ガソリンエンジンのハイブリッドより燃費良好? 国産車は「ゼロ」。なぜディーゼルハイブリッド車は登場しない?
欧州、北米、中国と世界の主要自動車市場では急速に電動化が進んでいるが、バッテリーの生産量や充電ステーションの電力供給量、安定供給のためのエネルギーの多様性や化石燃料の別な使い道の有無を考えれば、一気に電動オンリーに移行するのは難しい。
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それにハイブリッドは部品点数が多く、制御も複雑になるというのが問題点だ。それでもトヨタはスケールメリットと普及のために赤字覚悟の戦略で強引に乗り切って今の体制を築いた。やはり先見の明があったと言える。
現在、クリーンディーゼルを搭載した乗用車の雲行きが怪しくなっているが、ハイブリッドと組み合わされることで生き残る可能性はないのか、ここでちょっと考えてみたい。
文/高根英幸、写真/Mercedes-Benz、TOYOTA
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なぜ日本車にディーゼルHVは1台も存在しないのか
現在までの日本車史のなかで、ディーゼルエンジンとモーターを組み合せたディーゼルハイブリッドの乗用車は存在しない。しかしながら欧州では大衆車はおろか高級車でもディーゼルハイブリッドを販売している。この違いは何なのか。
日本で初めてのディーゼル・プラグインハイブリッドモデル「メルセデスベンツE350 de」
欧州車でディーゼルハイブリッドが販売出来ている理由は、大きく分けて3つある。まず1つは、乗用車のディーゼルエンジンを作り慣れているため、ハイブリッドにも移行しやすいという技術的なもの。
ふたつめは、ディーゼル乗用車の市場がすでに存在しており、ハイブリッド車を追加投入しても売り上げの予測がしやすいということ。
最後の3つめは、高級車にもディーゼルエンジンが搭載されてきた歴史があり、高価になるディーゼルハイブリッドも受け入れられやすいという歴史から来る部分だ。
ガソリンハイブリッドは、ガソリンエンジンの弱点をモーターが補うので、大幅な燃費向上が期待できる。
発進時にはモーターの強力なトルクがクルマを押し出し、エンジンの負荷を軽減、あるいはエンジン停止状態のまま発進できる。
そして、純エンジン車では減速時には熱エネルギーとして捨てていた、クルマが走り続けようとする運動エネルギーをモーターが回収して発電し、バッテリーを充電することで再び加速時のエネルギーとして使う。これがハイブリッドが燃費向上を果たす二大要素だ。
ディーゼルHVはガソリンHV以上に低燃費にできる?
いっぽうディーゼルは、低速トルクが強いので、発進加速でモーターにアシストしてもらう必要性は薄い。
それでも加速時などの高負荷状態では燃料を多く噴射しなければならないので、排ガス浄化の後処理装置の負担が増える。これを、モーターのアシストにより軽減すれば、燃費向上以外にも見込める効果がありそうだ。
つまり、現在尿素水を噴射してNOx(窒素酸化物)を還元しているSCR触媒(編注:選択式還元触媒。排ガス中の窒素酸化物を減らすためのシステム)などの替わりに、モーターアシストを使えば、コストはある程度相殺されるのではないだろうか。
ディーゼルエンジンにモーターを組み合せた効果は、ガソリンハイブリッドほど目覚ましくはないだろう。
けれどもガソリンハイブリッドよりも最終的には燃費性能は向上することは間違いない。なぜならディーゼルの方が熱効率に優れる内燃機であるからだ。
ディーゼルエンジンとハイブリッドシステムの両方が複雑かつコスト高である。しかしEV走行時の発熱を活用すれば解決につながるのではないだろうか
問題はエンジンとハイブリッドシステムの両方が複雑でコスト高であるために、車両価格が上昇してしまうと、発売しても収益性が見込めない可能性がある、ということだ。
それと技術的な問題は、ディーゼルは冷間時の運転が苦手、ということだ。空気を圧縮して高温状態になったところに軽油を噴射するため、燃焼室内の温度も大きく影響する。
そのため頻繁にエンジンを停止させたり、急に正常運転を強いることはディーゼルエンジンは苦手なのだ。
しかし、ディーゼルエンジン車でもアイドリングストップを実現しているし、ハイブリッドとなればエンジン以外にも、モーターやインバーター、バッテリーといった冷却が必要な熱源はある。
EVモードで走行している時に発生する熱をエンジンの保温に用いるなど工夫すれば、技術的にも解決できそうだ。
国産ディーゼルハイブリッドが今後登場する可能性は?
ランドクルーザープラドは2020年8月にディーゼルエンジンの出力をアップ。こうした本格派SUVはディーゼルHVと相性が良い、と筆者は指摘する
ランドクルーザーなどの重量級SUVは、ガソリンハイブリッドではなく、ディーゼルハイブリッドのほうが燃費も良く、走破性の高いクルマを作りやすい。
現在はガソリンハイブリッドとディーゼルの2本立てとなっているが、ディーゼルハイブリッドを価格上昇分もユーザーに受け入れてもらえるのではないだろうか。
あとはシリーズハイブリッドとしての可能性だ。2気筒でロングストロークのコンパクトな発電用ディーゼルエンジンをリアのトランクフロア下あたりに水平にマウントさせて、後輪をモーターで駆動する。
フロントにはインバーター、バッテリーはセンターのフロア下に収めれば、重量バランスも良く、ハンドリングも楽しめるようなRR(リアエンジン・後輪駆動)のディーゼルハイブリッド車を作れそうだ。
ディーゼルエンジンは軽負荷であれば燃料を少しだけ噴射すればいいので、振動も減らせるし燃費はさらに向上する。従来の常識では考えられなかったような、超ロングストロークの発電用ディーゼルエンジンが生み出されることだってあり得るのだ。
1983年販売当時、世界初の3気筒リッターターボを搭載していたシャレード ターボ
かつてダイハツはシャレードというリッタカーで、3気筒ディーゼルエンジンもラインナップしていたことがある。当時と現在では環境もかなり異なるが、シリーズハイブリッドならコンパクトカーからミニバンにまでディーゼルエンジンを搭載することも可能だろう。
また、現在の日本市場の印象では、高級SUVや高級なLクラスミニバンにディーゼルハイブリッドは受け入れられるのでは、と思う。
ディーゼルエンジンでフロントタイヤを駆動し、モーターでリアタイヤを駆動する電動4WDとすることでプロペラシャフトやトランスファーは不要となり、効率的なコストの配分が実現できる。
もちろんプラグインハイブリッドでEVモードでの走行距離を充分に確保していること。これなら少々お高くても、飛びつくユーザーは少なくないと思うのだが、いかがだろう。
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みんなのコメント
エンジンの排気温を上げることで微粒子を自動燃焼させるDPF再生を行うのですが、
それらには一切触れらていませんね。