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ハイパーカー増大の余波で、ル・マンのパドックレイアウトに“悲鳴”。痛い出費の連続にチームからは不満の声

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ハイパーカー増大の余波で、ル・マンのパドックレイアウトに“悲鳴”。痛い出費の連続にチームからは不満の声

 2021年からWEC世界耐久選手権のトップカテゴリーは、長年時代を牽引したLMP1からハイパーカーへと変貌を遂げた。

 トヨタ、プジョーに加えて2023年からはフェラーリ、ポルシェ、キャデラック、そして2024年からはランボルギーニ、BMW、アルピーヌ、イソッタ・フラスキーニが加わり、一気に参戦マニュファクチャラーが増加。また、今季よりLMGTEからLMGT3に移行したGTカテゴリーも大盛況となっている。

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 そしてWECでは廃止となったLMP2もル・マンでは参戦枠が確保されることから、6月のサルト・サーキットでの一戦はハイパーカー23台、LMP2が16台、LMGT3が23台の合計62台の大所帯となる。

 WECやル・マンのフィールドが賑わいを見せる中で、パドックやサーキットではスペースの問題も浮上してきている。もちろん、62台というル・マンのグリッド数は近年変わらないが、問題となるのはハイパーカークラスに優先的に割り当てられるエリアだ。

■一部エリアではACO手配のコンテナ使用が必須に

 昨年まではル・マンのパドックエリアには、狭いながらも工夫をこらして、パーツ用、作業整備用やドライバーらの休憩用のためのトランスポーターが運び込まれていたが、今季は一部エリアでそれらが廃止、ACOフランス西部自動車クラブの手配したプレハブコンテナが並ぶことになり、パドックの雰囲気は様変わりする模様だ。昨年までも一部でこのコンテナハウスを利用しているチームもあったが、自前のトランスポーターで代用していたチームには痛い出費ともなる。

 ピット直後のエリアでは、例年どおりにWECで利用しているものをそのまま使ったり、ル・マン24時間用に特別にしつらえたデザインのものを使用できるが、通路を1本挟んで奥側のエリアは例年どおりとはいかず、多少の制限が掛かる模様だ。昨年はスポーツカー75周年を記念して、カラフルなプレハブコンテナのパーツスペースを設置していたポルシェだが、ハイパーカークラスの参戦が大幅に増えて各チームの使用面積が縮小されることから、こちらも4メートル縮小して設置するという。

 特にハイパーカーに参戦する自動車メーカーのチームの大半は、ホスピタリティを設営する業者と組んでいる関係で、割安でパドックのプレハブコンテナの設置が可能となってきたのだが、『外観を統一するため』という理由により、ACOが手配した専用業者の物を使用しなければならないという。その使用料はWECにシリーズ参戦する際に支払うエントリー費用や諸経費以外に新たに発生する上に、高額だということで、チームからは不満の声が数多く寄せられている。

 また、プレハブコンテナを設置することで、トランスポーターを停める場所についても問題が発生する。パドック裏手後方にはタイヤサービスや各種サプライヤーが集うエリアがあるのだが、そこはすでに手狭でトラスポーターが入る余裕はなさそうとあり、WEC第3戦スパのパドックではトラッキー(トランポのドライバー)たちが集まって、それについて話し合う姿も見られた。

 スパの時点では、トランポの駐車場所やコンテナの詳細情報については未定とされていることから、トラッキーたちはため息を漏らしていた。大半のチームのトラッキーはメカニック業務も兼ねているため、いままはピット近くに停めたトランポから必要な物だけをすぐに取り出すなどができていたが、余計な仕事が増えるのではないかと予想している。

 WECは今年、開幕戦のカタールにおいても、中東の戦争状況の悪化で通常の海運ルートを通れなかったことで輸送用コンテナの通関やサーキットまでの輸送が遅延し、プロローグのスケジュールの大幅な変更を余儀なくされた。さらにヨーロッパへの返送方法についても、DHLの空輸便を使用しないと第2戦のイモラに間に合わない可能性があるということを現地で突然告げられ、この際にも当初予算以外の多額の出費を強いられており、チームからは「またか!」との声があがっている。

 例年、最終コーナー寄りに陣取るトヨタGAZOO Racingのル・マンのピット裏に毎年設置され、チームを象徴する存在でもあった巨大なトランスポーターも、設置が不可となるようだ。すでに設営作業が始まっているサルト・サーキットだが、パドックのレイアウトやその雰囲気は、昨年までとは雰囲気が変わりそうだ。

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