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富士24時間:GRヤリスがデビューウイン!「すべてのスタッフに感謝」モリゾウも喜び

掲載 更新 11
富士24時間:GRヤリスがデビューウイン!「すべてのスタッフに感謝」モリゾウも喜び

 9月5~6日、富士スピードウェイで開催されたピレリスーパー耐久シリーズ第1戦『NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース』。途中、雨で長い中断もあったレースだったが、9月6日15時、チェッカーのときを迎えた。ST-2クラスでは、ROOKIE RACINGのトヨタGRヤリスがクラスポールポジションからノートラブルでデビューウイン。9月4日に発売が開始されたばかりのレースでの優勝となった。

■予選からみせた速さ。しかし決勝への指示は「壊せ」
 さまざまなカスタマー向けレーシングカーや市販車改造マシンが競い合うピレリスーパー耐久シリーズの2020年シーズンのなかでも、注目も一台と言えたST-2クラスのGRヤリス。参加するST-2クラスは、2001cc~3500ccまでの四輪駆動車両、および前輪駆動車両が対象で、これまでクラス最強だったスバルWRX STIをはじめマツダ・アクセラSKYACTIV-D、ミツビシ・ランサー・エボリューションXを相手に、1.6リッター3気筒ターボのGRヤリスが挑む構図となっていた。

トヨタ『GRヤリス』が発売開始。価格は265~456万円、発売を記念したオンラインイベントも開催

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が遅れたが、待望の開幕戦となった今回の富士24時間に向けて、ROOKIE RACINGは井口卓人、佐々木雅弘、勝田範彦、さらに市販車のGRヤリスの開発を担った石浦宏明、そしてトヨタ自動車の豊田章男社長自らが、“モリゾウ”としてドライバーのひとりとして参戦。9月4日の市販GRヤリスの発売日に行われた公式予選ではポールポジションを獲得した。

 このスーパー耐久用のGRヤリスは、レース参戦に必要なロールケージの装着をはじめ、ミッション、足回りなどの強化はされているが、エンジンは市販車のまま。しかし軽量さを活かし、「コーナリングが圧倒的に速い(石浦)」という。2リッターターボ四駆のライバルたちに対し、まずは予選で“速さ”をみせつけていた。

 しかも石浦によれば、「予選でスリックを履いて、1分55秒台で走りましたよね。市販の『ハイパフォーマンス』というグレードにノーマルタイヤの状態で、僕はこの富士を2分01秒で走っているんです。6秒差なんですが、そんなクルマは他にないと思う」というから市販のGRヤリスのパフォーマンスがうかがえる。

 予選までで“スピード”はみせたGRヤリスだが、決勝でもその快速ぶりをまったくゆるめる様子はみられなかった。それというのも、決勝を前にモリゾウから「壊せ」というある意味で異例の指示が出ていたからだ。決してクラッシュしろという意味ではない。いったいどういうことか。

「壊したところを強化して、ユーザーの皆さんの手に渡るときにしっかりしたものになるように、『この24時間をその舞台としてとらえろ』という指示を受けています。なので変に守って走るとかいうことではなく、全開で走って壊れたものは改良していく」と石浦は説明した。

 レース序盤から台風10号の影響もあり、強い雨が降り赤旗中断もあった今回の富士24時間だったが、石浦の言うとおりGRヤリスはハイペースでリードを築いていく。特に注目だったのは、モリゾウ自らがステアリングを握った序盤の雨のなか、安定したペースで周回を重ねていたことだ。じつはこれもGRヤリスの特徴のひとつだ。

「ジェントルマンドライバーに対するイージーさが特徴で、そのジェントルマンドライバーの代表がモリゾウさんなんですが、『“マスタードライバー”や“社長”ではなく、ジェントルマンドライバーの代表だから、思ったことがあれば言うから』と言ってくれています(石浦)」

■「関わったすべてのスタッフに、ご苦労様とありがとう」
 モリゾウからの「壊せ」の指示にもかかわらず、その後も安定したペースで周回を重ねたGRヤリスは、しっかりと24時間を走りきり、モリゾウがチェッカードライバーを担当。ST-1クラスに参戦に蒲生尚弥/豊田大輔/小倉康宏/河野駿佑/矢吹久/大嶋和也のラインアップで参戦したGRスープラとともに、2クラス制覇を飾った。

「拍子抜けするくらいトラブルがありませんでしたが、今まで散々走ってきましたから。ニュルブルクリンクを走ってきたときも、トラブルは出ていたんです。でもそれもすべて解消して市販車に盛り込んでいるので、そういった苦労が活きたのではないでしょうか」と石浦は笑顔で語った。

「予選では速さも証明できましたし、このクルマは今後、世界中のモータースポーツで使ってもらうクルマなので、こうして最初のレースで24時間走りきったことは、すごく安心してお届けできると思います。いろんなカテゴリーに出ればいろんなことが起きると思うので、それをまた次に活かしていきたいと思います」

 そしてレース後、クルー全員と喜び合ったモリゾウは「このクルマを開発するにあたり、関わったすべてのスタッフ、そして生産に関わったスタッフたちの努力があった。そしてこうしてレースの場にもってくることができ、さらに発売日にこうしてデビューウインを飾ることができました。やろうとしてもできないことですから(笑)。関わったすべてのスタッフに、ご苦労様とありがとうを伝えたいですね」とドライバーとして、そしてトヨタ自動車社長としての顔をみせながら、喜びを語った。

「ファンの皆さんに向けては、予選ではすでに速いことを証明することができましたが、24時間のレースのなかで、雨で中断はあったものの、20時間しっかり走ることができたので、“強いクルマ”だということも思っていただけたのではないでしょうか」

「そしてプロはもちろんのことですが、私のようなアマチュアドライバーが運転して、天候が変わっても速く走れるクルマだということも証明できましたから。今後も長く、新たにオーナーになるお客さまとともに、育てていきたいクルマだと思います」

 ヤリスというコンパクトハッチをベースとしながら、「モリゾウさんの『サーキットで開発をして、モータースポーツの現場から市販車に下ろして来るように』という意図から作られたクルマ(石浦)」としてレーシングドライバーとレーシングエンジニアが、市販車開発陣とともに開発してきたGRヤリス。これまでのトヨタ車のイメージを完全に打ち破るパフォーマンスを、社長自らが24時間レースという過酷な舞台で証明してみせた。

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みんなのコメント

11件
  • GRヤリスにしてもGRスープラにしても、初挑戦でクラス優勝は凄い
    特にGRヤリスは強豪のスバルWRXやランエボを破っての勝利だから凄すぎる
    買った人のニヤニヤ顔が目に浮かぶ。
  • 彰男社長すごいよねこの人
    超大企業の舵取りは色んなしがらみで楽ではないはずなのに協業とはいえスープラを復活させGRヤリスとかいう尖ったクルマまで出して
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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