353cc、69万9800円のハーレーダビッドソン。販売好調といいます
一定の年齢層では「中免」のほうがなじみがあるかもしれませんが、普通二輪免許で乗れるハーレーダビッドソン「X350」(353cc)に注目している人も多いのではないでしょうか。
実際、2023年10月の発売から、その販売台数は目をみはるものだそうで、ディーラーを訪れるお客さんも老若男女問わず幅広い層におよんでいるようです。
【画像12点】ハーレーダビッドソンX350を写真で解説、全ボディカラーも紹介
新たに顧客層を広げるという戦略は、ハーレーダビッドソンにとって大きな命題となっているのでしょう。電動バイク「ライブワイヤー」もそのひとつであったに違いありません。
2018年にハーレーダビッドソンが発表した中長期計画「More Road」で、中国のQJmotor社と共同開発した中型バイク=X350およびX500(500cc)の販売が発表されると、株価も上がったと伝えられています。
いずれにせよ、Xシリーズ、EV、水冷エンジンなど、次世代を見据えたモデルを次々とリリースしているのが今のハーレーダビッドソンです。
その戦略は早くも成功しているという思いを抱かずにはいられませんでした。
さて、そのX350ですが実車を前にしてみると、写真で見るよりもコンパクトで引き締まったバイクでした。全長は2110mmで、ホイールベースは1410mm。皆さんご存知のホンダ GB350と比べてみると、全長は70mm短い。なんとなくサイズ感が伝わったでしょうか?
353ccという日本では中途半端に感じる排気量ですが、それこそGB350やヤマハ YZF-R3、BMW G310シリーズなどと同じく、アジアをターゲットとしたバイクとすると、いかに「大型車のハーレーダビッドソン」と言えどそこに落ち着くのでしょう。
往年のフラットトラックレーサー「XR750」をイメージしたデザイン
とはいえ、往年のフラットトラックレーサー「XR750」をイメージしたという外観は素直にカッコいいと思いました。
それに当時のマシンを知らない世代でも、タンクのデザインや、シャープなテールカウルなど、心躍るデザインであることは間違いありません。
そして、ボディカラーは4色(オレンジ、ブラック、ホワイト、シルバー)がラインアップされ選ぶ楽しさもあります。
ハーレーのイメージカラーで選ぶならオレンジ? ブラック?
引き締まった車体を強調したいならホワイト、シルバーの雰囲気も捨てがたい。
実車にまたがってみると、とてもフレンドリーなことがわかります。シート高は777mmと平均的な日本人の体形ならば緊張はしないでしょう。シートも先端に向かって幅がスリムになっていて、足つき面でグッド。そして、地面に足をついた際もステップが邪魔になることもありません。
ハンドルバーはライダーに近めでコントロールしやすい位置にありますし、ライディングポジションは前傾が求められるものでもありません。フラットトラックレーサーイメージというには拍子抜けするくらい普通のハンドル幅ですから、混み合った道路でもバーエンドを気にすることなくスイスイ進めることでしょう。
総じて、構えることなくカジュアルに乗れるのがX350の第一の特徴です。
センターに位置する丸形メーターはアナログのスピードメーターに小型液晶モニターを組み込んだシンプルなもの。液晶モニターにはオド&トリップ、エンジンの回転数などが表示できるのですが、回転計モードは目まぐるしく数字が変わるうえモニター自体が小さいこともあり、筆者を含めた年配世代の目にはキツい(笑)。というわけで、ちょっと試した以外はほとんど使いませんでした。
そのほかメーターの機能に関してですが、燃料計は無く、残り2L程度となると警告灯が点灯します。燃料計があったほうがそりゃ便利なのは間違いないですが、ビギナーの方がX350を最初のバイクに選んだなら、自身の走り方(燃費)と走行距離のバランスを意識する習慣が身に着くはず、と前向きに考えてみました。
タンク容量は13.5Lなので、大体200kmごとに給油……という感じになるでしょうか。
エンジンはドコドコしない。スムーズに回るタイプ
イグニッションをオンにすると軽やかに目覚める並列2気筒エンジンは、アイドリング状態では振動らしき揺れをほとんど感じません。したがって、いわゆる鼓動感というのも無いのですが、1/3ほどアクセルを開けてみるとそれなりのサウンドがまっすぐ耳に届くことに。
X350に搭載される並列2気エンジンは等間隔爆発の360度クランクなので、いかなる回転域でも粒がある破裂音ではなく、あくまでスムーズなエキゾーストノートといえるでしょう。また、ボリュームは排気量を考えると静かなほうだと感じました。深夜早朝でも遠慮する必要はないレベルです。
いざ走り出してみると、クラッチ操作は軽く、エンジンはスムーズに、そして十分なトルクを保ったまま回り続けてくれます。
最高出力は36馬力で正直「パワフル」とは感じませんが、排気量相応のパワーとトルクで車重195kgのマシンを過不足なく加速させてくれる──といったところでしょうか。6000回転を超えたあたりから伸びが苦しく感じられましたが、サーキットをかっ飛ばしたい!という人でもなければ不満が募ることはないと思います。
ハンドリングはロードスポーツ系。クルーザーではない
次にハンドリングですが、基本、X350は安定指向です。ただ、左右のリーンはステップ荷重で面白いほどのリアクションをしてくれますので、見た目以上にヒラヒラと軽快に走ることもできます。
純正装着されるマキシスのタイヤはフロント、リヤともにどちらかといえば硬め、しっかりした乗り心地です。これがコーナリングでもソリッドな感覚で、ロードスポーツらしい走りに貢献してくれている気がします。
ただ、ABSがどれくらいで作動するのかを試すべく、強めのブレーキをかけた際にはサイドウォールが硬い印象を受けました。タイヤのたわみ量が少なく感じられ「このままスリップ!?」と一瞬頭をよぎったのですが、もっともこれは杞憂にすぎず、しっかりABSは作動。
昔からバイクに乗っているライダーあるあるかもしれませんが、今の時代、ハードブレーキングで変な汗をかく必要はないのかもしれません。もちろん、慎重に走るのにこしたことはありませんが。
お店で試乗するときは、自分に合うかココをチェック
気になったのはシートとブレーキレバーの調整です。
今回の試乗では半日で200kmほど走ったのですが、シートは薄く、クッションも硬めでちょっとお尻が痛くなりました。タンデムシートも同様のクッション性なので、ふたり乗りでツーリングをする場合はこまめに休憩するなど、工夫したほうがいいかもしれません。
もっともスポーツバイクとして考えると、前後左右に身体を動かしやすい形状で、硬めの座面はバイクからの情報を余すことなく伝えてくれますので申し分ないのですが。
次にブレーキレバーですが、1~4段階にダイヤルで握り幅が選べるタイプではあるものの……最も近付けたとしてもレバーまでの距離がまあまあ遠いのです。自分は乗っているうちに慣れてきましたが、手の小さい女性はまず実車に触ってみて、場合によっては販売店でカスタムの相談などをすることをオススメします。
気になるポイントはこれくらいで、X350はハーレーダビッドソンが言う「バイク初心者やハーレーダビッドソン入門に最適な車両」というフレーズがぴたりと当てはまるバイクに仕上がっています。
……と表現するとベテランライダーには物足りないかと思われるかもしれませんが、X350はハーレーダビッドソンのオーナーがセカンドバイクとして購入するパターンも少なくないとか。彼らとて「ハーレーだったら何でもいい」というワケではなく、パフォーマンスに納得できないバイクを買うことはないでしょう。目が肥えたユーザーなのですから。
つまり、X350の満足度は高いということです。
いずれにせよ、約70万円でハーレーダビッドソンを所有できるというのは凄いこと。いい時代になったとホッコリせずにはいられません。
ハーレーダビッドソン X350主要諸元
【エンジン】
水冷4サイクル並列2気筒 ボア・ストローク:70.5×45.2mm 総排気量353cc 圧縮比:11.9 燃料供給装置:フューエルインジェクション
【性能】
最高出力:27kW(36ps)/8500rpm 最大トルク:31Nm(3.1kgm)/7000rpm 変速機:6段リターン
【寸法・重量】
全長:2110 全幅:785mm 全高:1110 軸距:1410 シート高:777(各mm) キャスター:24.8度 トレール:100mm タイヤサイズ:F120/70ZR17 R160/60ZR17 重量:195kg
【容量】
燃料タンク:13.5L エンジンオイル:3.2L
【車体色】
ダイナミックオレンジ、スーパーソニックシルバー、ドラマティックブラック、パールホワイト
【価格】
69万9800円
レポート●石橋 寛 写真●石橋 寛/ハーレーダビッドソン 編集●上野茂岐
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みんなのコメント
本当に大丈夫か疑問なバイク
中華生でヤバイみたいな
普通に日本車の中型バイクが
無難だと思う。