この記事をまとめると
■いまクロスオーバーSUVを中心にSUVが全盛
世界最強は「ランクル」に異論は? 「悪路御用達」のライバル5台と「データ」を比べてみた
■しかし悪路走破性を求める本格派にはクロカンが人気
■最新SUVでもっとも悪路に強いのはどのクルマか?
国産ではランクルやジムニーがクロカン4WDの代表格
言わずもがな、いまの世の中ではSUVが全盛です。ひとことでSUVといっても、キャラクターはさまざまとなっているのも事実。
中心となっているのは乗用車系プラットフォームを使ったクロスオーバーSUVですが、SUV専用設計となっているものもあれば、ハッチバックのバリエーションとしてのクロスオーバーSUVもあったりします。
トヨタでいえば、ハリアーやRAV4は前者にあたりますし、ヤリスクロスやカローラクロスといったモデルは後者となります。
こうした乗用車系プラットフォームに由来するクロスオーバーSUVではFF駆動となっていることも珍しくありません。それを「なんちゃってSUV」と揶揄する向きもありますが、大径タイヤのたくましいスタイリングをリーズナブルな価格で求めたいというユーザーニーズに応える商品企画といえます。
一方で、SUVスタイルに悪路走破性を求める本格派ユーザーもいます。そうしたユーザー層に人気なのが「クロカン」タイプのSUVです。国産車でいえばトヨタのランドクルーザー・シリーズや、スズキ・ジムニーといったモデルがクロカン4WDの代表格です。
欧州車の代表といえるのはランドローバー・ディフェンダーやメルセデスGクラスといったところでしょうか。アメリカのブランドでいえばジープ・ラングラーが本格派のクロカン4WDとして定番的な人気を誇っています。
こうしたクロカン4WDが悪路走破性を高めるために採用しているメカニズムのひとつがハイ/ローを切り替えることのできる副変速機の存在です。その採用のため、必然的にエンジン縦置きの専用プラットフォームが必要になってくるともいえるでしょう。
当然ながら、ここでピックアップしたモデルは、いずれも副変速機を備えています。副変速機でロー側を選ぶことで全体的な減速比が低くなり、駆動力を増すことができるというわけです。
数値で見るともっとも悪路に強いのはディフェンダー90
もうひとつ、クロカン4WDのメカニズム面での特徴といえるのが、最低地上高が大きく、路面とのクリアランスが確保されていることでしょう。そもそもSUVスタイルの基本が大径タイヤであるのは最低地上高を稼ぐためといえますが、クロスオーバーSUVよりもクロカン4WDのほうが、より大きなタイヤを履いています。
たとえば、スズキの軽自動車でいえばSUVスタイルのハスラーが履いているタイヤは165/60R15サイズとなっていますが、ジムニーは175/80R16と圧倒的に大きくなっています。
では、ピックアップした本格派クロカン4WDモデルの最低地上高とタイヤサイズを並べて比較すると、どうなっているのでしょうか。
・ジムニー:205mm・175/80R16
・ランドクルーザー:225mm・265/65R18
・ディフェンダー90:216~290mm・255/70R18 ※エアサスペンション
・Gクラス:271mm・275/50R20 ※海外仕様
・ラングラー:200mm・255/75R17
こうやって数値で見ると、もっとも悪路走破性に強いのはディフェンダー90といえます。ディフェンダー・シリーズのなかでボディが短いメリットは狭い場所での扱いやすさにも効いてくるでしょう。しかしアマチュアドライバーにとって悪路走破性を実感できるのは、意外にも最低地上高の余裕がもっとも少ないラングラーではないでしょうか。
ラングラーのルビコンというハードコアなグレードには、マッドテレインという滑りやすい状況に強いタイヤが標準装備されています。最近のSUVは電子制御によってトラクションを向上させる機能も満載ですが、物理的にいってタイヤグリップ力を超えた駆動力は生み出せません。
どのモデルにおいても悪路に最適化したタイヤを履かせれば同様の走破性は実現できますが、ひとまずノーマル状態で比較するのであれば、数値には現れないタイヤ性能の違いという部分にも注目すべきです。
悪路というのは道幅が狭いことも多く、そうしたシチュエーションではとにかくボディがコンパクトなことが有利。ですから「オフロードではジムニー最強!」という意見も多く見かけますし、それは事実でしょう。
ただし、本当に危険な状況となればボディをボコボコにしてでも安全な場所まで移動することが必要です。そうなったときの信頼感という意味では過去の実績が示すようにランドクルーザーやGクラスも無視できないクロカン4WDといえそうです。
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