直近タイカンで遠出の第一回目
前回のレポートからの間、2回タイカンで遠出をしてみたところ、意外な弱点を発見することになってしまった。
【画像】「遂に走行距離が3万km越え 知らなかったバッテリーの不都合」の写真をみる 全5枚
第一回目は、甲府から上越市まで片道約250kmの行程を1泊2日で訪ねた時の事だ。旅行日は11月11日で、天気予報は珍しく典型的な冬型になった。という事は、出発地点の甲府は晴れだが、到着地である日本海沿いの上越市は雨、またはみぞれの可能性があるという状況であった。
前夜に8kWの充電器で満充電にしていたので、出発時の走行可能距離は382kmあり、目的地に余裕で到着し現地での移動も問題ないと思われた。
ところが、上越市までの高速道路のルートを見ると判るが、中央道で八ヶ岳の裾野の小淵沢までの勾配、そして長野道で姨捨に至る峠、さらに信越道の妙高高原へのアップダウンと、3つの上り下りがあり、従って電力の消費は実際の走行距離よりもかなり多く、上越市に到着した時には、走行可能距離は100kmを切っていた。
50kmを切るとかなり強力なワーニング
上越市内で、くびき野レールパークまで往復したりしているうちに、どんどんメーターの数値は減り、宿であるルートインに到着した時には、走行可能距離が47km/バッテリー残量14%となっていた。走行可能距離が50kmを切るとかなり強力なワーニングが点くのも、初めての体験であった。このレベルになると、正直、かなり不安になる。
事前に、上越市周辺のEV充電器の情報を収集すると、殆どは3kWであり、タイカンレベルのEVに必要な6~8kWの充電器は、ルートインに6kwhがあるだけだと判った。上越市のような人口20万人未満レベルの都市では、ポルシェのディーラーは存在せず、民間でもまだ充電器の整備は全く進んでいないので、充電インフラは極めて脆弱であると感じた。
ルートインでは充電器の予約もお願いしていたが、現地に到着してみると、エネチェンジのシステムが装備されていた。実際の操作は簡単でQRコードを読み込んだのち、カード認証を選択すれば直ぐに充電がスタートする。開始時の電力は4.7kwhしか流れていなかったが、翌朝6時6分には満充電になるという表示が出ていたので、安心してクルマを離れた。
ところが、翌朝9時にクルマに乗り込むと、あろうことか、満充電のはずが61%/走行可能距離219km分しか充電されていなかったのである。これでは当然、甲府には帰り着かないので、途中の高速道路のSAで急速充電を行わざるを得ないことになってしまった。
なぜ。こんなことなったのか、原因は3つ考えられ、1つはホテルの電力ディマンドの関係で調整が働いた可能性、もう1つは、エネチェンジの充電器そのものの問題、最後はタイカンのシステムの問題であったが、すぐにエネチェンジの相談コーナーに電話をし、調査を依頼した。
エネチェンジの皆さんには大変失礼をした
この日は決局、妙高SAの50kwhの急速充電器で30分/22.6kwh。更に姨捨SAの40kwhで30分/18.2kwhの充電を行い、何とか甲府に帰着したが、このようなまるで「尺取り虫」のような充電を繰り返すことは、EVの航続距離の最大の弱点として、何としても避けたいと思っていただけに、実に腹立たしかったのである。
後日、エネチェンジ側で、系列の他ホテルを使い、同じタイカンを借り出してテストをしてくれた。その結果は、やはりこの程度の量しか充電できず、クルマに問題があるのでは、との報告が来た。
私は、これまでのタイカンの性能の高さからも、この調査結果に疑念を抱いたが、念のため、ポルシェのサービス・センターに問い合わせると、何と「バッテリー残量をギリギリまで減らしてしまうと、6kwh程度の普通充電器では、なかなか入って行かず、この程度になってしまいます。急速充電なら入るのですが」という唖然とするような答えが返ってきた。
こんなことなら、なぜ、あらかじめポルシェ側はユーザーにこのような現象を伝えないのか、体験した人にしか判らない、では話にならず、一気に不信感が募ったのである。私の場合、これまで、できるだけバッテリー残量を減らさないようにしてきたので、体験しなかっただけだったのだ。
このようなことが発生するからこそ、EVの浸透は進まないんだなー、としみじみ感じると同時に、エネチェンジの皆さんには大変失礼をした、とこの場を借りてお詫びをしたい。
直近タイカンで遠出の第二回目
第二回目は、1泊2日の旅で西伊豆の土肥温泉を訪れた。川崎の自宅から土肥までは約150kmであり、現在は、東伊豆道路ができているので、2時間半ほどのドライブの距離である。
残念ながら、宿泊先のホテルにはEV充電器が無く、来年2月にポルシェの充電器が装着される予定だという。往復300km程度なら充電なしでも走行可能だが、スカスカで帰宅してからの充電時間の問題を考慮して、帰りの東名高速足柄SAで30分の充電を行った。
もし、内燃機関のクルマでこの2回の旅行をしたなら、特にディーゼルを使用したなら、この程度の走行距離で、燃料のことなど頭に浮かびもしなかっただろう。そう考えると、EVを使用するという事は、現時点で実に煩わしい、という結論にならざるを得ない。
しかも急速充電器を使用する際の料金は、契約内容で異なるが総じて高く、軽油の料金と大差はないことにも成りかねない。
日本国内では、欧米や中国に比べ、EVの進捗率が低いと新聞やテレビでは騒いでいるが、もっと切迫した状況になるか、画期的な技術(例えば個体電池)が生まれるかしないと、賢明な日本国民はそう簡単にはEVを買ってくれそうもないと思う。
12月23日現在でタイカンは3万308kmを走破している。川崎と甲府の往復を繰り返すだけなら、双方に8kwhの充電器を装備しているので、いわば最高のインフラが整っており、何も問題はないが、ひとたび、他の地方に出かければ、インフラの脆弱性に唖然とするしかないのである。だからこそ、経済産業省の充電インフラ検討会議でも、せめて、宿泊施設の充電器の充実を訴えてきたが、まだまだ、これからの話である。
因みに、先回のレポートからの進捗を報告すると、11月3日から12月23日までの50日間で2928kmを走り、その間に830.98kwhの充電を行った。従って今回の電費は3.52km/kwhと悪化した。この原因は主に、気温が下がって、ヒーターを強く使い始めた事が一番効いているだろう。12月下旬となり更に気温が冷え込んだ現在の、満充電時の走行可能距離は350km台まで下がっている。
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みんなのコメント
旅行行ってもマッタリできそうもない。
いつかは電気自動車の時代にはなるかも知れないが、まだ普通の人が買うレベルじゃない。
高額電気自動車なんかで遠出を試みることやるなら、金が余って時間も余裕ある、金持ち無職者が乗る車と言う事でしょう。