現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 2030年は「MaaS」の時代!とは言うが「MaaS」とは何だ?

ここから本文です

2030年は「MaaS」の時代!とは言うが「MaaS」とは何だ?

掲載 更新
2030年は「MaaS」の時代!とは言うが「MaaS」とは何だ?

この記事は2018年7月に有料配信したメルマガを無料公開したものです。
メルマガの登録はこちらから。


「MaaS(マース)」とは「Mobility as a Service」の頭文字を使った造語で、日本語では「移動のサービス化」と訳されている。では、移動(交通)のサービスとは何を意味するのか? A地点からB地点に移動する時に、さまざまな交通手段を活用する最適な移動方法の提案から、より合理的な移動手段を選択し、料金支払いをスマートフォンで一括して実行できるサービス事業のことだ。

クルマと過ごす日々vol.58

■MaaSって何だ?

A地点からB地点への移動には、タクシーかクルマ(シェアリングカー)がいいのか、シェリング自転車が最適なのか、あるいは市街電車か、バスか? などなど最も合理的で早い移動経路はどれか? スマートフォンのアプリがベストな案を教えてくれ、予約でき、料金の決済も自動的に行なわれるワンアクションのサービスをMaaSと呼ぶ。

こうしたシステムでは、利用されるクルマや自転車はすべてシェアリング用の車両を意味する。タクシーもタクシー会社のクルマとは限らず、Uber(アメリカ発のグローバル企業)、滴滴出行(ディディチューシン:中国)のような白タク配車システムも含まれる。

このMaaSのシステムが意味することは、移動に最も効率が良い方法が選択可能で、予約や料金の支払いがスマートフォンのアプリで簡単にでき、さらに自転車であれ、クルマであれ、もはや個人が所有する必要がないという点に意味があり、これがMaaSの目指す姿なのだ。

調査会社の予測では、このMaaSの市場は、2050年にグローバルで約331兆円規模になるともいわれており、自動運転、ライドシェア、コネクテッドカーといったモビリティに関する新しい技術やサービスをすべて包括している。言い換えれば次世代の移動(モビリティ)を包括する概念ともいうことができる。

フィンランドのMaaSグローバルの衝撃

実はMaaSという言葉は、2016年にフィンランドで初めて登場している。フィンランドのベンチャー企業「MaaSグローバル」のMaaSがこの言葉の源流なのだ。

もともとこのMaaSグローバルの事業はフィンランドの官民学が連携したプロジェクトで、人々の移動に関するサービスを統合スマホアプリ「Whim(ウィム)」ですべて実現しようとするものだ。もちろんこのアプリ「Whim(ウィム)」は官民学が連携したオープンデータとオープン・ソフトウエア・インターフェースから成り立っている。

そしてWhimアプリを使用すれば、カーシェア、タクシー、鉄道、バス、シェア自転車など、あらゆるモビリティサービスが統合され、使用者にとって最も効率的で快適、割安な移動サービスが実現するのだ。

この運用にあたっては、運輸と情報通信を所管する「フィンランド交通通信省」、首都ヘルシンキ周辺で営業する公共交通の路線計画や切符の販売を行なう「ヘルシンキ地方交通局」、各種交通機関の情報通信ネットワークの高度化を官民学で検討する「ITSフィンランド」なども全面的にバックアップしている。

つまりMaaSは、交通行政を担当する政府や地方機関が抱えている交通問題や環境対策などに関する負担を大幅に低減でき、都市部の住民には多様な移動手段がネットワーク化され、Whimで移動の計画を立て、移動手段を予約し、料金の支払いも行なうことができる利便性がある。

即実現可能なMaaS

そして、このMaaSを実現するためのテクノロジーは、すでに存在している点も注目すべきだろう。MaaSの実現のために新たな投資や、ハードウェア開発の必要がないのだ。

4G回線を使用するスマートフォンやバックエンドサーバーと情報をやり取りできるネットワーク、サーバーにおけるAI、ディープラーニングなどの活用、さらにはクルマの電動化、自動運転や運行ルートの自動設定技術、そしてカーシェアリングや配車サービス・アプリ(Uber、滴滴出行など)はいずれも現存している。

強いて言えばシェアリングサービス用の自動運転車はまだプロトタイプの段階ということくらいだ。つまりMaaSは自動車メーカーが開発している自動運転車や電動車、カーシェアリングや配車サービス・アプリなど、既存の事業者をすべて包括する社会的なビジネス・コンセプトなのだ。そのためMaaSの与えたインパクトはきわめて大きく、デンソーやトヨタは直ちにMaaSグローバル社に出資したのだ。

またダイムラー社やフォルクスワーゲン社などはモビリティサービスの実現と拡大にスタートを切っており、トヨタは2018年1月に自動車製造ビジネスから「モビリティ・サービス・カンパニー」へと舵を切ることを発表した。

そしてトヨタのモビリティサービスの近未来像であるe-パレット・プロジェクトのアライアンスにAmazon、滴滴出行、マツダ、ピザハット、Uberをスタートアップ・パートナーとして選んでいる。

トヨタだけでなく世界の主要な自動車メーカーは、最後の巨大市場であるアフリカの開拓を終えた後に残されるのは、主要な巨大都市(メガシティ)への人口集中による大気汚染の悪化、交通渋滞の激化など、クルマを使用する環境が厳しくなるのに加えて、少子高齢化現象により自動車の販売台数は大幅に落ち込むと予想されている。

こうした理由から自動車メーカーも2030年~2050年に向けての生き残り戦略のためには、クルマを製造、販売するビジネスから、クルマのシェアリングを前提とするMaaSへの取り組みは不可欠とされている。

ダイムラー、フォルクスワーゲンの動向

ドイツではスマートフォンのタクシー配車アプリ「mytaxi(マイタクシー)」が普及している。アメリカ発の事業で、世界70ヶ国を席巻しているUberではなく、自治体や官庁、地元のタクシー会社ともうまく関係を築きながら、ヨーロッパで最大の勢力となっている配車サービスが「mytaxi」だ。


このmytaxiは2014年以来ダイムラー社の傘下にある。一方、2008年にスタートした世界最大のカーシェアサービス企業「car2go(カーツーゴー)」もまたダイムラー社の傘下だ。現在、car2goはヨーロッパやアメリカ、中国など世界8カ国でカーシェアサービスを提供している。

car2goの登録ユーザー数は330万人に達している。car2goは、決められたエリア内でどこでも乗り捨て自由という便利なカーシェアのサービスだ。今ではそれを世界の24都市で、公的な認可を得て実施している。Uberのように無許可の白タク営業支援システムは、国によっては禁止、あるいはグレーな存在と位置付けられているのとは一線を画しているわけだ。



ダイムラー社は、メルセデス・ベンツという高価格帯のプレミアム・ブランドの自動車メーカーでありながら、2007年に「ダイムラーモビリティサービス」を設立し、自動車商品だけではなく、MaaSの可能性を探りつつビジネスを実行に移している。

フォルクスワーゲン・グループは、2017年に電動・完全自動運転(レベル5)のプロトタイプ・ミニバン「セドリック(Self Driving Carの文字による造語)」を発表した。

当初セドリックは、電気駆動で、ハンドルもペダルもないレベル5の完全自動運転車として注目されたが、パーソナルカーではなく、音声コマンドで目的地の設定ができるなど、シェアリングカーを目指していることは明らかだった。

セドリックは様々な形態が提案されているが、2018年にハノーバーで最新のセドリック・アクティブを発表した。ここで、通学用途、移動小型店舗などの新たな使い方の他に、MaaS向け車両であることを明らかにした。

つまりフォルクスワーゲンはMaaSにおけるシェアリングができる自動運転車の製造を担当し、それを包括する存在としてMssaを位置付け、MaaSを牽引するのはコンテンツ・プロバイダー(デジタルコンテンツをWEB、スマートフォンで提供する事業者)だとしている。

■そして日本は

トヨタはeパレットを始めとするモビリティに関連するプラットフォームとして「MSPF(モビリティサービスプラットフォーム)」を掲げ、サービス、クラウドサーバー、モビリティをつなぐ広範なMaaSを自ら主導して展開する構想だ。




トヨタ以外では、日産、ホンダもすでにカーシェアリング事業者や、滴滴出行など配車アプリ事業者と提携を進めており、MaaS構想を打ち出すのも時間の問題だろう。

ただし、MaaSに関する疑念として、地域性も無視することはできない。例えばアメリカのロサンゼルスは、クルマなしには生活できない自動車社会のメガシティであるのに対し、東京は世界随一の公共交通網が充実した巨大都市である。だからロサンゼルスの方がはるかにMaaSの普及の可能性は高い。ヨーロッパの都市も公共交通網が東京や大阪のように密ではないため、MaaSの普及ポテンシャルは高い。

逆に日本では、大都市部ではなく、過疎化、高齢化が進む地方でのモビリティが大きな課題になっており、その対策手段としてMaaSのコンセプトは受け入れられる可能性がある。

総務省のMaaSに関する調査結果では、「MaaSは、地方の過疎地域でサービスカーとして自動運転車が導入されたり、データの活用によって最適なバスなどの運用が実現すれば、交通手段が少ない地域に住む人々にとって、駅や停留所と目的地までのラストワンマイルの移動が可能になる」という可能性について触れている。

いずれにしてもMaaSのコンセプトが明確になると同時に、これからは自動運転車やシェアリングカーを手段としてどのような社会のモビリティを目指すのかが問われることになる。

Uber 公式サイト
滴滴出行 公式サイト
MaaSグローバル 公式サイト

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

間違えると最悪車両火災の原因に! クルマのヒューズが切れたら「同色=同数値」のものに交換が必須!!
間違えると最悪車両火災の原因に! クルマのヒューズが切れたら「同色=同数値」のものに交換が必須!!
WEB CARTOP
トヨタWRC代表、勝田貴元にいよいよ“攻撃命令”。同点で並ぶヒョンデとのメーカー対決に向けて「攻めに転じる時がやってきた」
トヨタWRC代表、勝田貴元にいよいよ“攻撃命令”。同点で並ぶヒョンデとのメーカー対決に向けて「攻めに転じる時がやってきた」
motorsport.com 日本版
ローソン、ラスベガス予選はQ2敗退15番手「大きくスライドしてしまった。まあそれがなくてもQ3は無理だったけど……」
ローソン、ラスベガス予選はQ2敗退15番手「大きくスライドしてしまった。まあそれがなくてもQ3は無理だったけど……」
motorsport.com 日本版
新東名「最後の区間」どこまでできた? 過去最大規模の「トンネル湧水」発生も…どんどん造ってます!
新東名「最後の区間」どこまでできた? 過去最大規模の「トンネル湧水」発生も…どんどん造ってます!
乗りものニュース
70年代の“GTカー”が令和に復活!? 限定100台のミツオカ「M55ゼロエディション」ついに登場
70年代の“GTカー”が令和に復活!? 限定100台のミツオカ「M55ゼロエディション」ついに登場
VAGUE
オーナーは桐島ローランドさん 葉山町にオープンした新スポット『Felicity Cafe』とは
オーナーは桐島ローランドさん 葉山町にオープンした新スポット『Felicity Cafe』とは
バイクのニュース
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
くるまのニュース
新スタイルの洗車場、個室ブースで心置きなく洗車が可能…土曜ニュースランキング
新スタイルの洗車場、個室ブースで心置きなく洗車が可能…土曜ニュースランキング
レスポンス
マンホールの”大打撃”から1年……今度こそフロントロウからラスベガス決勝に挑むサインツJr.、混戦を予想「分からないことが多すぎる」
マンホールの”大打撃”から1年……今度こそフロントロウからラスベガス決勝に挑むサインツJr.、混戦を予想「分からないことが多すぎる」
motorsport.com 日本版
【悲報】マジかよ!? ホンダ二輪スポンサーのレプソルが2024年限りで契約解消へ
【悲報】マジかよ!? ホンダ二輪スポンサーのレプソルが2024年限りで契約解消へ
ベストカーWeb
「六本木のカローラ」を乗り継ぎ4台目!…BMW「3シリーズ」が自宅ガレージにあるのが普通という親子の現在の「E30」の経歴が凄かった!!
「六本木のカローラ」を乗り継ぎ4台目!…BMW「3シリーズ」が自宅ガレージにあるのが普通という親子の現在の「E30」の経歴が凄かった!!
Auto Messe Web
【クシタニ】による「クシタニの防寒グッズまとめ」!これで寒さを乗り切れる!
【クシタニ】による「クシタニの防寒グッズまとめ」!これで寒さを乗り切れる!
モーサイ
【写真蔵】「Jeep」ブランド初の100%電気自動車は、レネゲードよりもコンパクトな「アベンジャー」
【写真蔵】「Jeep」ブランド初の100%電気自動車は、レネゲードよりもコンパクトな「アベンジャー」
Webモーターマガジン
今季最悪の路面が今季最高のスペクタクルを生む? F1ラスベガスGP、タイヤの“グレイニング”を抑えることが鍵に
今季最悪の路面が今季最高のスペクタクルを生む? F1ラスベガスGP、タイヤの“グレイニング”を抑えることが鍵に
motorsport.com 日本版
東京都に住むEVオーナーは注目!  最新設備の「アウディ・チャージング・ハブ 紀尾井町」の150kWh超急速充電を30分無料開放
東京都に住むEVオーナーは注目!  最新設備の「アウディ・チャージング・ハブ 紀尾井町」の150kWh超急速充電を30分無料開放
THE EV TIMES
「公道で操れんわw」「1.6億で仰天」超弩級のシューティングブレーク『ROCKET GTS』にSNSも熱視線
「公道で操れんわw」「1.6億で仰天」超弩級のシューティングブレーク『ROCKET GTS』にSNSも熱視線
レスポンス
新しいF1レースディレクター、ドライバーたちは好印象「これまでで最高のドライバーズブリーフィングだった」
新しいF1レースディレクター、ドライバーたちは好印象「これまでで最高のドライバーズブリーフィングだった」
motorsport.com 日本版
ノリス2番手「ロングラン・パフォーマンスの悪さに衝撃を受けた」マクラーレン/F1第22戦木曜
ノリス2番手「ロングラン・パフォーマンスの悪さに衝撃を受けた」マクラーレン/F1第22戦木曜
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

311.0566.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

24.9479.0万円

中古車を検索
セドリックの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

311.0566.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

24.9479.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村