバーが意図的に操縦すれば、それを圧倒するのも容易。また、スピンの兆候が出た際には、徐々に制御してくれる。
純機械式LSDのベストなものに比べれば、伝えてくれる情報量は少なく、予測性にも劣るのは確かだ。それでも、コーナリング初期でアンダーステアを引き起こすことはない。
そうはいってみたものの、繊細さや俊敏さは、アルピーヌA110やケイマンの域に達していない。スロットルオフでのアジャストしやすさに関しても同様だ。
いっぽうで、悪天候時の気まぐれさは当然ながらM2のほうが抑えられている。なにより、ゆったりと運転できる、とげとげしくないツーリングカーを求めているのなら、このBMW一択。アルピーヌやポルシェを検討する必要はない。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
M2 CSの場合、じつに攻撃的なボディワークと、多くのゴムブッシュを省いたサスペンションが、なにより刺激とパフォーマンスを重視する妥協なきロードカーの姿を表現している。そしておそらく、そこには真実だといえる部分もある。
しかしながら現実には、このサーキット走行を視野に入れたマシンが、英国での公道走行をおおむねうまくこなすのだ。
ケイマンやA110といったミドシップのライバルに比べて背が高く重いM2は、当然ながらより引き締められたボディコントロールが要求される。そのことは、落ち着きなく感じられるところもある日常の乗り心地に明らかだ。
それでも、このBMWの減衰特性は全体的にプログレッシブで、よほどの不整路面でもなければ、サスペンションのモードはもっともハードなスポーツプラスを選びたくなるというのが正直な感想だ。不快な左右方向への動きを抑えてくれるが、追従性の犠牲は極めて少ないのである。
タイヤノイズや風切り音もさほど気にならず、高速域での乗り心地は気を緩められるわけではないが、神経をすり減らされてうんざりするようなものではない。高速道路でサスペンションをコンフォートモードに入れれば、疲れ知らずのクルージングを一日中でも楽しめる。
間違いなく、そのうちのいくぶんかは、ただ柔らかいだけではないパッドがたっぷりと張られたシートにも理由を見いだせる。また、考え抜かれて周到に決められたドライビングポジションの貢献も小さくない。
ミドシップのライバルたちに比べれば高めのシートポジションもあって、前後とも視界はすこぶる良好。それらはシンプルながら、日常使いする上では重要な要素だ。
購入と維持 ★★★★★★☆☆☆☆
このM2 CSを手に入れたとして、日々の移動手段に使えないと考える理由はない。
車両価格は7万5320ポンド(約1054万円)、テスト車の仕様では8万3260ポンド(約1166万円)。この金額を支払えるなら、入手はそれほど難しくない。
BMWは、少なくとも2200台を生産するというが、これは上限ではなくあくまで最低限の目標値で、需要があれば増加する可能性がある。
しかしながら、覚えておかなくてはならないことがある。今年9月には、S55ユニットはもはや欧州のエミッション基準に適合できなくなり、生産の終了が予定されている。英国で購入を検討しているなら、ためらっている暇はない。
ただ、違う考えかたもある。Mモデルのトップグレードとなれば、そのスペシャル性に乗じて、プレミアム価格を付ける業者もあるだろう。その場合、10万ポンド(約1400万円)を上回ってもおかしくない。
いっぽうで、最新のM4 CSやM3 CSはかなり値落ちしており、低走行距離の個体が5万5000ポンド(約770万円)を多少上回る程度で手に入る。新車時より3万ポンド(約420万円)は安い価格だ。
われわれとしては、M2 CSが同じ轍を踏むとは考えていない。少なくとも、兄貴分たちよりはこちらのほうが走りに優れているからだ。とはいえ、1年前後は待つことをいとわない見る目のある買い手が、結果として出費を抑えることになるだろう。
スペック
レイアウト
M2 CSのメカニズムは、M2コンペティションから多くを流用しているため、サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンク。ただし、こちらはアダプティブダンパーが標準装備となる。
フロントに縦置きされる直6エンジンはM4と共通。ボンネットとルーフはカーボンファイバーを用いるが、カーボンセラミックブレーキはオプションだ。
エンジン
駆動方式:フロント縦置き後輪駆動
形式:直列6気筒2979ccツインターボ、ガソリン
ブロック/ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ84.0×89.6mm
圧縮比:10.2:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:450ps/6250rpm
最大トルク:56.0kg-m/2350~5500rpm
許容回転数:7200rpm
馬力荷重比:286ps/t
トルク荷重比:35.5kg-m/t
エンジン比出力:151ps/L
ボディ/シャシー
全長:4468mm
ホイールベース:2693mm
オーバーハング(前):807mm
オーバーハング(後):968mm
全幅(ミラー含む):2000mm
全幅(両ドア開き):3960mm
全高:1410mm
全高:(トランクリッド開き):1700mm
足元長さ(前):最大1140mm
足元長さ(後):650mm
座面~天井(前):最大1010mm(ソフトトップ使用時)
座面~天井(後):860mm
積載容量:390L
構造:スティールモノコック
車両重量:1575kg(公称値)/1589kg(実測値)
抗力係数:0.37
ホイール前/後:9.0Jx19/10.0Jx19
タイヤ前/後:245/35 ZR19/265/35 ZR19 101Y
ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2
スペアタイヤ:なし
変速機
形式:7速DCT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:4.81/7.6
2速:2.59/14.0
3速:1.70/21.4
4速:1.28/28.5
5速:1.00/36.4
6速:0.84/43.3
7速:0.67/54.2
最終減速比:3.46:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:8.9km/L
ツーリング:11.9km/L
動力性能計測時:3.2km/L
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):6.6km/L
中速(郊外):11.0km/L
高速(高速道路):12.4km/L
超高速:10.7km/L
混合:10.3km/L
燃料タンク容量:52L
現実的な航続距離:460km
CO2排出量:221g/km
サスペンション
前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、アダプティブダンパー
後:マルチリンク/コイルスプリング、アダプティブダンパー
ステアリング
形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.3回転
最小回転直径:11.7m
ブレーキ
前:カーボンセラミックディスク(サイズ未計測)
後:カーボンセラミックディスク(サイズ未計測)
制御装置:ABS、ブレーキアシスト
ハンドブレーキ:手動、レバー(センターコンソールに設置)
静粛性
アイドリング:46dB
全開時:91dB(3速)
48km/h走行時:67dB
80km/h走行時:70dB
113km/h走行時:76dB
安全装備
ABS/ASC/CBC/DBC/DTC
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
交通弱者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%
発進加速
テスト条件:乾燥路面/気温23℃
0-30マイル/時(48km/h):2.0秒
0-40(64):2.6秒
0-50(80):3.3秒
0-60(97):4.1秒
0-70(113):5.1秒
0-80(129):6.2秒
0-90(145):7.4秒
0-100(161):8.8秒
0-110(177):10.4秒
0-120(193):12.3秒
0-130(209):14.6秒
0-140(225):17.2秒
0-150(241):20.6秒
0-402m発進加速:12.4秒(到達速度:194.1km/h)
0-1000m発進加速:22.0秒(到達速度:246.6km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
ポルシェ718スパイダー
テスト条件:乾燥途上路面/気温18℃
0-30マイル/時(48km/h):1.8秒
0-40(64):2.8秒
0-50(80):3.4秒
0-60(97):4.3秒
0-70(113):5.3秒
0-80(129):6.3秒
0-90(145):8.2秒
0-100(161):9.7秒
0-110(177):11.4秒
0-120(193):13.6秒
0-130(209):15.9秒
0-140(225):18.5秒
0-150(241):22.5秒
0-402m発進加速:13.0秒(到達速度:185.6km/h)
0-1000m発進加速:22.9秒(到達速度:241.2km/h)
中間加速
20-40mph(32-64km/h):1.6秒(2速)/2.2秒(3速)
30-50(48-80):1.3秒(2速)/1.9秒(3速)/3.4秒(4速)
40-60(64-97):1.5秒(2速)/2.0秒(3速)/2.7秒(4速)/4.1秒(5速)/6.1秒(6速)
50-70(80-113):2.1秒(3速)/2.5秒(4速)/3.4秒(5速)/4.9秒(6速)/8.6秒(7速)
60-80(97-129):2.3秒(3速)/2.6秒(4速)/3.4秒(5速)/4.3秒(6速)/7.2秒(7速)
70-90(113-145):2.7秒(4速)/3.5秒(5速)/4.4秒(6速)/6.3秒(7速)
80-100(129-161):2.8秒(4速)/3.7秒(5速)/4.6秒(6速)/6.4秒(7速)
90-110(145-177):3.0秒(4速)/3.9秒(5速)/4.9秒(6速)/6.8秒(7速)
100-120(161-193):3.4秒(4速)/4.3秒(5速)/5.4秒(6速)/7.8秒(7速)
120-140(193-225):4.9秒(5速)/6.8秒(6速)
各ギアの最高速
1速:54.7km/h(7200rpm)
2速:101.4km/h(7200rpm)
3速:154.5km/h(7200rpm)
4速:204.4km/h(7200rpm)
5速:262.3km/h(7200rpm)
6速:280.0km/h(6465rpm)
7速:(公称値):280.0km/h(5156rpm)
7速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):2074rpm/2371rpm
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温23℃
30-0マイル/時(48km/h):7.8m
50-0マイル/時(64km/h):22.3m
70-0マイル/時(80km/h):43.7m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.54秒
ライバルの制動距離ポルシェ718スパイダー
テスト条件:乾燥途上路面/気温18℃
30-0マイル/時(48km/h):7.3m
50-0マイル/時(64km/h):20.7m
70-0マイル/時(80km/h):41.1m
結論 ★★★★★★★★★☆
M2 CSのようなクルマは、真っ正直な評価が通用しない。まずは事実に目を向けよう。
この最小Mモデルの集大成となるであろうマシンより、楽しさも実用性もエンジニアリングでも劣り、もっと普通の造りで、はっきりいってスペシャルではないのに、倍の価格を取っても文句をいわれないクルマは少なからず存在する。
それでもM2 CSの評価を悩ませる原因が、これよりだいぶ低価格なM2コンペティションの存在にあることはいうまでもない。
ことサーキットでのパフォーマンスに限れば、この2台には明らかな差があるはずだ。しかし公道では、もっとわかりやすく有意義な改善を図るために、現状のCSに施した変更以上のことをしなければならなかった。おそらく、足りなかったのは重量の削減だ。
外乱の遮断という点では、驚くほどみごとにやってみせたし、大きな称賛を送るに値する。アジリティやコントロール、パフォーマンス、そしてステアリングフィールはますます高められ、すでに目覚ましいものがあったベース車をさらに上回った。
しかも、CSになっても、4つのシートと十分のサイズのトランクという、M2にもともと備わっていた実用性は損なわれていない。価格はともかく、クルマそのものは模範的なMモデルだ。
BMWは今後、前輪駆動化や電動化をますます進めていくことだろう。それでも次世代、さらにはその次の世代のM2が、そうした改竄を受けずに用意され続けてくれたなら、われわれは変わらぬ感謝の意をミュンヘンへと表していくつもりだ。
担当テスターのアドバイス
リチャード・レーンM2 CSの価格は、あの完全無欠のM3 CSLの新車当時と同じような金額だ。もし、この2台からどちらかを選べといわれたら、悩みすぎて眠れぬ夜を過ごすことになるだろう。それはそれで、現実になったら嬉しいジレンマだが。
サイモン・デイヴィスこのM2 CS、できることもできないこともあるが、そのどちらもが好ましい。ハンドリングはケイマンのように緻密で複雑ではないが、わんぱくな感じがたまらない。
オプション追加のアドバイス
サーキット走行を考えているなら、カーボンセラミックブレーキとカップ2タイヤはほしいところ。そうでなければ、標準装備の鋳鉄ブレーキとミシュラン・スーパースポーツでも十分楽しめて、出費は抑えられる。ファビュラスなゴールドカラーのホイールは、ボディカラーを問わず装着できる。われわれとしては、低価格で楽しいMTを選びたい。
改善してほしいポイント
・M2 CSLの登場を強く希望。後席を取り去って、チタンのハーフケージを入れてほしい。
・ステアリングホイールのリムは、細く小径にしてほしい。
・この価格なら、カーボンセラミックブレーキは標準装備でもいいのではないだろうか。
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