2021日年2月23日、メルセデスベンツが新型Cクラスをワールドプレミアしたことを発表した。日本でもファンの多い輸入車だけに、ベンツのミドルクラスセダン&ステーションワゴンである新型Cクラスの登場は大きな注目を集めている。
その新型Cクラスのほぼ市販型と同じプロトタイプ車に、ドイツの自動車ジャーナリストである木村好宏氏が同乗ながら試乗することができた。
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超注目車、ベンツ新型Cクラスの気になる走りはどうなのか? ニューモデル解説&インプレッションをお届けします。
文/GK、Kimura-Office
写真/メルセデス・ベンツ、Kimura-Office
【画像ギャラリー】プロトタイプに同乗試乗!! 新型Cクラスの進化度を写真で見る
■Cクラスは実質的なメルセデスのエントリーモデル
セダン、ワゴンともに先代モデルより長く、幅広く、低くなった新型Cクラス
現行Cクラス(W205)は2014年から発売されているが、すでにグローバルの販売台数は250万台を超え、メルセデスベンツの最多販売モデルとなっている。
そして今回7年ぶりにフルモデルチェンジが行われたわけだが、発表会でメルセデスベンツの社長(CEO)のオーラ・ケレニウスは「アルファベットのCとSの間には大きな開きがあります。しかし、我々のモデルのCとSは非常に近い関係にあります」と興味深いフレーズを使ってニューCクラス(W206)を紹介した。
実は後輪駆動のCクラスは本当の意味でメルセデスベンツのエントリーモデルで「いつかはSクラスの階段を上がる第一歩」なのだ。
それゆえにデザイン、そして技術的にも非常にトップモデルに近いのである。Eクラスも当然、重要だが、こちらはある程度「エスタブリッシュ」したオーナーが多く、黙っていてもそのうちSクラスに移ってゆく可能性が高いオーナーが多いのだ。
ゆえにデザインもニューSクラスと同じデザイン手法となっており、後輪駆動車独特のキャビンの後退したキャブバックワード・プロポーションでダイナミックな印象を与えている。
大きな変更点は日本向けを含むほとんどの市場で新型は、グリル中央にスリーポインテッドスターがレイアウトされたデザインとなる。また、クラシックなメッキグリルとボンネット先端に付くスリーポインテッドスターの組み合わせによるデザインは、中国をはじめとする一部の市場に提供される予定である。
ボディサイズは、セダンそしてワゴンともに、全長4751mm、全幅1820mm、全高1438mm(ワゴン:1455mm)、ホイールベース2865mmで、先代モデルより長く、幅広くそして低くなった。
もちろんパッセンジャーもそれなりに恩恵を受けており、プロトタイプ試乗でも確かにそれを感じた。このサイズ拡大は同セグメントのライバル、特にアウディA4(全長4762mm)やBMW3シリーズ(4709mm)を意識した結果でもある。
■インテリアもSクラス同様に大きく進化
インテリアデザインもSクラスに近くなり、文字どおりワンランク上の高級感がある
一方、インテリアデザインもまるでミニSクラスである。
ドライバーの正面、コックピットには10.25インチ(26.0cm)あるいはオプションで12.3インチ(31.2cm)横長スクリーンを採用。そしてダッシュボード中央にあるセントラル・タッチ・ディスプレイはスタンダードで9.5インチ(24.1cm)が装備され、オプションでは11.9インチ(30.2cm)が用意される。
OS(オペレーティング・システム)はMBUX II(2世代目のMBUX)で、必ずしも「ヘイ・メルセデス!」と叫ばなくてもよくなり、「救急キットはどこにあるの?」と言う質問にも答えてくれる。
さらにクルマがスマホを介してモバイル・コントロールセンターとなり、スマートホーム機能によって自宅の室内温度や照明などをリモートで管理し、モーション・センサーで防犯機能までも持つことができるようになった。
またヘッドアップディスプレイは画面が9×3インチ(23cm×8cm)と大きくなったが、もちろんAR(オーギュメンテッド・リアリティ)も採用され、ボンネットの4.5m先の路面にナビの矢印が見えるような表示になっている。
そして、新しいMBUXで何よりも便利なのはソフトウェア・アップグレードがスマホやパソコンのようにOTA(オーバージ・エア)となり、そのためだけにディーラーに行く必要が無くなったことだそう。
■エンジンはガソリンの1.5Lと2.0L、ディーゼルの2Lを搭載
エンジンは4気筒ターボを採用し、従来モデルに設定されていた6気筒やV8は存在しない
搭載されるエンジンは、ガソリン仕様そしてディーゼル仕様もすべてFAME(ファミリ・ーオブ・モジュラー・エンジン)と呼ばれる4気筒ターボ(開発コードM254)。
ガソリンエンジンの排気量は1.5Lと2Lの2種類で、出力は170ps、204psそして258psとなり、従来モデルに設定された6気筒やV8は存在しない。
AMGバージョンにはおそらく4気筒のM139エンジンが搭載されるだろう。また、ディーゼル仕様の排気量は2Lのみで200psと265psを発生する。
すべてのエンジンには、メルセデスとメルセデスAMGペトロナスF1チームとの共同開発による新しいツインスクロールターボが搭載されている。
さらにまたガソリン、そしてディーゼルにも48VのISG(インテグラル・スターター・ジェネレーター)を搭載しており、コースティング中にエンジンをカットオフして燃費を稼ぐほか、アイドリングストップからの再スタートが格段に静かにスムースになっている。
ニューCクラスには当然のことながら多くのバリエーションが用意されているが、クーペそしてコンバーチブル以外で、まったく新しい「オール・テレイン」と呼ばれる背の高いワゴンと、航続距離が100~150kmと大幅に拡大したc300e(P-HEV)が注目されている。
ニューCクラスは、セダンが今年の夏までに、そしてワゴンがその後年内、という順にドイツで夏からデリバリーが開始されるが、日本ではセダンが早くて年内と予想されている。価格はまだ発表されていない。
■発表前のプロトタイプに同乗試乗することができた!
同乗試乗したプロトタイプは市販車とほとんど同じ仕様のものだ
実は、今回発表されたニューCクラスのプロトタイプにすでに試乗するチャンスがあった。
とは言っても助手席からの報告になるが、ドライブとクルマの解説を担当してくださったのはCクラス開発担当主査のクリスチャン・フリュー氏で、このニューモデルを知るに当たって、彼以上に適切な人はいない。出発地点はシュツットガルトのメルセデスベンツ本社であった。
試乗車のグレードはC300 4マチック(4WD)AMGラインだ。
パワフルな印象を与えるボンネット上の2本のパワードーム、オプションの19インチタイヤにも対応可能なワイドなホイールハウスオープニング、さらにフロントのトレッドは明らかに広がり、踏ん張るようにボディから若干はみ出したフロントタイヤは安定感とスポーティな存在感を見せている。
キャビンを見回すと、Cクラスは発表されたばかりのニューSクラスから多くを引き継いでいることがわかる。インスパイヤード・バイ・Sクラスだ。
仕上げは豪華で、オーナーが頻繁に触れる箇所の素材はすべてソフトタッチ、もちろんそれほど重要でない部分の素材(プラスチック)はそれなりに安っぽい。
一方、メカニカル・スイッチ類はできるだけ省略されている。唯一、タッチ機能でないのはセンターディスプレイの真下にあるハザード・スイッチくらいである。
■現行Cクラスの強みがさらにアップグレードされている
広くなった印象の室内。実際に座ってみると数値以上の広さを感じた
室内は広くなった印象を受けたが、フリュー氏は「パッケージングを改善して、前席の肘周り、全長を伸ばしてリアシートのレッグルームも延長されました。実際に乗った感じは数字以上の恩恵がわかると思います」と語ってくれた。
フリュー氏の説明では新しいCクラスに6気筒エンジンを採用しないのは、MRA-IIという新世代のアーキテクチャーが使われているが、エンジンルームなどに大掛かりなモディファイを施す必要があるため、と説明された。
フリュー氏のドライブは非常にスムースで、それがいっそう、ニューCクラスの滑らかで快適な乗り心地を感じさせてくれる。実はこれこそがニューモデルの目指したところでもあるのだ。
テスト中のC300には採用されていないが、Cクラスには後輪ステアリング・システムもオプションで用意されるはずで、スポーティで安定したハンドリングを提供できるに違いない。
およそ4時間、300km近くにおよぶドライブで新しいCクラスは現行モデルの強みをさらにアップグレードした兆候を確かに感じることができた。Cクラスは2021年に最も期待されるニューモデルの一台になることは間違いないだろう。
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みんなのコメント
アウディは値引きで頑張って売るしか選択肢はないだろう🤮