メンテナンスタイムの消化もレース展開のカギとなった24時間
「ピレリスーパー耐久シリーズ2018・第3戦 富士 SUPER TEC 24時間レース」。夜を迎えてレースが落ち着きを見せ始めた頃、誰かがポツリ呟いた。「(テストデーや予選前日などで)ナイトセッションは全チームが経験しているけど、夜明けは誰も走ったことないんだよなぁ…」。そう、24時間レースでは夜明けを迎えるまでがひと苦労。夜のうちにトラブルが続出して朝を迎える頃は、タイミングモニターの並びが一新していることも珍しくない。ところが今回、総合優勝を争う”ST-Xクラス”では、夜のうちは大きなハプニングもなく、むしろ夜が明けてからレースが大きく動くことになった。
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スタート直後から2台のGT-Rがトップ争いを展開。今回の24時間レースでは、大会規則で最低8分間のメンテナンスタイムを2回とることが必須とされ、これを消化することなく走り続けた「No.3 ENDLESS GT-R」がトップをキープする一方で、早目にこれを1回消化した「No.99 Y’s distraction GTNET GT-R」は、同じくメンテナンスタイムを消化しないで走り続ける2台のアウディに続いて4番手につけて夜明けを迎える。セーフティカーが入ったタイミングではメンテナンスタイムを消化することはできないが、フルコースイエローならば可能。そこでこれを後回しにするチームが多く、「No.3 ENDLESS GT-R」も、ここまで走り続けていたわけだ。しかしメンテナンスタイムはスタートから20時間経過するまで、つまり午前11時前までに消化する必要があり、トップを快走していた”No.3″も夜明けから最初のメンテナンスタイムをとっている。だが、皮肉にもブレーキ回りをリフレッシュした状態で、ピットアウト後の周回にてブレーキトラブルが発生。ピットインして2度目のリフレッシュタイムをとる羽目になってしまう。これで実質的なトップは「No.99 Y’s distraction GTNET GT-R」のものとなった。
一方、”TCRクラス”では夜間にトップを快走していた「No.98 FLORAL CIVIC TCR」がトラブルでストップ。替わってトップに立った「No.10 Racingline PERFORMANCE GOLF TCR」も、他車と絡んで直前でスピンした「No.13 ENDLESS 86」とクラッシュ、大きく後退するというハプニングが起きていた。これでトップに帰り咲いたのは「No.97 Modulo CIVIC TCR」だが、朝の7時を過ぎたあたりでフロントホイールが外れるトラブルからダンロップコーナーでストップ。トップの座を明け渡すことになった。
メンテナンスタイムを消化するリミットとなっている午前11時を前に、トップを快走していた「No.83 Phoenix racing Asia R8」が2度目のメンテナンスタイムを消化。これで「No.99 Y’s distraction GTNET GT-R」が見た目の上でもトップに返り咲く。
残り4時間。まだ通常ならば1レース分の距離(時間)だが、ここまで来ると魔物もひと休みといったところで、ここからは、セーフティカーが入り赤旗中断さえあったものの、上位陣のオーダーには大きなハプニングはなし。結果的に「No.99 Y’s distraction GTNET GT-R」がそのまま逃げ切って優勝。最後の最後でエンジントラブルにより大きくポジションを落とした「No.777D’station Porsche」に代わり、ランキングトップに返り咲いた。
そして、”TCRクラス”では強力なライバルがハプニングで後退して行くなか、粘り強く走り続けた「No.75 m-1 CARFACTORY RS3 LMS」が嬉しいシリーズ初優勝。チェッカー直前まで僅差でトップ争いを展開していた”ST-3クラス”は、「No.62 DENSO Le Beausset RC350」の追撃を振り切った「No.68 埼⽟トヨペット Green Brave GR SPORT マークX」が、これも嬉しい初優勝を飾った。
(レポート:原田 了)
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