富裕層が好むSUVの地位を固めたW463
大体のモノには、その分野を代表する広く知られた存在がある。スポーツカーといえば、ポルシェ911かもしれない。高級オフローダーといえば、メルセデス・ベンツGクラスがその1台に数えられるだろう。
【画像】維持費に耐える価値はある メルセデス・ベンツGクラス W463型と現行のW463A型 全121枚
オリジナルは軍用車として開発され、1979年にコードネームW460型の民生仕様がリリースされたGクラスは、1990年にマイナーチェンジ。W463型へアップデートされ、富裕層が好んで乗るSUVとしての地位を固めた。
約30年間、改良を重ねながら生産が続き、2018年に現行のW463A型へバトンタッチしている。完全なモデルチェンジとまでは呼べないが、モダンさとラグジュアリーさを大幅に高め、一層インスタ映えするオフローダーになった。
運転しやすいのは最新型であることは間違いないが、登場から年月が経過したW463型なら、比較的現実的な金額で選ぶことができる。やはり、Gクラスには独特の訴求力がある。
今回取り上げるW463型は、英国仕様ではG300 CDIの3.0L直列6気筒ディーゼルターボから、G 65 AMGの6.0L V型12気筒ガソリン・ツインターボまで、多彩なパワートレインを搭載。幅広いニーズへ応えた。
英国編集部が万能選手として推すエンジンは、3.0L V6ディーゼルターボのG320 CDI。静かで洗練され、滑らかに回転しつつ54.9kg-mの豊かなトルクを生み出す。それでいて燃費もGクラスとしては悪くなく、普段使いでも6.2km/L程度は走る。
質実剛健で上品さもあるスタイリング
Gクラスの魅力といえば、無骨な見た目もその1つ。空気力学は考慮されていなくても、整ったスタイリングは質実剛健でありながら上品さも漂う。キャンプ場だけでなく、高級ブランドが立ち並ぶ目抜き通りを走っても、不自然さはまったくない。
大きなタイヤにサイドステップ、フロントフェンダー上のウインカー、テールゲートのスペアタイヤなど、オフローダーらしい特徴にも不足はない。四角い見た目と背の高いプロポーションで、実際より大きく感じられるはず。
もちろん、洗練された堅牢さも強み。前後のアクスルにロックデフを装備し、肉厚なタイヤと知的な四輪駆動システムを備え、オフロードでは圧倒的な能力を発揮する。ランドローバー・レンジローバーの単なる真似ではない、独自の設計が施されている。
車内空間はスクエアで、大人4名がくつろげる広さがあり、実用性にも優れる。内装には上級な素材がふんだんに用いられ、レンジローバーやポルシェ・カイエンといったライバルと互角の高級感に浸れる。
この時代のメルセデス・ベンツらしく、インテリア・デザインはシンプル。そのかわりスイッチ類は大きく頑丈で、タッチモニターが登場する以前のクラシカルな雰囲気は、むしろ好ましくもある。
上質な車内やエンジンの印象とは異なる走り
実際の走りは、ラグジュアリーな車内や洗練されたパワートレインの印象とは若干異なる。特に乗り心地と操縦性は、同時期のメルセデス・ベンツの水準には届いていないといっていい。
ステアリングホイールは重く、反応が正確とはいいにくい。コーナーへ侵入すれば、小さくないボディロールが待っている。
悩みのタネになりそうなのが、小さくない維持費。メンテナンス・コストが高いだけでなく、燃費も良好とはいえない。AMG仕様では、ガソリンはハイオク前提になる。真のアイコンを我が物にするうえで、避けられない試練といえる。
近年は特に注目を集める高級オフローダーの、元祖の1台といえるメルセデス・ベンツGクラス。W463型の登場から30年以上が経過しているが、今でも人気は高く、熱心なファンも少なくない。深く考えず、1度飛び込んでみるのも悪くはないだろう。
新車時代のAUTOCARの評価は
新しいフルタイム四輪駆動システムと、W124譲りの洗練された3.0Lエンジン、アンチロックブレーキなどを獲得し、能力の高さは間違いない。装備もレンジローバーに匹敵するほど充実している。
フルタイム四輪駆動が叶えるグリップ力や安心感の高さで、一般道での訴求力も高いオフローダーだ。(1991年2月6日)
オーナーの意見を聞いてみる
アフマド・カシャウィ氏
「存在感はかなり強いですよね。AMGのような高性能仕様では、アクセルペダルへ触れると、シートへ背中が食い込む勢いで加速します」
「1度走り出せば、とても快適に移動できます。ボディサイズは大きいですが、箱型ということもあって市街地でも扱いやすいと思いますよ」
購入時に気をつけたいポイント
トランスミッション
走行中に不自然な振動が出る場合は、プロペラシャフトの寿命が原因かもしれない。交換には、英国では1500ポンド(約24万円)ほど必要になる。
サスペンション
オフロードを許容する重いボディを支えるコイルスプリングは、ヒビが入ることがある。特に冬場は硬くなり割れやすいが、大きな音が出るため気が付くだろう。
エンジン
12万kmから24万kmと幅が広いが、一部のエンジンではクランクシャフト・センサーの交換が必要になる。燃費が極端に悪い場合や、エンジンの調子が優れない場合は、これが原因の1つ。
ブレーキ
車重が重いため、ブレーキの減りも早い。事前にパッドとディスクの厚みを確かめたい。
ボディ
悪条件でも構わず乗られることが多いため、Gクラスは比較的錆びやすい。ホイールアーチやバンパーの裏側など、細部まで良く確かめたい。広範囲に錆びていると、修理費用も高くなる。
インテリア
オフローダーだから内装は汚れがち。シートカバーは想像するより簡単に張り直せる。天井の内張りがたるんでいる場合は、過度に水が車内へ侵入したことが原因かもしれない。
電気系統
ヒーターや車内灯などの電気系統は、比較的故障しやすい。事前に一通り機能するか確かめたい。
英国ではいくら払うべき?
1万5000ポンド(約241万円)~2万4999ポンド(約401万円)
主に1990年代のW463型Gクラスを英国では探せる価格帯。軍からの払い下げ車両も含まれる。
2万5000ポンド(約402万円)~4万4999ポンド(約721万円)
V8ガソリンエンジンを積んだGクラスが出てくる。2000年代のG350 CDIも、価格帯の後半には含まれてくる。走行距離は8万kmから17万kmの間と幅が広い。
4万5000ポンド(約724万円)~6万4999ポンド(約1045万円)
状態の良さそうなディーゼルターボのW463型を英国では狙える価格帯。仕様は様々で、AMGも含まれる。走行距離は8万km前後が中心となる。
6万5000ポンド(約1046万円)以上
AMGの選択肢が増える。ディーゼルターボでも、装備が充実し走行距離が短い、状態の良い例を選べる価格帯。
英国で掘り出し物を発見
メルセデス・ベンツGクラス G 350 CDI ナイトエディション 登録:2017年 走行距離:7万5600km 価格:6万8950ポンド(約1110万円)
245psを誇る3.0L V6ディーゼルターボを搭載し、走行距離は年式相応。大きなバンパーとブラックのホイールで、かなり壮観な見た目だ。
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みんなのコメント
高性能な車のパーツは長持ちしない上に高額です。
ホイールが真っ黒になるブレーキパッド一つ取っても減り易いのですが圧倒的なパフォーマンスが有り
安全に繋がってます。
街乗りで少し固いと言われるサスも高速走行では吸い付く様に走り安定感がバツグンです。
一度乗れば虜になります。