2021年フルモデルチェンジして11代目に進化したホンダ「シビック」。1972年に初代が登場して50周年となる22年中には、トップモデルのタイプRとハイブリッドのe:HEVモデルの登場が約束されていた。まずはe:HEVの先行試乗会が伊豆サイクルスポーツセンターで開催されたので、出来栄えを確かめるべく参加してみた。
HONDA CIVIC e:HEV|ホンダ シビックe:HEV
新型シビックに試乗──6MTモデルは最高の仕上がりだった|HONDA
ホンダ 「シビックe:HEV」に試乗
2021年フルモデルチェンジして11代目に進化したホンダ「シビック」。1972年に初代が登場して50周年となる22年中には、トップモデルのタイプRとハイブリッドのe:HEVモデルの登場が約束されていた。まずはe:HEVの先行試乗会が伊豆サイクルスポーツセンターで開催されたので、出来栄えを確かめるべく参加してみた。
Text & Photographs by HARA Akira|Photographs by HONDA
現行インサイトe:HEVから大きく進化
新型シビックのハイブリッドシステムは、ホンダ独自となる2モーター式の中型モデル用「e:HEV」。モーターとエンジンを最適に使い分ける「シリーズパラレル切り替え方式」を採用したもので、走行用モーターとエンジンのパワーが混流するトヨタTHSの「シリーズパラレル方式」とも、エンジンで発電して走行用モーターのみで走る日産の「シリーズ方式」とも異なっているのはご存じの通りだ。
エンジンモデルとの違いは、エクステリアでは青の縁取りのホンダエンブレム、ディフューザーと一体化して目立たなくしたリアマフラー、グッドイヤー イーグルからミシュラン パイロットスポーツに変更した前後タイヤなど小変更に留まっていて、アンダーステイトメント性が高い。インテリアでは、センターコンソールにあったシフトノブがなくなって、P、R、N、Dのボタン式となった点と、ハイブリッド専用メーターを採用しているのが大きく異なっている。
パワートレインは、最高出力104kW(141ps)、最大トルク182Nmを発生するDOHCの2.0リッターDI(直噴)アトキンソンサイクルエンジンに、最高出力135kW(184ps)/5,000~6,000rpm、最大トルク315Nm/0~2,000rpmを発生する走行用モーターと発電用モーターを組み合わせている。
エンジンは高燃圧直噴システムと多段噴射を行うことで世界トップレベルの熱効率41%を達成するとともに、オールウレタンエンジンカバー、高剛性クランクシャフト、2次バランサーなどを採用して静粛性と良好なサウンドを実現。PCU(パワーコントロールユニット)の高出力化と軽量化、IPU(インテリジェントパワーユニット)のエネルギー密度アップによる使用容量の拡大、HEV専用フルードを使用するCVTなど、シビックセダンともいわれる同サイズの現行「インサイトe:HEV」からかなりの進化を見せている。
足回りの良さはハイブリッドモデルでも健在
足回りの良さはハイブリッドモデルでも健在
スタートすると、デフォルトの「EVドライブ」で静かでなめらかに走り始める。そのままスピードを上げずにゆったりと走れば、モーター走行が可能な距離がインサイトより20%伸びているので、市街地などではその持続時間が長く続きそうだ。
アップダウンの激しいワイディング部分では、ドライブモードスイッチで「ノーマル」から「スポーツ」に変更してみる。アクセルを踏み込むとエンジンで発電して力強い加速が可能になる「HYBRIDドライブ」になるとともに、メーターカラーはレッドベースなり、パワーステアリングの手ごたえが重くなる。
面白いのはこのとき、室内騒音をマイクで検出して騒音と逆位相の音を出してノイズを打ち消すANC(アクティブノイズコントロール)と、エンジンの原音を生かして澄んだサウンドを付加するASC(アクティブサウンドコントロール)が最大限に効果を発揮する点だ。エンジン車に比べると音量自体は小さいけれども、変速を繰り返しながら高回転まで伸びやかに回る“ホンダミュージック”がはっきりと聞き取れて、クルマ好きのハートをくすぐってくる。
2眼メーターの左側のパワーメーターの針は加減速の動きに合わせてタコメーターのように上下に振れるし、さらにコーナー手前でパドル式の減速セレクターを引くと、M1~M4の段階で回生の強さが変化する様子がメーター上に表示されるのもいいアイデアだ。
また今回のクローズドコースでは試すことができなかった高速道路を巡航するような場面では、エンジンとタイヤがクラッチで直結する「ENGINEドライブ」が自動で選択され、モーター走行が最も苦手で効率の悪い部分を補ってくれるのだ。
そして、昨年エンジン車(CVTとMT)に試乗したときに伝わってきたシビックの足回りの良さは、ハイブリッドモデルでも健在だった。電動化のさまざまなシステムを搭載することで全体の車重は増加しているはずだけれども、後席下の低い位置に搭載したIPUによって重心高が10mm低められたほか、リアボディの剛性アップとダンパーの専用設定がなされるなど、チューニングがしっかりと行われているとのこと。
その結果、低中速のヘアピンのようなコーナーでも、Rの大きな高速コーナーでも鼻先が奇麗に出口に向いてくれ、S字のような切り返しの場面ではリアがしっかりとそれに追従してくれるので、思った通りのライントレースができる。これなら走りにうるさい欧州のドライバーから文句は出なさそうだ。
最近乗ることが多い背の高いSUVモデルではちょっと味わうことのできない、軽快な走りのハイブリッドモデルとして間もなくデビューするシビックe:HEV。価格面や詳細スペック等不明な部分はまだあるけれども、期待通りの仕上がりといって良さそうだ。
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