2022年9月15日から販売を開始した、マツダのラージ商品群第1弾となるクロスオーバーSUV、CX-60。販売開始から半年以上が経過したが、その人気の動向などを実際のセールスデータから探ってみた。
今までのマツダ SUVとは違う、新たな商品展開
2012年に発売された初代CX-5から始まった、マツダの新たなSUVラインナップは、いずれも横置きFFがベース。だが、2022年3月に欧州仕様から公開され、4月には日本仕様を公開し、6月には予約受注を開始、そして9月にディーゼル車から販売開始(その他のモデルは12月以降)したCX-60は、それまでのCX-○シリーズとはまったく異なるモデルだった。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
新世代ラージ商品群として、縦置きプラットフォーム(つまりFRがベース)を採用。マツダとしては初の直列6気筒ディーゼルエンジンをはじめ、ディーゼルのマイルドハイブリッドやガソリンのプラグインハイブリッドなど、さまざまなパワートレーンも設定。
2022年6月の予約受注開始から販売開始までに、8726台の受注(月販計画台数は2000台)を集めたCX-60だが、販売開始以来7カ月を経た2023年4月末現在の販売データを基に、その人気の秘密を探ってみたい。
圧倒的に人気が高いのはディーゼルエンジン車
2022年9月から2023年4月までの販売台数は、1万9029台。1カ月平均にすると2379台となり、前述の月販計画台数の2000台を上回っており、販売は順調なようだ。しかも、新型コロナウイルス感染拡大の影響などによる半導体などの部品供給不足から、新車のデリバリーが遅れている状況は以前ほどではないが続いている状態。受注台数は、販売台数よりも多いことは間違いない。
人気グレードのトップ3と、その比率は以下のとおりだ。
1位:XD ハイブリッド プレミアムスポーツ(19.3%)
2位:XD Lパッケージ(16.9%)
3位:XD ハイブリッド エクスクルーシブスポーツ(15.1%)
と、圧倒的に直6ディーゼルと、そのマイルドハイブリッド車が人気を集めている。この3グレードの合計で販売台数の半分以上を占めている。ちなみに、パワートレーン別の販売比率では、以下のようになる。
25S(2.5L 直4ガソリン)=13.4%(2WD:9.7%/4WD:3.7%)
XD(3.3L 直6ディーゼルターボ)=36.2%(2WD:20.0%/4WD:16.2%)
XD ハイブリッド(3.3L 直6ディーゼル+マイルドハイブリッド)=46.3%(4WDのみ)
PHEV(2.5L 直4ガソリン+プラグインハイブリッド)=4.1%(4WDのみ)
やはり、CX-60に乗るなら新開発の直6ディーゼルターボエンジン、それにマイルドハイブリッドも試してみたいというユーザーが圧倒的なようだ。
人気のボディカラーとメーカーオプションは?
人気のボディカラーと、その比率は、1位がロジウムホワイトプレミアムメタリック(41%)、2位がジェットブラックマイカ(18%)、3位がマシーングレープレミアムメタリック(16%)となっている。一時期、マツダの訴求色であったソウルレッドクリスタルメタリックなど7色が設定されているが、CX-60の訴求色であるロジウムホワイトプレミアムメタリックを筆頭にモノトーン系が好まれている。
購入時でなければ装着できないメーカーオプションでは、地上デジタルTVチューナー<フルセグ>(29.5%)、ドライバー パーソナライゼーション システムパッケージ(15.9%)、BOSEサウンドシステム+12スピーカー(14.7%)が人気のトップ3となっている。CX-60ならではのロングツーリングを快適に過ごすためのアイテムが求められているようだ。
子育てが落ち着いた40代後半の男性がイメージ像か
購買層の男女比では、男性:86%/女性:14%と圧倒的に男性比率が高いのは、CX-60というクルマの立ち位置を考えると仕方ないところか。実際に運転してみると思ったより取り回しは悪くないし、女性にもどんどん乗ってもらいたいものだが。
購入者の平均年齢は46.9歳。ライフステージ別では、独身&カップルが30%、ファミリー層が22%、子育てを終えたポストファミリー層が48%となっている。やはりファミリー層はミニバンからまだ乗り換えられず、可処分所得の多い独身&カップルや、子どもにお金がかからなくなったポストファミリー層が趣味などの楽しみの手段として選んでいるのも分かるような気がする。
購入時に重視したポイントは、高い順に「エンジンの種類」「ボディカラー」「運転のしやすさ」「高速走行時の安定性」「運転することの楽しさ」「出足加速の良さ」「スタイルや外観」「追い越し加速の良さ」「視界の良さ」などが上げられている。
この項目に、CX-60の人気の要因が集約されているようだ。マツダとしては、CX-5やCX-8からの買い換えはもちろん、他の国産車や輸入車からの乗り換えにも期待している。売れ筋のXDハイブリッド系は500万円台と、それなりの車両価格ではあるが、以前に紹介した2.5L ガソリンエンジンの25Sのようなコスパの高いグレードも設定されている。
CX-60のようなSUVを購入する場合は、じっくり永く付き合いたいと選ぶ人は多いはず。まずは実車を見て、さわって、試乗してみて、使い方や予算などを検討しながら、自分に合った1台を選んでみたい。
マツダ CX-60 XDハイブリッド プレミアムスポーツ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4740×1890×1685mm
●ホイールベース:2870mm
●車両重量:1940kg
●エンジン:直6 DOHCディーゼルターボ+モーター
●総排気量:3283cc
●最高出力:187kW(254ps)/3750rpm
●最大トルク:550Nm(56.1kgm)/1500-2400rpm
●モーター最高出力:12kW(16.3ps)/900rpm
●モーター最大トルク:153Nm(15.6kgm)/200rpm
●トランスミッション:8速トルコンレスAT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●燃料・タンク容量:軽油・58L
●WLTCモード燃費:21.0km/L
●タイヤサイズ:235/50R20
●車両価格(税込):547万2500円
[ アルバム : マツダ CX-60の販売動向を探る はオリジナルサイトでご覧ください ]
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