2連覇に王手の埼玉GB GRスープラは予選ポールも油断せず。吉田広樹「正直、楽な戦いではない」

　10月26～27日に岡山県の岡山国際サーキットで行われている2024スーパー耐久第6戦。シーズンも終盤戦に差し掛かり、チャンピオン争いの行方も気になるところだが、早ければ今回の岡山大会でチャンピオンが決まりそうなのが、ST-Zクラスの埼玉 GB GR Supra GT4だ。

　今シーズンは開幕戦で優勝を果たすと、第2戦富士24時間で2位、第3戦オートポリスで優勝とコンスタントにポイントを積み重ねてきた埼玉 GB GR Supra GT4。ウエイトハンデが重くなった後半戦も着実にポイントを獲得し続け、第5戦鈴鹿を終えた段階でライバルに対して37ポイントのリードをつけている。そのため、今回の第6戦岡山の結果次第では、最終戦を待たずに2年連続チャンピオンの可能性が出てきている。

　そのなかで迎えた26日（土）の公式予選では、総合タイムでST-Zクラスの2番手に0.593秒の差をつけてポールポジションを獲得した。

「Bドライバー予選に関しては他の人がもっとタイムを上げていたと思いますが、赤旗の影響で状況が変わりました。僕は赤旗の前にタイムを出していたので、そこは運が良かったのかなと思います」

　そう語るのはBドライバーを務める吉田広樹。今回は70kgものウエイトハンデを積んでいる影響でプロドライバーが集まるBドライバー予選では上位に食い込めないだろうと予想していたようだが、セッション途中にアクシデントが発生して赤旗中断になったことが、埼玉 GB GR Supra GT4にとっては追い風になったという。

「赤旗が出た周にアタックしていた人も多かったと思います。そういった意味では、僕たちは赤旗に助けられたところはあったと思います。今回の重量も含めると、普通だったらBドライバーの予選で僕が3番手にいられる状況ではなかったです。また、ポールを獲れた要因としては山崎（学／Aドライバー）選手のアタックが素晴らしかったことに尽きます」

　改めて、ここまでの安定した活躍ぶりの要因について吉田に聞くと、ミスやトラブルが少ないということはもちろんのこと、クルマのバランス面でも今年は進化しているところがあるようだ。

「やはり（ウエイトが）重くてもバランス良く走れているということが大きいです。レースになると厳しいときは多いですけど、予選で一発の速さを出せるセッティングを見つけられている部分が大きいです。それに加えて、トラブルが出ないように毎回クルマを仕上げてくれているメカニックのみんなの力も欠かせないものになっています」

　予選ではクラスポールポジションの速さを見せることができたが、決勝レースに向けては楽観視している様子はなく「正直、楽な戦いではないと思います。昨年もアウディ（TECHNO FIRST R8 LMS GT4）がぶっちぎっていましたし、今年はどうなるか……」と吉田。

「僕たちはライバルと戦うというよりは、淡々と自分たちのベストを尽くすしかないなと思っています。その結果、チャンピオンが決まれば嬉しいなと思います。だけど、変に『このチームと争っているからこの順位でいい』ということは意識し過ぎず、自分たちのベストを尽くすことに集中したいです」と、いつもどおりの戦い方をしていきたいと語った。

「もちろん、普段と一緒で接触をしないようにして、ミスなくチェッカーを受けることを第一にしていきたいです。そのなかで戦略など、うまくやれる部分があればやっていきたいなと思っています」と、シーズンの重要な局面だからこそ、初心に立ち返っている様子だった。