2000年代に入って早くも21年が経過した。のちに「内燃機関最後の黄金時代」と呼ばれる可能性も高いであろう21年間だ。
本企画では、そんな2000年以降に登場した新型車をメーカー別にランキング。それはそのまま日本車の近代史にもなる。今回は『マツダ・スバル・三菱編』だ!
トヨタ1強の今となっては……だが、「あのトヨタに勝ったクルマたち!!」
※本稿は2021年8月のものです
文/岡本幸一郎、片岡英明 写真/MAZDA、SUBARU、MITSUBISHI、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2021年9月26日号
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■マツダ:SKYACTIVと魂動デザインの初代CX-5!
●トリビュート(2000年10月デビュー)からMX-30EV(2021年1月デビュー)まで:全63車種
第1位:初代CX-5(2012年)。SKYACTIV技術を初めてフルに採用するとともに、魂動デザインを最初にまとった
この21年間で最もマツダにとって大きな意義があったのは、初代CX-5だと思う。
SKYACTIVと魂動デザインを掲げ、このクルマの登場でそれまでとはマツダのイメージがガラリと変わった。
特にディーゼルのインパクトは絶大。SUVでもここまでオシャレになれることを世に知らしめた功績は大きい。
第2位:4代目ロードスター(現行型・2015年)。サイズとプロポーションが絶妙で、1.5Lエンジンを使い切って意のままの走りを楽しめる
第3位:3代目アクセラスポーツ(2013年)。マツダのデザイン力の高さを知らしめた。このクラスで2.2Lディーゼルの走りは強烈
2位は現行ND型ロードスター。ファンの期待に最高の形で応える原点回帰を果たしたことを評価。RFやRSもあるけど、"素"のロードスターこそ本命だ。
3位は3代目アクセラスポーツ。ハッチバックでこんなにオシャレなクルマは見たことない。この軽い車体にマツダ3にはない2.2Lディーゼルを載せた強烈な加速も忘れられない。
第4位:4代目デミオ(現行型マツダ2・2014年)。小さくても内外装ともハイカラで、ディーゼルやMTも選べて、このクラスで異彩を放つ
第5位:RX-8(2003年)。ロータリーだからこそ実現したユニークなクルマ。切れ味鋭いハンドリングも持ち味
続く4代目デミオもコンパクトカーでこれほどオシャレで上質なクルマはほかにない。このクラスでディーゼルやMTをふつうに選べるようにしたのも画期的。
5位はRX-8。マツダ内でも賛否はあるらしいが、少なからず一時代を築いたユニークなロータリースポーツだ。
RX-8とくれば3代目NC型ロードスターも忘れてはいけない。
世の中に続々と参入した高級車メーカーのオープンカーと戦うべく上級移行を目指したのは一長一短あったものの、本質は見失わなかったのがうれしい。
第6位:3代目ロードスター(2005年)。上級移行を目指しV6を積むというウワサもあったほど、歴代モデルのなかでも異色の世代
第7位:2代目プレマシー(2005年)。適度な車高とサイズでスライドドアを持ち、走りも軽快。これほど万能なミニバンはない
7位はガラリと変わって2代目プレマシー。このサイズで適度に背高でスライドドアもあって車内もアレンジ性に優れて走りもイイなど、極めて万能な一台としてずっと高く評価している。
8位はアテンザワゴン(マツダ6ワゴン)。これまたスタイリッシュなワゴン。セダンもよかったけど、ワゴンのライバルに対するアドバンテージの大きさを評価したい。
第8位:3代目アテンザワゴン(現行型マツダ6ワゴン・2012年)。セダンもいいが、ワゴンはさらに上。マツダ6のほうが完成度は上だが元祖のアテンザを
第9位:CX-8(2017年)。オシャレなデザインを損なうことなく、3列目までしっかり使える広さを確保したのは立派だ
9位のCX-8はこれまたマツダらしい3列シート車。最強の実用車だと思っている。10位はマツダでは数少ないスペシャル版の、マツダスピードアテンザ。あまり価格も高くなかったわりにパワフルで刺激的な走りが印象に残っている。
マツダの場合、量販ラインナップを際立たせているので、こういうクルマはあまり出してこなかったのだけど、このクルマに乗るともっと出してくれたらと思う。
第10位:マツダスピードアテンザ(2006年)強力なエンジンに4WD。新車価格は約300万円と割安だったが今や中古車は希少で割高
■スバル:歴代STIモデルもベスト10にランクイン!
●ランカスター6(2000年5月追加)から2代目BRZ(2021年7月登場)まで:全47車種
第1位:4代目レガシィ(2003年)。傑作のなかの傑作。等長等爆で往年のボクサーサウンドが消えたのもこのレガシィから
ベストは、スバル初のCOTY受賞車でもある4代目BP/BLレガシィだ。
サイズもちょうどいいし、今見てもまとまりのよい洗練されたスタイリングだし、走りの仕上がりもよかった。歴代レガシィ、いや全スバル車のなかでもベストだと思う。
第2位:S203(2003年)。バランス取りしたエンジン、ピロ多用の足回り、空力の改善など、手の込んだ内容だ
第3位:S207(2015年)。当時歴代最強の328psのEJ20や専用開発のビルシュタイン「DampMatic II」を国内初搭載
そしてスバルの場合はもちろん量販車もいいけど、頻繁に出てくるSTIが手がけた限定販売のコンプリートカーに印象的なものが多いのでどうしてもそちらに目が行って、必然的にそれが上位に。
なかでも最もインパクトがあったのは、S203だ。速さと上質さをみごとに兼ね備えていた。
STIのコンプリートカーがいかに完成度が高いかを世に知らしめた。あまりのよさに同業者が何人か購入したのを覚えている。
第4位:4代目WRX STI RA-R(2018年)。STI設立30周年記念車。329psのバランスドBOXERを搭載しつつ、大幅な軽量化を達成
第5位:3代目WRX STI tSタイプRA(2013年)。スペックCをベースに、「RA」としての走りを追求。11:1のステアリングレシオを初採用
ついでS207。高級なレーシングカーのような仕上がりが印象深い。特に「NBRチャレンジパッケージ」がよかったし、アグレッシブさと上品さを兼ね備えた見た目もよかった。
さらに4代目WRX STIでは、速さに加えてほかにはない軽さが際立っていたタイプRA-Rも挙げたい。ソリッドで扱いやすく、とにかく運動神経バツグンな走りが印象深い。
第6位:2代目レヴォーグ(現行型・2020年)。1.8LDITエンジンを初搭載し、SGPやアイサイトも大幅に進化。電制ダンパーを初採用
第7位:4代目フォレスター(2012年)。最もフォレスターらしかった世代と認識。やはり280psのFA20ターボが美味しかった
RA-Rといえば、その前の3代目にも名車がある。その後のSTIの定番となる11:1という、当時としては考えられない超クイックレシオのステアリングを採用し、それをちゃんとモノにして、もの凄く切れ味の鋭い走り味に感銘を受けたものだ。
STIのコンプリートカーだけでリストが埋め尽くされてしまいそうだけど、量販モデルについて触れたいので、これくらいでとどめておこう。
第8位:3代目XV(現行型・2017年)。中身はいたって真面目ながら、このクルマが手元にあるだけでワクワクできる雰囲気がイイ
第9位:初代BRZ(2012年)。初代86をOEM供給するだけでなく、スバルもちゃんと存在感を発揮してくれたのがうれしい
2代目レヴォーグは、やはりいろいろ新しいものを取り入れただけあって完成度が高い。スバルにとってもひとつの節目になるクルマだと思う。
同じくXVも現行型がイイ。逆にフォレスターとBRZも現行型の完成度が高いことは重々承知だけど、もう少し時間が経ってから評価したい。
最後に、あんまり売れなかったけど、ぜひ「360の再来」と称されたR1を挙げておきたい。軽自動車でこういうクルマなんて、絶対スバルじゃないと作れない。
第10位:R1(2004年)。2ドアの2+2で4気筒エンジンに4輪独立懸架と、その内容は軽自動車としては常識外
■三菱:No.1は三菱きってのエポックなあのモデル
●プラウディア(2000年2月デビュー)からeKスペース(2020年3月登場)まで:全48車種
第1位:アウトランダーPHEV(現行型・2012年)。4WD技術とEV技術を融合した先進のプラグインハイブリッドで、走りの実力も非凡
最近の三菱車のなかでエポックを画したのがアウトランダーPHEVだ。
エンジンを発電機として使い、これに外部充電システムを組み合わせ、モーター走行の領域を広げている。PHEVの魅力に、SUVの卓越した走破性能を組み合わせたことを高く評価して最上位とした。
第2位:ランサーエボリューションVII(2001年)。第3世代のランエボ。AYCとACDを協調制御させ、意のままの軽快な走りを実現した
第3位:i-MiEV(2009年)。世界初の量産EV。気持ちいい加速フィールとリア駆動ならではの冴えた走りが魅力だ
そして外せないのが、ランサーエボリューションシリーズだ。2Lという排気量のなかで最強、そして最速を目指した刺激的なスポーツセダンである。
2000年以降となると第3世代のランエボVIIからになるが、VIIの登場は衝撃的だった。もちろん、走りの実力も文句なし。
ランエボの最終形とも言えるエボXはパワートレーンを一新し、ツインクラッチ採用の6速2ペダルMTも設定している。
新鮮さを感じたが、伝説を築いた20世紀のランエボと比べると衝撃度は小さい。また、エボIX派生の硬派ランエボワゴンもトップ10にふさわしい実力派だ。
第4位:初代eKワゴン(2001年)。優れたパッケージングとスマートなデザインの軽ハイトワゴン。運転しやすかった
第5位:コルト(2002年)。ダイムラー・クライスラーと共同開発したコンパクトカーの意欲作。走りの実力も高い
ランエボとともに秀作が多いのが軽自動車である。感嘆した軽自動車の筆頭が、世界初の量産EVとして2010年春にデビューしたi-MiEVだ。
航続距離は短かったが、異次元の走りを見せ、快適性も高かった。東芝製のSCiB電池の実力も非凡。このメカニズムを用いた商用車のミニキャブMiEVも近場の配送で実力を発揮する。
第6位:5代目デリカD:5(現行型・2007年)。多人数が快適にドライブできる広い室内に加え、SUV並みの卓越した走破性を誇る
第7位:ランサーエボリューションX(2007年)。S-AWCや2ペダルMTのTC-SSTなど、三菱のハイテク技術を満載し、豪快な走り!
そして小さな実力モデルとして忘れられないのが、初代eKワゴンだ。立体駐車場も使える絶妙な高さのハイトワゴンで、デザインだけでなくパッケージングも素晴らしかった。
ターボ搭載のeKスポーツも気持ちいい走りを披露する。最近の佳作は、2代目eKスペースと兄弟車のeKクロススペースだ。キャビンは驚くほど広く、走りの実力もクラストップレベル!!
第8位:ミニキャブMiEV(2011年)。エコでクリーンな走りに加え、キャビンと荷室も広い便利な軽自動車サイズの商用EV
第9位:2代目eKスペース/ekクロススペース(現行型・2020年)。軽ワゴンでは最大級の室内空間を誇り、走りの実力と先進安全装備も高いレベルにある
コンパクトカーで光っていたのは2002年秋に登場した新生コルトである。キュートなデザインで、キャビンは広く、シートアレンジも多彩だった。エンジンとサスペンションの仕上がりもいいなど、トータル性能が高い。ラリーアートの走りも魅力的だ。
息の長いモデルになったデリカD:5も三菱の自動車史に残る傑作で、ミニバンの新境地を切り開いた。SUV顔負けの卓越した走破性は今も健在だ。追随を許さない。
第10位:ランサーエボリューションワゴン(2005年)。第3世代のランエボIXのメカを移植して痛快な走りを見せた4WDのスポーツワゴン
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