[’89~] 400直4ネイキッドブームの到来【ゼファー前後で歴史が変わった| 400ccで見るバイクの歴史 #1】
’90年代前半に加速度を増した400ccネイキッドブーム。’90年代末に近づくと、CBやXJRらも大幅刷新を敢行し、一段と完成度を増した。その一方で、“400cc”という排気量の縛りを揺るがす制度改正や、排ガス規制の強化も行われ、ネイキッドブームは陰りを見せ始める。
●文:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:真弓悟史
免許制度変更→ビッグバイクのハードルが大幅に下がった
’90年代末にさしかかると、ゼファー以降に登場したCBやXJRもビッグチェンジを果たした。特にCBはバルブ休止機構のハイパーVTECを導入し、新次元に突入する。またCB400フォアのように、より先祖帰りしたモデルまで登場した。
しかし、400ネイキッドも人気に陰りが見え始める。免許制度が変更され、1997年から指定教習所で新たに区分された「大型自動二輪」の教習がスタート(道交法改正は1996年9月)。401cc以上のハードルが大幅に下がり、時代は大型がブームに。筆者もその一人だが、大型に乗り換えた400直4ネイキッドユーザーも多かった。また1998年10月から排ガス規制が厳しさを増し、コストも増大。こうして400ネイキッドは主役から退いていく。
そして決定打となったのが、2006年10月から適用された平成17年度規制。CB400SF/SBを除く400ネイキッドはすべて生産終了に。多くは’08年型がラストモデルとなった。
―― 従来、大型に乗るには免許試験場での“一発試験”を受ける必要があったが、1997年から教習所での講習がスタート。ステップアップするライダーが多かった。 [写真タップで拡大]
’98 YAMAHA XJR400R:より迫力を増し、乗りやすく
初のマイナーチェンジで2世代目に進化。外装を兄貴分・XJR1300風のデザインとし、質感がアップした。これに伴い、タンク容量が+2Lの20Lとしたほか、新設計のメーターやシートなどで使い勝手も向上している。好評のブレンボとオーリンズは継続採用され、’98からRに一本化された。
―― 【YAMAHA XJR400R】■全長2085 全幅735 全高1090 軸距1435 シート高760(各mm) ■車重179kg(乾) ■空冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 399cc 53ps/11000rpm 3.6kg-m/9500rpm ■燃料タンク容量20L ■タイヤF=110/70-17 R=150/70-17 ●価格:59.9万円 ※諸元は’98年式
―― 【多機能メーターを投入】砲弾メーター内に液晶パネルを追加。時計とツイントリップを表示可能になった。フォークガードも新採用。 [写真タップで拡大]
―― 【跳ね上がったテールカウル】シートは、プレーンな従来型に対し、高級感のある造りに。跳ね上がったテールも’98以降の特色だ。 [写真タップで拡大]
よりクラシックに、よりスポーティーに。次の“一手”も出た
400ネイキッドが成熟期を迎えた’90年代後半、メーカーは正統派の次を探し始める。ひとつはクラシカル路線で、CB400SFよりレトロな雰囲気を求めたCB400フォア、スズキ伝統の油冷に立ち返ったイナズマが登場。水冷直4を新設計したFZ400は、ネイキッドを超えたスポーツ性能を追求したが、いずれも短命だった。
―― 【’97 HONDA CB400FOUR】CB400SFをベースに、4本出しマフラーなどCB750フォア風のフォルムを投影した。 ■192kg(乾) 399cc 53ps 4.1kg-m [写真タップで拡大]
―― 【’97 SUZUKI INAZUMA】同社のシンボル、油冷エンジンをクラス初搭載。750cc並みの大柄な車体を誇った。 ■185kg(乾) 399cc 53ps 3.7kg-m [写真タップで拡大]
―― 【’97 YAMAHA FZ400】「ネイキッドを超えた新スポーツマルチ」を謳い、フレームマウントのカウルやモノサスペンションを採用。 ■177kg(乾) 399cc 53ps 3.8kg-m [写真タップで拡大]
’99 HONDA CB400SF:VTECでパワーと環境性能を兼備!
クラス王者のCBが初のフルチェンジ。排ガス規制適合と走りの楽しさを両立させるため、動弁系にハイパーVTECを新たに投入した。油圧機構でバルブ数を切り替え、低中速の力強さと高回転域のシャープな吹け上がりを両立。さらに新設計のフレーム+前後サスペンションで完成度を増し、国内を代表する定番スポーツの座を不動のものとした。
―― 【HONDA CB400 SUPER FOUR】■全長2050 全幅725 全高1070 軸距1415 シート高760(各mm) ■車重168kg(乾) ■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 399cc 53ps/11000rpm 3.9kg-m/9500rpm ■燃料タンク容量18L ■タイヤF=120/60ZR17 R=160/60ZR17 ●価格:60.9万円~ ※諸元は’99年式
―― 【世界初機構で走りは爽快。人気はより盤石に!】従来型の心臓を基盤に、二次エア導入機構とハイパーVTECを導入。’80年代に存在したCBR400FのREVや4輪のVTECと異なり、カムがリフターを介してバルブを押す“直押し”のバルブ休止は量産車世界初。6750rpmを境に出力特性が豹変し、圧倒的な支持を受けた。 [写真タップで拡大]
―― バルブリフター内に設置した切り替えピンがハイパーVTECの要。6750rpmで油圧によりピンがスライドするとカムの回転でバルブが作動する。カタログでもVTECをアピール。 [写真タップで拡大]
2000年以降:熟成を重ね、新星GSRもデビュー
規制適合をメインに、各社の400ネイキッドは’00年以降も熟成を続けた。中でもフルチェンジした3代目XJRと、CB400SFのハーフカウル仕様であるSBは話題に。しかも’06年にはブランニューのGSR400が登場。クラス最高の動力性能を持つ新世代として脚光を浴びた。
―― 【’01 YAMAHA XJR400R】250か所に及ぶ大改良で、クラス唯一のBSRキャブ/新設計スイングアーム/モノブロックのMOSキャリパーを投入。’04でイモビライザーなどを採用した。 ■177kg(乾) 399cc 53ps 3.6kg-m [写真タップで拡大]
―― 【’05 HONDA CB400 SUPER BOL D’OR】高速道路2人乗り解禁を受け、高速巡航に適したハーフルカウル仕様を追加。ベースのSFは’03年のハイパーVTECスペックIIIでより緻密な制御を実現した。 ■175kg(乾) 399cc 53ps 3.9kg-m [写真タップで拡大]
―― 【’06 SUZUKI GSR400】兄弟車の600版をベースにスケールダウン。新作のDOHC4バルブ水冷直4に、クラス唯一のセンターアップマフラーやアルミフレームも自慢だった。さらに’09では馬力自主規制撤廃を受け、400初の61psをマーク! ■185kg(乾) 398cc 53ps 3.8kg-m [写真タップで拡大]
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