現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 世界のバスメーカーが狙う新興国のBEVバス市場! 中国が圧倒的な勢いをもつなかで欧州&韓国……そして日本はどうする?

ここから本文です

世界のバスメーカーが狙う新興国のBEVバス市場! 中国が圧倒的な勢いをもつなかで欧州&韓国……そして日本はどうする?

掲載 16
世界のバスメーカーが狙う新興国のBEVバス市場! 中国が圧倒的な勢いをもつなかで欧州&韓国……そして日本はどうする?

 この記事をまとめると

■インドネシアは急速な近代化が進んでおりBEVの路線バスもここ数年で増加している

「パーツ販売」「フィルム施工」「中古車販売」! まるまる「自動車だけ」のショッピングモールがインドネシアに存在した

■GIIAS2024の会場では数多くの中国製BEVバス・BRTバスが展示されていた

■日本国内でBEV路線バスの発売をはじめた日系バスメーカーの今後の展開に注目

 ジャカルタの象徴になりつつあるBRT

 筆者は新型コロナウイルスが爆発的に感染拡大し、気軽に海外へ行けなかった時期を除けば、ここ15年ほどは年に1度、自動車ショーの取材でインドネシアのジャカルタを訪れている。インドネシアでは現在、ジャワ島にある首都ジャカルタから、カリマンタン島のカリマンタン州に「ヌサンタラ」と名付けられた新首都へ2045年までに完全に首都移転すべく建設工事が進められている。ジャカルタ市への一極集中を避けるといった理由で首都移転を進めているのである。そのジャカルタは、首都の完全移転のタイミングまでに、ジョコ・ウィドド大統領がインドネシアの先進国入りを表明している。

 筆者が訪れはじめたころでも、インドネシア中心部には近代的な高層ビルやショッピングモールなどもあったが、その眼下には三輪タクシーや露店がひしめき合うといった、「新興国あるある」的な雑多な風景が広がっていたが、2018年にインドネシアで「第18回アジア競技大会」が開催されると、メインストリートから露店が排除され、三輪タクシーの走行できる道路が制限されるなど、急速な近代化が進んだ。

 そのような近代化の進んだジャカルタを象徴する乗り物としては、トランスジャカルタが運行しているBRT(バス高速輸送システム)がある。コロナ禍に入る直前に、一部区間でインドネシア初となる地下鉄が開業しているのだが、営業区間がまだ限定的で、実用性というよりは「初めての地下鉄」というアトラクションのような存在となっており、ジャカルタの新しい観光スポットと化しているのが現状。

 BRTといっても部分的に一般車両用道路を走るので、渋滞に巻き込まれたりするが、基本的には整備された専用道路を走り、鉄道のような自動改札を抜けた先のプラットフォーム(いわゆるバス停?)から乗降することになっている。

 BYDもインドネシアにBRTタイプのBEVバスを導入予定

 新型コロナウイルスの感染が落ち着き、2022年に久しぶりにジャカルタを訪れてみると、BRTの駅(バス停)のなかで、乗降客数の多いところの一部が多層構造に改築され、上層階にコンビニエンスストアや展望コーナーが設けられるところも出てきた。筆者はこの工事を見ていて、「いよいよBRTもBEV(バッテリー電気自動車)化される、その準備かな」と思っていたのだが、駅(バス停)の整備だけで終わっていた。ただ、車両更新(ICE[内燃機関]車)が進んでいるようには見えなかったので、BEVバス導入はそれでも近いと考えていた。

 2024年7月にジャカルタ近郊で開催された「GIIAS(ガイキンド・インドネシア国際オート・ショー)2024」の会場内をまわっていると、商用BEVをまとめて展示しているブースがあった。そこにはBEVトラックのほかに、さまざまなサイズのBEV路線バスが展示されていた。そのなかで目に留まったのがBRTタイプのBEV路線バスであった。

 車内を興味深く見ていると、英語の話せる係員が声をかけてきたので、このバスのメーカーを聞くと、「中国のゾントンだよ」と教えてくれた。ゾントンとは、中国・山東省にある「中通客車(客車はバスの意味)」というバスメーカーとなる。ちなみにゾントンのICE車両の連節タイプバスがインドネシアで初めてBRTに導入され、いまも走っている。しかし、導入当初からその品質に疑問を呈する声も多く聞かれていた。実際に筆者も、当該車両に乗っているときに、中開き式の乗降扉が「バタンバタン」とバラバラに開閉するといった不調状態なところを目撃している。

 ゾントン製は一般BEV路線バスでも運行されているが、ほかにも一般BEV路線バスではBYDオート(比亜迪汽車)やSAG(ゴールデンドラゴン/金龍客車)といった中国系BEV路線バスが街なかを走っている。ジャカルタ市内で路線バスを実際に運行する3事業者のうちのひとつに話を聞くと、すでに来年、BYD製のBRTバス車両を導入予定とのことなので、ICE車からBEVとなるなかで、BRT車両の中国メーカー車比率が高まっていくことになりそうだ。

 ちなみに前述したショー会場でもゾントン製のBRT路線対応のBEV路線バスは2025年デビュー予想としていた。

 欧州系ICE車両のBRT(ダイムラー、スカニア、ボルボ)も走っているのだが、恐らく欧州系でBEVバスとなると、現状では中国勢に価格面で勝てる見込みは薄いといえるだろう。「ダイムラーでは、日本市場も含め、バスの価格を大幅に引き下げる世界的な新しい動きを展開していきますので、ダイムラーも含め新興国での中国メーカーBEVバスの動きをこのまま黙って見ているということはないでしょう」とは事情通。

 日系メーカーも日本国内でBEV路線バスの発売を最近始めている。規格の問題もあって国内の車両をそのまま海外で販売するということは厳しい。韓国ヒョンデはすでにインドネシアでBEVバスシャシーの販売を進めている。日系バスメーカーも今後、活発な動きを見せてもらえると筆者はおおいに期待しているところである。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【10月の新車販売分析】受注停止車種が多くともトヨタ1強にかわりなし! 軽乗用車はホンダとダイハツの2位争いが熾烈に!!
【10月の新車販売分析】受注停止車種が多くともトヨタ1強にかわりなし! 軽乗用車はホンダとダイハツの2位争いが熾烈に!!
WEB CARTOP
『簡単にキズが消えた!』初心者でも簡単、コンパウンドで愛車の浅いキズを手軽に修復するテクニック~Weeklyメンテナンス~
『簡単にキズが消えた!』初心者でも簡単、コンパウンドで愛車の浅いキズを手軽に修復するテクニック~Weeklyメンテナンス~
レスポンス
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
くるまのニュース
スクーターのようでスクーターではない!? シリーズ最大排気量イタルジェット「ドラッグスター700ツイン・リミテッドエディション」発表
スクーターのようでスクーターではない!? シリーズ最大排気量イタルジェット「ドラッグスター700ツイン・リミテッドエディション」発表
バイクのニュース
MINI コンバーチブル【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
MINI コンバーチブル【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
【最新モデル試乗】期待のストロングHV登場! SUBARUクロストレックS:HEVの実力
【最新モデル試乗】期待のストロングHV登場! SUBARUクロストレックS:HEVの実力
カー・アンド・ドライバー
新車198万円! スバルの全長4.3m「“7人乗り”ミニバン」が凄い! 得意な「AWD×水平対向エンジン」採用しない“謎のモデル”に注目! 意外な「小型ミニバン」誕生した理由とは
新車198万円! スバルの全長4.3m「“7人乗り”ミニバン」が凄い! 得意な「AWD×水平対向エンジン」採用しない“謎のモデル”に注目! 意外な「小型ミニバン」誕生した理由とは
くるまのニュース
愛車の履歴書──Vol54. 池松壮亮さん(番外・後編)
愛車の履歴書──Vol54. 池松壮亮さん(番外・後編)
GQ JAPAN
トヨタ世界初!謎の「“パイ”エース」に大反響! 屋根なし&12人乗りに「成人式仕様みたい」「オトナも楽しめそう」の声! “マル秘システム”搭載の「ハイエース」がスゴイ!
トヨタ世界初!謎の「“パイ”エース」に大反響! 屋根なし&12人乗りに「成人式仕様みたい」「オトナも楽しめそう」の声! “マル秘システム”搭載の「ハイエース」がスゴイ!
くるまのニュース
頑張れ日産! フェアレディZの2025年モデル発表、あわせて新規注文を再開!
頑張れ日産! フェアレディZの2025年モデル発表、あわせて新規注文を再開!
カー・アンド・ドライバー
もう待ちきれない! [新型GT-R]はなんと全個体電池+次世代モーターで1360馬力! 世界が驚く史上最強のBEVスポーツカーへ
もう待ちきれない! [新型GT-R]はなんと全個体電池+次世代モーターで1360馬力! 世界が驚く史上最強のBEVスポーツカーへ
ベストカーWeb
「ジャパンモビリティショー2024」に若者たちはどう感じたか? 対話と提案で「次世代モビリティ社会」を作る
「ジャパンモビリティショー2024」に若者たちはどう感じたか? 対話と提案で「次世代モビリティ社会」を作る
ベストカーWeb
プライベート空間重視な人におすすめ! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
プライベート空間重視な人におすすめ! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
熊本「交通系ICカード廃止」はむしろ良かった? “大危機”から垣間見える「地方の選択肢」と、都心で広がる可能性とは
熊本「交通系ICカード廃止」はむしろ良かった? “大危機”から垣間見える「地方の選択肢」と、都心で広がる可能性とは
Merkmal
スズキ初ってマジか!! 新型フロンクスの新アイテム採用のヒミツが衝撃
スズキ初ってマジか!! 新型フロンクスの新アイテム採用のヒミツが衝撃
ベストカーWeb
12月7日(土)京都お東さん広場(東本願寺門前広場)で「京都モビリティ会議」開催(入場無料)
12月7日(土)京都お東さん広場(東本願寺門前広場)で「京都モビリティ会議」開催(入場無料)
ベストカーWeb
ルーミー/トール受注再開! 現行は2027年まで販売ってどうよ!? 3年も生き延びるってマジか!? ビッグマイチェンは2025年!
ルーミー/トール受注再開! 現行は2027年まで販売ってどうよ!? 3年も生き延びるってマジか!? ビッグマイチェンは2025年!
ベストカーWeb
全車[EV]化計画を撤回!? ベンツもボルボもEV化減速してるけど…[ホンダ]はどうするん? 
全車[EV]化計画を撤回!? ベンツもボルボもEV化減速してるけど…[ホンダ]はどうするん? 
ベストカーWeb

みんなのコメント

16件
  • ckl********
    >「ダイムラーでは、日本市場も含め、バスの価格を大幅に引き下げる世界的な新しい動きを展開していきますので、ダイムラーも含め新興国での中国メーカーBEVバスの動きをこのまま黙って見ているということはないでしょう」とは事情通。
    パイの一部にありつけるまで価格を下げるってことだと思うが、これまでのように美味しいパイではなくなる。
  • 西田誠
    安全な全固体電池が完成するまで、日本メーカーは公共交通車両のEV車は控えているのでしょうね。安全第一大事ですよね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村