トヨタのEVセダン まずは中国投入
トヨタは近年、電動化が自動車業界の脱炭素化に向けた唯一の解決策ではないとの考えを強く打ち出しているが、世界有数の自動車メーカーとしての地位を維持するため、多様な電動モデルの投入が不可欠となっている。
【画像】ライバル続々!人気のEVセダン【トヨタbZ3と競合しそうなモデルを写真で見る】 全94枚
フォルクスワーゲン・グループやステランティスといった主要ライバルと同様に、EV用プラットフォームであるE-TNGAを導入し、新しいEVモデル群のベースとして使用している。その先陣を切るのがクロスオーバーのbZ4Xで、ハブボルトの不具合はあったものの、現在、世界各地で顧客への納車が始まっている。
昨年末にトヨタの豊田章男社長が発表したラインナップでは、都市部向けのコンパクトカーからオフロード車、大型SUV、小型商用車、セダンなど、非常に幅広いユーザー層に向けたEVが勢ぞろいする予定であることが示された。
セダンについては、コンセプトでは「bZ SDN(bZセダン)」と呼ばれていたが、現在は「bZ3」の名で販売されると考えられている。まずは、セダン人気の高い中国市場を最初のターゲットとするようだ。
トヨタは最近、新型クラウンを中国や北米向けに導入すると発表した。EV仕様が登場するかどうかは不明だが、今のところ欧州市場への導入計画は言及されていない。電動化が進む欧州ではテスラ・モデル3が市場を席巻しており、これに対抗するライバルも多いことから、bZ3も早ければ2024年に導入される可能性がある。
ライバルの多い中国市場 bZ3の実力は
フォルクスワーゲンは来年、EVセダンのID.6を中国で発売し、ヒョンデもアイオニック6をまもなく発売する。また、新興の(しかし急速に拡大している)中国企業からは、ニオET5、シャオペンP5、BYDシールなどが続々と登場している。
中でも、BYDシールは特に興味深い。トヨタとBYDのパートナーシップにより、BYDのリン酸鉄リチウムバッテリー技術「ブレード」をbZ3に搭載する予定になっているからだ。ブレードバッテリーは、従来のリチウムイオンに代わる、より安全でエネルギー密度の高いバッテリーと言われている。また、サイズもコンパクトで、室内空間を広くとれるメリットもある。
bZ3の車体寸法は、全長4725mm、全幅1835mm、全高1475mm。やや短めだが、現行のクラウンと近いサイズ感だ。
中国工業情報化部のウェブサイトに掲載された仕様によると、最高出力180psまたは241psのモデルが用意され、車重1710~1840kg、最高速度160km/hとされる。この数字はライバルと比べても遜色ないものだ。
航続距離やバッテリー容量はまだ明らかにされていないが、BYDのアット3(同程度の重量のクロスオーバー)は、64.5kWhのブレードバッテリーを使用して420kmを実現している。同じバッテリーを積むとすれば、空力的に有利なセダンではさらなる航続距離を期待できる。
トヨタはまだ、bZ3の生産工場を明らかにしていない。bZ4Xは、日本国内だけでなく、中国の天津と広州で製造されている。
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日本ではまったく見かけませんが?