世界にただ1台だけの911
text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
【画像】ポルシェの伝統的スポーツカー【911の各モデルを写真でじっくり見る】 全264枚
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
964世代のポルシェ911をフルレストアし、軽いアップグレードを施した「HK002」なるモデルが、英国のTheon Designという会社から登場した。「純正レベルのデザイン、品質、製造技術、細部へのこだわり」を約束している。
自動車デザイナーのアダム・ホーリーが設立したTheon Designは、オックスフォードシャー州を拠点とし、ポルシェのレストア、特に964の「再構築」を得意としている。今回の車両は、同社にとって3台目のオーダーメイドであり、香港の顧客に向けた2台目の製品であることから、HK002と名付けられた。
HK002のベースとなっているのはオリジナルの964型911で、修復した後にデザインやパワートレインにアップグレードが施されている。
ポルシェらしさとオリジナリティ
デザインは歴代の911により近いものに微調整され、「ポルシェの豊かな伝統」に敬意を表したものとなっている。Theon Designによると、コンセプトカーをはじめ、過去と現在のさまざまなポルシェからデザインのヒントを得たという。
ボディシェルは、デジタルスキャンで独自の型を作成したオーダーメイド。「ロングフード」は初期の911から、ワイドフェンダーは後期のモデルからインスピレーションを受けている。
ほとんどのボディパーツは手打ちのスチール製だが、バンパーとスポイラーは「F1サプライヤー」から提供されたというカーボンファイバー製だ。将来的には、シェル全体をカーボンだけで作成することも可能だという。
デザインで注目すべきは、電動調整式のアルミ製サイドミラーで、これは2018年に限定販売された991型911スピードスターからインスピレーションを得たものだという。
ワイヤレス充電器など最新装備も
Theon Designは、3.6~4.0Lのエンジンを用意しており、ターボチャージャーのオプションも選ぶことができる。HK002に搭載された3.8L空冷フラット6は、強制吸気を行わず、オリジナル仕様の964エンジンを大幅に上回る376psと41.4kg-mのトルクを発揮する。
独立したスロットルボディ、ポート加工のシリンダーヘッド、軽量化されバランスのとれたボトムエンドなどのアップグレードが施されている。バレルとピストンはマーレ製のパフォーマンスアイテム、ロッドとカムシャフトはキャリロ製のカスタム品を使用している。
993世代以降の911に採用されている6速MTを搭載し、KWパフォーマンス・サスペンション・パッケージにより車高を下げた。また、パワーステアリングやエアコンシステムなどを低い位置に配置することで、50:50に近い重量配分を実現している。
室内にはレカロ製のスポーツシートやカーボントリム、ナルディ製のカスタムステッチ入りステアリングホイールなどが採用され、標準的な911とは一線を画している。レトロなデザインでありながら、バックカメラ、ステレオユニット、ワイヤレス充電器などの現代的な装備もダッシュボードにさりげなく組み込まれている。
Theon Designによるレストアおよびカスタムの価格は30万ポンド(約4500万円)から。1台ごとに設計が異なり、製作には約18か月を要する。
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