タイヤが空転するような悪路で威力を発揮するX‐MODE
スバルのSUVならではの高い走破性能を実現するのがAWD性能。水平対向エンジンや縦置きパワートレインによるシンメトリカルレイアウトはもちろん、自社コンポーネントで構成するのがスバルの強み。後輪への駆動力分配機構などを自社で設計・検証しているので、最大限のトラクション性能を発揮するAWDを実現できる。
【ライバル比較】新型スバルXVと国内外のライバル勢を徹底分析!
新型XVでのトピックは、フォレスターやアウトバックに搭載されていたX‐MODEが1.6i‐L以上に標準搭載されたこと。X-MODEは雪道での発進や悪路の登坂などでタイヤが空転するようなシーンでの走行性能を極限まで確保する機構で、停車時または約20km/h以下で走行中スイッチを入れると制御が瞬時に介入し、40km/hまで作動する。
このモードになると、エンジン、トランスミッション、AWD、VDCのコントロールユニットが統合制御され、4輪の駆動力やブレーキを適切に制御し、スムーズで安定した走行を提供してくれる。
XVでは、市場からのフィードバックにより、ステアリングを大きく回した状態での脱出性能を高める制御を追加。舵角や車輪速センサーからの情報も合わせて駆動力配分を決定すること、過酷なシーンでの信頼感をさらに高めている。
軽量化しつつ静粛性からレスポンスまで性能も進化したエンジン
新型XVのパワートレインはインプレッサと共通で、先代XVでは2リッターのみだったのが、新たに1.6リッターもラインアップに加わった。
エンジン型式はFB20とFB16と変化はないが、インプレッサへの搭載に合わせて約80%のパーツが新設計されたもので、軽量化しつつも、静粛性や滑らかさを向上させ、レスポンスも大幅改善している。
2リッターはガソリン直噴を採用して、圧縮比を12.5:1に設定し、熱効率や耐ノッキング性能を向上させつつ、燃料噴射量は低減。また、タンブルを強化するTGV(タンブルジェネレーションバルブ)の設定変更による低中速域の燃焼改善、EGR(排ガス再循環)のクーリング効率向上でEGRの導入率を上げポンピングロスの低減を図っている。
これらによって、燃費性能を上げつつ最高出力を先代の110kW(15馬力)から113kW(15馬力)にパワーアップ。また、ヘッドカバーの樹脂化も実施して、軽量化と静粛性向上を同時に行なっている。
FB16は燃料噴射はポート噴射式だが、インジェクターの改良で燃料の噴霧特性を改善しており、エンジン本体でも圧縮比を10.5:1から11.0:1に引き上げて熱効率アップを図っている。こちらもFB20同様にTGVやEGR性能が施され、実用燃費が向上している。
排気系のレイアウトも変更。従来は右側(運転席側)に集合させていたのを左側に集合させてマフラーへと導いている。この変更に合わせて軽量化と、エキゾーストマニホールドのさらなる等長化を実施している。
トランスミッションもインプレッサで大改良されたもので、超ショートピッチチェーン化と合わせた変速比のワイド化、大幅に軽量化したトルクコンバーター、溶接一体構造のファイナルギヤユニットなどにより、加速レスポンスや発進加速性能と燃費性能の両立が図られている。変速比のワイド化は悪路などでの低速走行での使い勝手向上にも役立っている。
XVではファイナルギヤの追加が行われている。インプレッサの1.6リッターエンジンで3.900、2リッターでは3.700の減速比だが、XVでは大径タイヤとなっているので一段ローギヤ化され、1.6リッター用に4.111のギヤ比を新設し、2リッターは3.900にして性能の最適化が行われていて、インプレッサと遜色ない乗り味を得ている。
チェーン式CVT特有のノイズについても、超ショートピッチチェーンによる音源からの改良やオイルポンプの低回転化のほか、ミッションケースを遮音材で覆ったりすることで、常用域では気にならないレベルに抑えている。
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