レース最終日にはレジェンドライダーやBMWのイベントが予定されていたが、一部は雨天中止に
2024年のマン島TTは、天候不順によってレーススケジュールの遅れが多発。本来ならば最終日の6月8日はシニアTTのみが行われる予定だったが、順延となっていたスーパースポーツTT決勝レース2とスーパーツインTT決勝レース2が行われたほか(いずれも3周を2周に短縮)、『ラッター・レガシー・パレード』と『BMWクラシック85周年パレードラップ』も予定されていた。
【画像4点】マン島レース最強決定戦「シニアTT」ホンダCBR1000RRとBMW M1000RRがトップを競う!
BMWのパレードラップは最終日までに2度、天候不順により延期されてきたのだが、この日もキャンセルとなってしまった。このパレードは、1939年のマン島TTのシニアTTで優勝したBMW Type 255 RS500(スーパーチャージャー付き空冷水平対向500ccエンジン搭載のレーサーで、ドイツ人ライダーのゲオルグ・マイヤーがマン島TTで初めて外国人として優勝した記念すべきマシン)を走らせるはずだった。
『ラッター・レガシー・パレード』は、現役トップライダーであるマイケル・ラッター選手の父、トニー・ラッター(故人)の偉業を称えるもので、彼のTTデビュー60年の節目として行われた。トニー・ラッターは、1981年から4年連続でTT-F2世界選手権を連覇。マン島TTは1965年から1991年までの26年間も参戦し、7回の勝利のうち、ドゥカティ レーシングパンタTT2で4回の勝利を獲得している。
パレードラップでは、息子のマイケル・ラッター選手がレーシングパンタTT2を走らせた。また、マイケルがマン島TTで走らせていたホンダ RC213V-Sをジョン・マクギネス選手が、トニーがヤマハ時代に乗っていたTZ350をイアン・ロッカー選手が走らせ、スネーフェルマウンテンコースを1周したのだった。
シニアTTはダンロップ選手 vs ヒックマン選手の戦いかと思われたが……
さて、マン島TTレース最大の注目クラスであるシニアTTだが、レーススケジュール短縮のため本来6周のレースが4周で行われた。注目はマイケル・ダンロップ選手(ホンダ CBR1000RR-R)がTT最多勝利数のさらなる更新──30勝目を挙げることができるか、はたまたピーター・ヒックマン選手(BMW M1000RR)がシニアTTの3連覇を達成できるか、だった。
編集部注:シニアTTとはマン島TTレースにおける最高峰クラス。今シーズンで活躍したライダーたちが参戦し、多くの選手は戦闘力の高いスーパーバイクTTのマシン(スーパーバイク世界選手権に準じた市販車ベースの車両)を使用する。
しかしレースは1周目、トップタイムで走っていたダンロップ選手がリタイヤ。2周目にはヒックマン選手がコース中盤のジンジャーホールでクラッシュしてリタイヤ(本人に怪我はないそうだ)。トップ争いのふたりが早々にレースから離脱したことで、浮上してきたのは2秒差でヒックマン選手を追いかけていたデイビー・トッド選手(BMW M1000RR)だった。
トッド選手は2周目、3周目と徐々に後続とのタイム差を広げていき、ファイナルラップも調子を崩すことなくそのままフィニッシュ。シニアTT初勝利を挙げた。
「スーパーバイクTTでは2位、スーパーストックTTで初めてマン島TTで勝てたから調子がよかったし、優勝争いに加われると思ってはいた。でもだ実感がわいてこないよ。ミルウォーキーBMWは素晴らしいバイクを作ってくれたし、チームに感謝しています。今から来年のTTが楽しみだ」
レース終了後にそう語ったデイビー・トッド選手は、1995年生まれの28歳。マン島TTは2018年にデビューし、シニアTTで9位に入る活躍を見せた。それ以来、シングルフィニッシャーの常連となり、初の表彰台は2022年スーパーストックTTの3位(マシンはホンダ CBR1000RR SP)。
今回はBMWにスイッチしてスーパーバイクTTで2位、さらにスーパーストックTTでは初優勝。また、スーパースポーツTTではドゥカティ パニガーレV2を走らせて注目を浴び、レース1で2位、レース2では3位と好調だった。そして有終の美となるシニアTTで優勝と、彼にとって2024年は最高のTTとなった。
なお、シニアTTの2位にはジョシュ・ブルックス選手(BMW M1000RR)、3位にはディーン・ハリソン選手(ホンダ CBR1000RR SP)が入った。現役選手ではマイケル・ダンロップ選手に次いで通算勝利数2位となる23勝を挙げているベテランライダー、ジョン・マクギネス選手(ホンダ CBR1000RR SP)はその健在ぶりを発揮して5位に入賞している。
2024マン島TTレース「シニアTT」リザルト(トップ10)
1位:デイビー・トッド(BMW M1000RR)/タイム01:08:09.761/平均速度132.847mph
2位:ジョシュ・ブルックス(BMW M1000RR)/タイム01:08:48.846/平均速度131.589mph
3位:ディーン・ハリソン(ホンダ CBR1000RR SP)/タイム01:09:15.057/平均速度130.759mph
4位:ジェームス・ヒリアー(ホンダ CBR1000RR SP)/タイム01:09:52.433/平均速度129.593mph
5位:ジョン・マクギネス(ホンダ CBR1000RR SP)/タイム01:10:19.913/平均速度128.750mph
6位:マイク・ブラウン(アプリリア RSV4 1100)/タイム01:10:27.078/平均速度128.531
7位:ネイサン・ハリソン(CBR1000RR SP)/タイム01:11:17.499/平均速度127.016mph
8位:ショーン・アンダーソン(スズキ GSX-R1000R)/タイム01:11:17.903/平均速度127.004mph
9位:マイケル・ラッター(BMW M1000RR)/タイム01:11:28.426/平均速度126.693mph
10位:ポール・ジョーダン(ホンダ CBR1000RR SP)/タイム01:11:31.658/平均速度126.597mph
レポート●山下 剛 写真●IOMTT/山下 剛 編集●上野茂岐
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