鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーGT第3戦の予選では、25号車HOPPY Schatz GR Supra GTがGT300クラスの5番手を獲得。スーパーGTを代表する“町工場チーム”的プライベーターであるつちやエンジニアリングが、自社製作のGRスープラ GT投入2年目にしてGT300のトップ5に食い込んできた。
“ホピ子2”の愛称で知られるつちやスープラにとってはベストグリッドとなるが、予選を終えた土屋武士監督からは開口一番、自信と手応えに満ちたコメントが聞こえてきた。
■24号車リアライズ、燃料タンク容量の超過で予選タイム全抹消。ポールポジションが幻に消える
「正直言うと、(第2戦)富士のフリー走行から全てイメージ通りに来ています」
この“イメージ通り”というのは、マシンセットアップのことを指している。開発の自由度の高いGTA-GT300規定(かつてのJAF-GT300)車両と言えど、車両面で大きなアップデートができないつちやエンジニアリングは、ジオメトリ変更などセットアップの範疇で改善を進めてきたが、開幕戦岡山後のミーティングにて土屋監督自身、ヒントになるものを掴んだようで、そこから第2戦富士以降のクルマづくりに落とし込んだところ、軌道に乗っているとのことのようだ。
そもそも、昨年の土屋監督は姉妹車である244号車HACHI-ICHI GR Supra GTのトラックエンジニアを兼務していたが、今年からは244号車のトラックエンジニアを笠井昭則エンジニアに任せ、自身は監督を務める自チームにより深く関われるようになった。そんな中で、これまでは若手スタッフにチームを任せていたものの、「我慢できなくなって、口出しが止まらなくなった(笑)」という。
そしてドライバーからのフィードバックを集めていくうちに、「これの影響が大きいかもしれない」という仮説にたどり着いた土屋監督。その仮説は見事に的中していたようで、セットアップの振り幅も次第に小さくなっていき、まるでパズルのピースが次々はまっていくような好循環が生まれた。「コンマ数ミリのロールセンターを変えるだけで反応するようになっています」とのことだ。
長年のドライバー・エンジニアとしての経験から研ぎ澄まされたセンサーを持つ土屋監督。その土屋監督とタッグを組んでクルマづくりを進めるのが、“ホピ子2”の設計を手掛けた木野竜之介エンジニアだ。トップチームに置かれているようなデータエンジニアなどは存在しない。
「うちの強みは、設計者がエンジニアをしているところです」と土屋監督。
「自分が感性のスペシャリストだとしたら、彼(木野エンジニア)はメカニズム、工学のスペシャリスト。そのマッチングなんです」
そういった“おかしな”スペシャリストがいることも強みだと笑う土屋監督。現代のエンジニアリングは、いかに多くの人員で多くのデータと向き合い、スピーディに解析するかが重要視されているが、リソース的にもそれが難しいつちやエンジニアリングは、“人間力”でそこに対抗するのだ。
「解析解析……とコストのかかる時代に、僕たちは人間力で勝負するしかない。資本力のあるところに、同じことをやったって勝てません。それ(資本力)以外にもやれる方法があると見せないとつまんないでしょ(笑)」
もちろん、つちやエンジニアリングのようなスタイルは、ドライバーのフィードバック、土屋監督の感性に狂いが生じると成立しない、という側面もあるだろう。しかし、データやリソースこそが至上とされる現代の風潮に風穴を開ける……そんなチームもあった方がいいという土屋監督の言葉には、深くうなずかされてしまった。
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