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ポルシェ初のEV タイカン発表 テスラ・モデルSなどに対抗

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ポルシェ初のEV タイカン発表 テスラ・モデルSなどに対抗

主要ライバルを上回るパフォーマンス

ポルシェ・タイカンはEVのパフォーマンスにおける新たなベンチマークとして来年1月に英国で発売される。フランクフルト・モーターショーでの発表に先駆け、その技術仕様の詳細が公表された。0-100km/hの加速タイム以外では、主要ライバルを上回るパフォーマンスを実現するようだ。

【画像】ポルシェ初のEV タイカン・ターボ 全28枚

ポルシェによれば、タイカンのパフォーマンスの鍵となるのは、安価だが大きく重く安定性にも劣る非同期モーターではなく永久磁石同期型モーターだという。パッケージングや温度管理、それに効率性において、そのコストを正当化できる性能とのことだ。

90kWhのバッテリーにより、その車重は2.2トンに達するものの、現在販売されているポルシェ車の中で最も低重心であり、918スパイダーに匹敵するものだという。そしてその前後重量配分は理想に近い49:51だ。

電子制御プログラムにより、タイカンのレスポンスやハンドリングは最大限に高められており、プロジェクト内部筋によれば「クラスをリードするだけでなく、大きく引き離す」レベルだという。

スロットルのレスポンスは通常の内燃機関を搭載するクルマに比べ5倍、トラクションコントロールは10倍、そして前後のトルクベクタリングは5倍素早く反応するとのことだ。そして電動LSDは機械式のそれと比べ、ホイールの空転に対し50倍も素早く対応するという。ポルシェ・スタビリティ・マネジメントをスポーツにすることで介入度合いを減らすこともでき、また完全にオフにすることも可能だ。

0-100km/h 2.8秒 ニュルは997GT3同等

既存のライバルに対するアドバンテージはその動力性能だけではなく、独自のサスペンションにも存在するという。パナメーラのものをベースとする3本のチャンバーを備えるエアサスペンションを採用している。高速域では22mm車高が下がるほか、障害物があれば20mmリフトすることもできる。

ポルシェ・ダイナミック・シャシー・コントロール(PDCC)もオプションで用意され、パナメーラ譲りのアクチュエータにより限界域でもボディのロールをほぼ0にし、アンダーステアやオーバーステアにもミリ秒単位で対応できる。後輪操舵も用意され、高速域でのスタビリティや低速域での取り回しに貢献する。

ポルシェによれば、タイカン・ターボでは2基のモーターにより625ps、86.7kg-mを発生、その0-100km/h加速は3.2秒となる。一方ターボSではオーバーブースト時には760ps、107kg-mとなり、加速タイムは2.8秒にまで短縮されるという。

リアアクスルには2速のギアボックスが搭載され、最大加速時にはショートレシオが選択される。またドライブモードにより、4WD、前輪駆動または後輪駆動の間で切り替えることが可能だ。そしてニュルブルクリンクでは4ドアEVとして最速である7分42秒を記録しており、これは997型911 GT3と同じタイムだ。

比較として、テスラ・モデルSパフォーマンスはルディクラスモードでは0-100km/h加速を2.4秒でこなす。しかしポルシェによればタイカンはこの加速を繰り返し行うことができるという。そして聞くところによれば、テストドライバーはこの加速テストを26回行った時点でGにより気分が悪くなり、中断せざるを得なかったとのことだ。一方でテスラのルディクラスモードは温度やバッテリーの状態に制限があるほか、繰り返し行うことはできない。

実用性も妥協なし 後席でも快適に

さらに、ポルシェはタイカンの実用性についても妥協をしていないという。タイカン・ターボでは公式な航続距離は452km、ターボSでは420kmに達する。そして4シーターおよび5シーターが用意され、フロントには82L、リアには400Lの荷室が用意される。ここにはゴルフバッグを2セット搭載することができるようだ。

タイカンは現行パナメーラよりも少し短いが、後席の足元は深い足置き場が用意されているのが特徴だ。これは前席下のフロア上にバッテリーを搭載していることにより実現されている。これによりリアのスペースが拡大され、大人でも長距離移動を快適に過ごすことができるという。

911に近いドライビングポジションが与えられ、16.8インチの大型インストルメント・パネル、それに10.9インチのインフォテインメントスクリーンや8.4インチの空調用スクリーンが搭載される。またオプションにより10.9インチのタッチスクリーンを助手席用に取りつけることも可能だ。

ワイヤレスアップデート機能も搭載され、バッテリーや充電機能に加え、インフォテインメントなどを無線でアップグレードすることが可能だ。タイカン・ターボには20インチのホイールや、アダプティブ・エアサスペンション、アップル・カープレイ、ボーズ製オーディオ、マトリックスLEDヘッドライト、2ゾーン・クライメートコントロールなどが装備される。ただし、アンドロイド・オートは非対応とのことだ。ターボSではホイールが21インチになり、強化ブレーキや18ウェイの電動パワーシートが装備される。

タイカンのもうひとつの特徴として、初めて800Vシステムを採用したことが挙げられる。350kWでの充電により、5分の充電で航続距離100km分、また20分間で5%から80%までの充電が可能だ。ただし現在欧州ではこれが可能な充電設備はイオニティのみであり、英国では2カ所のみだが、今後40カ所まで増える予定だ。

より低速な充電器を使用する場合、タイカンは400Vの内蔵充電器を介して充電することになる。これは標準では現在英国では最も最速のものと同等の50kWだが、オプションにより150kWまで増強することができる。11kWの充電器を使用した場合、5%から80%までの充電に6時間から8時間を要するとのことだ。

高めの価格設定 下位モデルも追加予定

ただし、タイカンの価格は高めだ。ターボではオプション抜きで11万5858ポンド(1500万円)、ターボSでは13万8826ポンド(1798万円)とされている。一方テスラ・モデルSはロングレンジモデルで8万1550ポンド(1050万円)、パフォーマンスでは9万6150ポンド(1245万円)で587kmの走行が可能だ。

ポルシェはタイカンに対し3年間の保証をつけるが、そのバッテリーは8年間にわたり、新車時の70%以上の性能を保証するとのことだ。ポルシェによれば、すでにタイカンは3万件以上の予約を獲得しているという。役員のメシュケ博士はその生産能力を2万台程度と語っているが、これは「柔軟な」数字だという。ただし、納車までに1年程度の待ちが生じる場合もあるとのことだ。

ポルシェは今後数カ月の間に、より安価で低パワーなグレードも投入するとのことだ。しかしターボやターボSに比べ出力は劣るとはいえ、その航続距離は遜色ないものになるという。さらに、911のモデル構成をまね、さらにパワフルなバージョンが登場する可能性も示唆している。

そしてオリバー・ブルームCEOは、「このプラットフォームには大きな可能性があります」とも付け加えた。その例としてあげられたのは、来年登場が予想されるタイカン・クロス・ツーリスモだ。「ひとつの機会はクロス・ツーリスモです。このクルマはより多くの空間を持ち、オフロード走行も可能です。実際に試しましたが、タイカンのサーキット走行と同じくらい刺激的です」と語った。

Q&A ロバート・マイヤー モデルディレクター

—-タイカン・プロジェクトを総評すると?

「わたしはこのクルマの開発に4年前から着手しましたが、その指示は次世代のポルシェを作れというだけでした。EVとして一切の妥協はしていません。ポルシェに求められるすべての価値を兼ね備えています」

—-最大の難関は?

「解決しなければならない矛盾は数多くありました。ポルシェの持つ古典的価値と、革新性の対立はその最たるものです。ハイパフォーマンスでありながら機能的で、社会的にも受け入れられるものでなければなりません」

—-一番のお気に入りは?

「いくつもありますが、低い傾斜したボンネットですかね。これはフロントにエンジンがないからこそ実現できる、ポルシェのスポーツカーの象徴です。そして空力性能も満足しています。0.22というポルシェ車の中でも最良のCd値を実現するため、格納式ドアハンドルやアクティブ式クーリングフラップなどを採用しています」

「そして、このパフォーマンスの再現性も誇りです。一度きりのスリルを味わうのではなく、繰り返し楽しめるのです。これはライバルとの大きな違いでしょう」

—-タイカンのバリエーションは増える?

「現時点では2グレードのみですが、今後より大きなスペースを持つタイカン・クロス・ツーリスモが追加されます。その後も多数の可能性が考えられるでしょう」

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