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荷室の広さはQ3と同等 アウディQ3スポーツバック 45 TFSI クワトロに試乗

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荷室の広さはQ3と同等 アウディQ3スポーツバック 45 TFSI クワトロに試乗

単にルーフラインを下げただけじゃない

text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)

【画像】Q3スポーツバックとSUVクーペ 全155枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


アウディQ7のスタイリッシュなモデルはQ8だが、こちらはQ3に対してのQ4ではない。コンパクトSUVのクーペに充てられた名前はQ3スポーツバック。A3の5ドアボディや、A5の4ドアボディにも、「スポーツバック」という呼び方は用いられている。

アウディのラインナップ的にはイメージしやすい共通性はある。ちなみにQ4は、2020年に登場予定のEV版SUVに用いられる計画。Q3をスポーツバックらしく変えるために、アウディが施した手直しは、実は意外と大きい。

ルーフラインは49mmもQ3より低くなり、全長は長く、全幅はわずかに細くなっている。フロントとリア周りのデザインも大きく異なる。すべてのボディパネルが別物なのだという。

クルマの場合、天井を低くしたからといって、必ずしもルックスが良くなるとは限らない。筆者はBMW X4などはいい例だと思う。だが、アウディQ3スポーツバックの仕上りはなかなか良い。ベースとなった標準ボディのSUVよりもまとまりが良い、数少ないクーペスタイルのSUVかもしれない。美しいと感じるかどうかは、別だけれど。

Q3スポーツバックの視覚的な違いは主にエクステリアのみで、車内にいると通常のQ3ではなくQ3スポーツバックに乗っていることは、ほとんど意識しない。リアミラー越しの後方視界が狭いという違いくらいだ。

全長を伸ばすことで使い勝手も維持

クーペボディらしい特別さを求めるなら期待外れの車内かもしれないが、インテリアに特段不満を抱くこともないはず。そもそも組み立て精度や使い勝手に優れ、シンプルで先進的なテクノロジー感のあるインテリアデザインは、アウディの秀でた特徴でもある。

Q3スポーツバックは、上級モデルのようにデュアルモニターによる操作系は採用していない。走行中の操作という点ではむしろ物理的なボタンやノブの方が扱いやすく、歓迎できる部分でもある。

一方で先代のA3などと比べると、やや安価な素材が目につく。エアコンの送風口はいかにもプラスティック的で、質感にうるさいドライバーは残念に感じるかもしれない。

クーペボディを与えるに当たり、アウディはしっかり工夫も凝らしている。わずかに全長を伸ばしたことで、通常のQ3と同じ530Lの荷室容量を確保。後部座席の足元の空間にも余裕があるし、180cmくらいまでの身重の大人なら、頭上回りは窮屈でも不満なく座れる。

それを超えると頭を少しかがめる必要が出てくる。リアシートの背もたれを倒せば座高を斜め後ろに逃せるが、レンジローバー・イヴォークの方が後部座席の居心地はいいはず。

Q3スポーツバックの優先事項は、ルックスの良いバックシャンなSUVを作ることだったはず。だがちゃんと「スポーツ」も忘れてはいない。ステアリングは特別仕立てで、スポーツサスペンションも装備する。試乗車にはオプションのアダプティブ・ダンパーも付いていた。

走りの違いは引き締まった乗り心地程度

正直、この手のSUVを好んで購入する層の場合、Q3とQ3スポーツバックとの走りの違いに気づくことはないかもしれない。ステアリングのレスポンスが鋭さを若干増している程度で、両車を直接乗り比べてみない限り、その差を実感することは難しいだろう。

クルマの運転に落ち着いた雰囲気を好み、過度な刺激を求めないのなら、Q3スポーツバックを選んで後悔はしないだろう。運転して感じられる明確な違いは、標準のQ3よりも乗り心地がしっかりしていること。

路面状態が悪くても酷い衝撃にさいなまれることはないが、タイヤがどんな道を転がり進んでいるのかを意識させるような、細かな振動が常に伝わってくる。筆者としてはもっと落ち着きのある乗り心地をSUVには求めるものの、ドライバーによっては歓迎する人もいるだろう。

最も期待に沿わなかったのがパワートレイン。性能上はフォルクスワーゲン・ゴルフGTIと同等の加速性能を備えているが、額面ほどの鋭さを感じることはなかった。全体的に滑らかさが追求され、突発的な印象が薄められたからかもしれない。上質なことは良いのだが、迫力に欠けると感じることもありそうだ。

以前試乗した時もそうだったが、アクセルペダル操作に対しての反応が、どうにも緩慢に感じられる。デュアルクラッチATの変速マナーも、どこかシャキッとしたところがない。

総合力で見れば標準のQ3も捨てがたい

アクセルを踏み込まない限り、停止状態からの加速や追い越し加速でのキックダウンも、望み通りにはいかない印象だった。ドライブモードをスポーティなものに変えれば良くはなるが、今後登場するRS Q3スポーツバックには期待したいところだ。

確かに45 TFSIというトップスペックのエンジンを搭載したQ3スポーツバックでも、どこか生温さはある。とはいえQ3スポーツバックの競争力は低くなく、標準ボディのQ3にない部分をうまく補っているといえる。

ライバルがひしめくコンパクトSUVの中で、突出した存在感があるともいいにくい。ボルボXC40は優れたフィーリングと個性を備えているし、レンジローバー・イヴォークはより高級感が高く車内も広い。BMW X2の運転感覚は、明確にスポーティだ。

明確な欠点はないものの、際立った特徴もないのがQ3スポーツバック。もちろん、このクラスの購入を考えているのなら、候補として加える価値は充分にある。ただし、Q3の方が総合力で勝っていることも確かではある。

アウディQ3スポーツバック 45 TFSI クワトロSラインのスペック

価格:4万875ポンド(568万円)
全長:4500mm
全幅:1843mm
全高:1556mm
最高速度:231km/h
0-100km/h加速:6.5秒
燃費:11.1-11.3km/L
CO2排出量:171g/km
乾燥重量:1625kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:230ps/5000-6200rpm
最大トルク:35.6kg-m/1500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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