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蝶のように優しくしなやか マツダMX-5(ロードスター) お手頃ドライバーズカー選手権(3)

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蝶のように優しくしなやか マツダMX-5(ロードスター) お手頃ドライバーズカー選手権(3)

ダンサーのように表現力豊かで鋭く旋回する

フォード・フィエスタ STの複層的な体験は、表現が難しくもある。残りの4台にはない、個性的で特別な何かがある。ダンサーのように表現力が豊かで、絶妙な手応えを伴うステアリングホイールを介し、鋭く旋回していく。

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リアアクスルが耐えきれなくなり、ラインが外れていくプロセスも単純明快。右足の加減でオーバーステアも自由自在。唯一、問題になるほどではないが、トルクステアが存在するのだが。

ダイレクトでクイックな操縦性を発揮させるのに、サスペンション・スプリングへ過度に負荷を掛ける必要もない。スイートスポットは確かにかなり高い場所にあるが、その手前でもエンドレスに楽しめる。

筆者は大好物といえるフィエスタ STながら、審査員のイリヤ・バプラートはそこまででもないと話す。「ドライバーを見越したようなフォードのスポーティな味付けが、あまり好みではないんですよね。もう少し落ち着いていてもイイ」

個人的にはフィエスタ STが今回のベストかと想像していたが、結果は違った。マット・ソーンダースは、オレンジ色のマツダMX-5(ロードスター)に惚れ込んでいる。思い切りカウンターステアを当てながら。

マリオカートでピーチ姫を追い詰める大ボスのクッパのように、ニヤニヤ笑いながら攻め立てる。楽さが留まらないようだ。

空を舞う蝶のように優しくてしなやか

マツダ・ロードスターは、いわずと知れた金字塔だろう。2016年には、全世界で販売100万台を記録した。その偉業は更に伸び続けている。初代の登場は1989年で、現行型は4代目に当たる。

小さな高性能スポーツカーとしては、前例がないほどの多売といえる。控えめなパワーの2シーター・ロードスターが、すべてのドライバーのためのクルマだということを物語っている。

パッケージングは、時代を超越した方程式に則る。パワーは控えめながら、回るのが大好きな味わい深い自然吸気エンジンと、小気味良いマニュアル・トランスミッションが、比較的軽くバランスに優れた後輪駆動シャシーに載っている。

今回お借りした30thアニバーサリーという特別仕様の場合は、本気度の高いビルシュタイン・ダンパーが組まれ、LSDも備わる。だとしても、基本的なシンプルさは変わらない。英国でも2万5000ポンド(約420万円)から我がモノにできる。

ソーンダースは、「空を舞う蝶のように優しくてしなやか」だと、限界領域での操縦性を語る。ちょっと詩的だが、彼の気持ちは理解できる。

英国マツダはオレンジ色のロードスターに、エコ重視のブリジストン・トランザを履かせて届けた。ポテンザではなく。グリップが制限される一方で、本来のシャシーバランスを存分に堪能することができる。ドライビング体験も、より芳醇なものになる。

他のモデルで感じる小さな不一致感

両手と両足で、しなやかなシャシーを操る。ステアリングホイールのレシオも、クイック過ぎることはない。アクセルペダルでラインを探りながら、コーナリング・スタンスを調整していける。入力に対する反応はクリアでダイレクトだ。

マツダ・ロードスターを1度知ってしまうと、他のモデルで感じる小さな不一致感を看過できなくなってしまう。普段の小さなフラストレーションが、溜まり続けていくともいえる。たとえ、優れたフィエスタ STやトヨタGRヤリスだとしても。

ただし、ロードスターで果敢に攻め込んでいくと、路面変化に姿勢制御が追いつかなくなる場面もある。そこから、アンダーステアへ転じていく。ワインディングを縫うように果敢に走る、今回のホットハッチ2台へ追いつくことはできない。

走りに高速域での楽しさを追い求めないなら、ロードスターはド直球の正解だ。同時にもう少し路面を掴み、もう少しパワフルでも良いと、筆者は思う。

そして最後に残ったのは5台で最も登場の古いトヨタGT86(86)。2012年の発売時、英国では記載内容が誇大だとして広告規制局から指示が入り、広告が差し止めになった。しかし、トヨタは自らの新作がどんな内容なのか、はっきり理解していた。

誇大なんてことはなかった。率直にいって、楽しすぎた。

この続きは(4)にて。

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みんなのコメント

14件
  • もうちょっとだけパワーがあると更に楽しいと思うんですが。
  • こんな毒ヘビみたいな顔して優しくしなやかとか言われてもなぁ(笑)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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