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高級車の定番といえば「七宝焼エンブレム」! やはり「日本の伝統」だけに永久に不滅なのか!?

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高級車の定番といえば「七宝焼エンブレム」! やはり「日本の伝統」だけに永久に不滅なのか!?

 これまで高級車やスポーツモデルのエンブレムに使われてきたのが「七宝焼」。日本の伝統的な工芸技術は世界的にも評価の高いものだが、ここではその七宝焼をエンブレムに採用していたクルマたちを紹介しよう。

文/永田恵一、写真/トヨタ、日産、いすゞ、ベストカー編集部

高級車の定番といえば「七宝焼エンブレム」! やはり「日本の伝統」だけに永久に不滅なのか!?

■そもそも「七宝焼」って何よ?

 七宝焼の起源は古代エジプト文明にあると言われており、あのツタンカーメンの黄金のマスクにも七宝焼きの技術が使われていたという。

 一方、七宝焼は古墳時代末期に日本に伝わり、江戸時代に七宝瑠璃と呼ばれるものが作られた。

 七宝焼は素材に土ではなく金属とガラスを使い、窯で焼き上げるという焼き物である。多くの工程を経て完成するものだけに独特の美しさを持ち、古くは王族が好むなど、ステータス性の高いものになっていった。

 現在でも七宝焼はアクセサリーやお皿のような実用品などに使われ、贈り物やお土産にすると喜ばれる存在として愛されている。七宝焼が日本らしい丹精込めて作られる伝統工芸品なのを踏まえると、家で例えれば表札のようなものにあたるクルマのエンブレムに使われていたのは「なるほど」と感じさせる。

 なお、七宝焼の七つの宝というのは金、銀、瑠璃、玻璃、硨磲、珊瑚、瑪瑙に由来していると言われており、この点も七宝焼に対する憧れやステータスを押し上げた。そこで、七宝焼エンブレムを使ったクルマたちを紹介していこう。

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■トヨタ2000GT(1967年)

1968年に登場したトヨタ2000GT。その美しいボディデザインは今なお輝きが褪せない名車だ

 2000GTは当時ラインナップにスポーツカーを持っていなかったトヨタが、社のイメージリーダーとなる国際的なスポーツカーとして開発されたモデルである。

 2000GTは2L直6となるDOHCエンジン、四輪ダブルウィッシュボーンサスペンション、四輪ディスクブレーキ、マグネシウム製ホイールなどを採用。当時の日本車にとっては夢のようなメカニズムを満載したモデルだった。

 なお、その性能は0-400m加速15.9秒、最高速205km/hという世界に通用するものだった。さらに2000GTは市販前のプロトタイプが72時間、1万マイルといった一定の時間や距離を走るFIA公認のスピードトライアルに挑戦。みごとに2000GTが属するクラスにおいて速度記録のレコードを樹立した。

 また2000GTはエンジンのDOHCヘッド、インテリアでは木製のハンドルやパネルをはじめ、生産も担当するなど、ヤマハ発動機の多大な協力のもと世に出たモデルでもあった。

 七宝焼で作られた2000GTのエンブレムは逆三角形で、銀色の縁取りのなかに上から黒い下地にTOYOTA、白い下地に2000GT、茜色のチェッカーフラッグというシンプルなものだった。

 当時、日本を代表するモデルだった2000GTが七宝焼のエンブレムを使ったのは、クルマそのものだけではない日本のアピールという面でも深い意味を感じさせる。

■いすゞ117クーペ(1968年)

イタリアのカロッツェリア、当時のギア社に在籍したあのジョルジット・ジウジアーロ氏がデザインを担当した117クーペ

 2ドアクーペの117クーペはベースが当時でも新しさは薄かったセダンのフローリアンがベースだったこともあり、スポーツ性は薄いモデルだった。しかし、その内外装だけでなくパッケージングやコンセプトはイタリアのカロッツェリア(デザインスタジオ)であるギア社に当時在籍していたあのジョルジェット・ジウジアーロ氏が担当。

 117クーペはその美しさだけで存在意義があったのに加え、日本車においてフル4シーターのクーペというジャンルを確立したことでも歴史に残るモデルとなった。

 そのボディは手作業で生産させていた前期型、プレス成型による量産となった中期型、ヘッドライトが角目四灯となった後期型という改良を受けながら1981年まで13年間生産され、こちらもジウジアーロ氏のデザインとなるピアッツァを後継車に絶版となった。

 七宝焼が採用された117クーペのエンブレムは日本と中国に伝わる神獣である唐獅子で、これはジウジアーロ氏がいすゞのクルマということもあり、「東洋を象徴する何かを」という意図で選んだものといわれている。

 そのうえ117クーペのエンブレムは七宝焼なのだから、これはジウジアーロ氏やいすづの開発陣による「和の演出」という粋な計らいだったのかもしれない。

■トヨタ初代MR2(1984年)

1984年、日本初のミドシップモデルとして登場したのが5代目カローラの基本コンポーネンツを使用した初代MR2

 日本初のミドシップカーとなった初代MR2は、当時FF化されたばかりの5代目カローラのパワートレーンをミドに移動した点など、ミドシップのスポーツカーとしては比較的簡易な成り立ちとなるモデルである。

 しかし、その走りはシャープなハンドリング、トラクションやブレーキ性能の高さなどミドシップのスポーツカーらしい研ぎ澄まされたものだった。それだけに運転する楽しさや「実用性と引き換えに高い運動性能を得られる」点などを初代MR2が日本人に教えた功績は大きかった。

 初代MR2のエンブレムはそれほど価格が高いモデルでないにもかかわらず、MR2のキャラクターともリンクする猛禽類が描かれた七宝焼(さらにWは分かりにくいが、型式のAWもイメージしていると言われている)で、この点は「日本初のミドシップカー」という意気込みも象徴したものだったのかもしれない。

 しかし、MR2のエンブレムは2代目モデルになった際に現在まで続くトヨタのTをイメージしたものに移行し、初代MR2のエンブレムの補修部品もある時期から通常のプラスチック製に変更された。

■トヨタ初代スープラ(1986年)

1986年、それまでのセリカXXから車名をグローバル名のスープラに変更してフルモデルチェンジを受けた初代A70型スープラ

 セリカXXがフルモデルチェンジしたモデルとして、フルモデルチェンジを期に車名も世界統一名となった初代スープラは、セリカXXと同様にソアラの兄弟車となるスポーツカーである。

 スポーツカーのなかでもGTカーのキャラクターが強かった初代スープラはスポーツカーらしいシャープさには欠けたものの、当時日本最強となる230psの3L直6ターボの搭載による速さやコントロール性に優れるハンドリング、そしてにアメリカンな雰囲気もあり人気車となった。

 初代スープラのエンブレムが臙脂色の七宝焼なのは、初代スープラが初期モデルでは「TOYOTA 3000GT」というキャッチコピーを使っていた点をはじめ、2000GTの再来のようなモデルを目指していたことからもよくわかる。

 その後、1990年のマイナーチェンジの際に初代MR2同様、トヨタのエンブレムに移行した。しかし、現在はトヨタが製造廃止となった古いモデルの純正パーツを復刻するGRヘリテージパーツで、初代スープラの七宝焼のエンブレムが復活している。

 価格は4万2900円と安くはないが、こういったパーツが新品かつ現代の環境関係の法規を満たしたうえで手に入るというのは喜ばしいことだ。

■日産インフィニティQ45(1989年)

日産が初代セルシオに対抗して日本のオリジナル高級サルーンとして走行性能もスポーティに振ったインフィニティQ45

 インフィニティQ45はトヨタが同時期に登場した初代セルシオを開発しているという情報を入手し、開発が始まったと言われている、ベンツSクラスやBMW7シリーズ級の高級セダンである。

 インフィニティQ45は同じ後発でも初代セルシオがオーソドックスに静粛性やクォリティの高さといった高級車に求められる要素を追求したのに対し、エクステリアのデザインや高級車でありながらBMW7シリーズ以上にスポーティな走りなど、攻めた高級車ともいえるモデルだった。

 しかし、インフィニティQ45の販売は初代セルシオの大成功とは対照的に低調で、セドリック&グロリアの上級版となるシーマの3代目モデルを後継車に一代かぎりで絶版となった。

 インフィニティQ45のエンブレムが七宝焼だったのは、インフィニティQ45は「ジャパンオリジナル」というコンセプトを掲げており、メーカーオプションで漆塗りのパネル(40万円超え!)を設定していた点などからも納得できることであった。

 しかし、インフィニティQ45は販売低迷の大きな原因が七宝焼のエンブレムが付くグリルレスのフロントマスクにあったこともあり、マイナーチェンジでフロントマスクをグリル付きのものに変更。それに伴い七宝焼のエンブレムも廃止となった。

 なお、このマイナーチェンジでは漆塗りのパネルも廃止され、インフィニティQ45が提唱した「ジャパンオリジナル」のわかりやすい部分はなくなり、初志が薄れたのも否めなかった。

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みんなのコメント

2件
  • e830rock
    初めてのマイカーが中古のAW11だったけど、ディーラーオプションだったかのアクセサリーキーも(フロントエンブレムと同じデザインの)小さな七宝焼きが付いてた。
  • m_k********
    なんでも鑑定団に持っていけばそこそこの値はつくのだろうか
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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