■平成の初期に登場したターボエンジン+フルタイム4WDのセダンを振り返る
近年、日本の自動車市場ではセダンの人気は低空飛行が続いており、各メーカーともセダンラインナップは減少したままの状況です。
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一方、1980年代の終わりから1990年代の初頭にかけては、セダン人気は絶頂期を迎えており、ベーシックなモデルから高級車まで、次々と新型セダンが登場ました。
また、日本車が高性能化していた時期と重なっており、ハイスペックなセダンも数多く存在しました。
そこで、平成初期に発売されたハイスペックな4WDセダンを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「ブルーバード SSSリミテッド アテーサ」
かつて日産のミドルクラスセダンで主力車種の1台だった「ブルーバード」は、1959年に初代が誕生しました。
2代目から高性能グレードの「SS(スポーツセダン)」、「SSS(スーパースポーツセダン)」をラインナップし、ラリーでも活躍するなど、スポーティなイメージが定着し、代を重ねていきました。
その後、1991年には9代目となる「U13型」が登場。4ドアセダンの「SSS」系と、4ドアハードトップの「ARX(アークス)」系の、異なる2タイプのモデルが展開されました。
両モデルは外観のデザインも大きく異なり、SSS系はスラントノーズのフロントに、尻下がりのトランクが特徴で、ARX系は全体的に丸みを帯び、ロー&ワイド感を強調したフォルムとなっていました。
トップモデルはセダンの「SSSリミテッド アテーサ」で、エンジンは最高出力210馬力を発揮する2リッター直列4気筒DOHCターボのスポーツユニット「SR20DET型」を搭載。トランスミッションは5速MTと4速ATが設定されました。
駆動方式はセンターデフにビスカスカップリングを組み合わせたフルタイム4WDで、さらに前後のディファレンシャルギアにもそれぞれビスカスLSDが組み込まれた「トリプルビスカスシステム」が採用され、あらゆる路面でも安定した走行性能を発揮しました。
9代目ブルーバードは1996年に10代目へとフルモデルチェンジし、10代目ではターボエンジンを廃止。9代目が最後のハイスペックなブルーバードでした。
●三菱「ランサー GSRターボ」
前出のブルーバードと同じく、スポーティなセダンというイメージが定着していた三菱「ランサー」ですが、そのきっかけは「ランサーエボリューション」シリーズの存在が大きいでしょう。
1992年に次世代のラリーマシンとして発売された限定モデルの「ランサー GSRエボリューション」が初代ですが、そのベースとなったモデルは1991年発売の6代目「ランサー GSR」です。
ランサー GSRは最高出力195馬力を発揮する1.8リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載し、トランスミッションは5速MTのみ(後に4速ATが追加された)で、駆動方式はフルタイム4WDを採用。
車重は1150kgと比較的軽量で、高性能グレードとして十分なポテンシャルを誇りました。
外観は小ぶりなフロントスポイラー/リアスポイラーが装着され、後のマイナーチェンジで大型のリアスポイラーに変更し、ランサー GSRエボリューションを思わせる外観にブラッシュアップされました。
しかし、WRCのレギュレーション上、1.8リッターターボエンジンでは勝てないことが明白で、2リッターターボエンジンを搭載し、さらにシャシや足まわり、ブレーキを強化したランサー GSRエボリューションが誕生することになります。
なお、その後もランサー GSRエボリューションと並行し、ランサー GSRも高性能なカタログモデルとして販売が継続されました。
●スバル「レガシィ RS」
スバルは1989年に、次世代の主力モデルとして初代「レガシィ」を発売しました。それまでの主力モデルだった「レオーネ」は基本設計の古さは否めず、レガシィはプラットフォームからエンジンまで、すべて新開発された意欲作でした。
ボディはセダンとステーションワゴンの「レガシィツーリングワゴン」をラインナップし、外観は伸びやかなフォルムがシャープな印象で、ツーリングワゴンも商用バンと決別したスタイリッシュなデザインとされ、どちらも大ヒットを記録。
そしてセダンには発売当初から高性能グレードの「RS」が設定されました。
RSは最高出力220馬力を誇る2リッター水平対向4気筒エンジン「EJ20型」ターボを搭載。組み合わされたトランスミッションは5速MTのみと硬派なモデルでした。
駆動方式はFFの2WDとビスカスカップリング付きセンターデフによるフルタイム4WDを設定し、RSは4WDのみでリアのディファレンシャルギアにはビスカスLSDが装備され、あらゆる路面で高い駆動力を発揮。
さらに足まわりもRS専用に各部が強化され、ブレーキもフロントに2ピストンキャリパーが奢られていました。
その後、1989年中には軽量化された「RS type R」、STIがチューニングしたモータースポーツベース車の「RS type RA」が加わり、レガシィ=ハイパフォーマンスセダンというイメージがより定着し、同様のコンセプトを継承しつつ代を重ねていきました。
※ ※ ※
今回、紹介した3台のセダンは、すべて国内市場から消滅してしまいました。
どのモデルも一時代を築いたほどメーカーにとって大事なクルマでしたが、ニーズの変化には抗えなかったということでしょう。
今後、日本でセダン人気が復活することは難しいのですが、セダンの魅力が色あせたわけではありません。
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みんなのコメント
FR車だから今回のネタ(4WDセダン)には該当しないが、ランサーのスポーティなイメージはサファリで優勝した頃から。