スーパーGTのGT500クラスでダンロップタイヤを使うModulo Nakajima Racing(64号車Modulo NSX-GT)とTEAM Red Bull MUGEN(16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT)の2チームは、今季ここまでの3レースで苦戦を強いられている。16号車の笹原右京と大湯都史樹は0.5ポイントの獲得にとどまっており、64号車の伊沢拓也と大津弘樹は未だトップ10フィニッシュがない。
特に、ここ数年ダンロップ勢が高いパフォーマンスを見せてきた鈴鹿での第3戦は、彼らにとって厳しいレースとなった。64号車は予選Q1で敗退し11位フィニッシュ、16号車は4番グリッドからスタートしたもののタイヤトラブルに見舞われ複数回ピットイン。最終的には大湯がフルコースイエロー(FCY)中にGT300車両と接触してリタイアに終わった。
■タイヤに翻弄され、FCYで他車と接触……苦しい週末となった大湯都史樹が語る第3戦鈴鹿
レース後には16号車の笹原がmotorsport.comに次のように語り、苦境を嘆いていた。
「僕たちが進歩しているかと言われれば、難しいところです。進歩している部分もいくつかありますが、そうでない部分もあります」
しかし、ダンロップ(住友ゴム)のモータースポーツ部門を率いる安田恵直氏は、今後はこのような課題が解決されると確信している。彼らはこの夏、オートポリス、富士スピードウェイ、スポーツランドSUGOでテストを実施し、そこで手応えを得たようだ。
「昨年の12月に全く新しいタイヤを作り、それをもてぎでテストしたところ非常にうまく機能していました。しかしその後のテストではうまくいかなかったので、原因を探っているところでした」
安田氏はそう語る。
「夏のテストを経て、その原因を見つけられたと思っています。だから今は良くなっています。最優先は(ペースの)ドロップオフを解決することだったので、そこに集中してきました。今はうまくいっているように思います」
「過去数年で見られたような、“1周天下”のようなものは見られないと思いますが、今後はレースでより強くなれるはずです」
また安田氏は、鈴鹿で16号車がタイヤトラブルに見舞われた原因について、製造工程に問題があったという結論に至ったと説明した。
「なぜタイヤが壊れたのかを調査した結果、製造工程に問題があったという結論に至りました」
「大湯選手はバイブレーションを感じ取るとすぐにピットに戻りました。しかしそこでチームが最も硬いコンパウントを選択したため、ウォームアップができませんでした。それがクラッシュの一因にもなったと思います。あのタイヤは硬すぎたんです」
「ミディアムですらウォームアップが大変だった中で、ハードを使う理由はなかったと考えています」
一方で、同じく鈴鹿で苦戦した64号車に関して安田氏は、旧スペックのタイヤを使用していたと明かした。
「64号車は古いタイヤを使っていたので、良い結果が残せるとは思っていませんでした」
「ドライバーは今年の我々のタイヤ開発に懐疑的であったため、旧スペックのタイヤを試したいと思っていたようです」
「タイヤ開発テストではそれ(旧タイヤ)をチェックすることに時間を割きたくはなかったので、我々としても最終的にレースで試した方が良いと判断しました」
ダンロップがGT500で最後に勝利したのは、2017年の鈴鹿1000km。今年2回目の鈴鹿戦(第5戦)はレース距離こそ450kmだが、伝統の鈴鹿1000kmと同じ8月下旬に設定されている。
安田氏はダンロップが第5戦鈴鹿で勝利を挙げる可能性は高くないとしながらも、シーズンの中で上位陣のサクセスウエイトが最も重くなる第6戦SUGO(第7戦はハーフウエイト、最終戦はノーウエイト)ではインパクトのあるレースができるチャンスだと語った。
「第4戦と第5戦の間、ファクトリーはお盆休みで閉鎖となるので、富士でのレースのフィードバックを鈴鹿に活かす時間はありません」
「だから富士で起きたことは、鈴鹿でも起きると言えます」
「しかしSUGOでは良い成績を狙えると思っています。昨年は少しペースのドロップオフがありましたが、それを修正できれば、良い結果を残すチャンスがあると思います」
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