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『TCRワールド・ランキング』が日本から世界への扉に。TCRJ参戦のBRP奥村浩一代表に聞くその魅力

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『TCRワールド・ランキング』が日本から世界への扉に。TCRJ参戦のBRP奥村浩一代表に聞くその魅力

 11月28日、ツーリングカー規定のTCRを管理するWSCグループは、WTCR世界ツーリングカーカップに代わる新たなシリーズとして、『TCRワールドツアー』を発表し、同時に新たなコンセプトとして、世界中のTCRシリーズに参加するドライバーの結果をポイント化する『TCRワールド・ランキング』を立ち上げた。このシステムは、最終的に世界への扉を開くチャンスにも繋がっており、日本で開催されているTCRジャパンシリーズに参戦するチームにとってもチャンスと言えるシステムだ。その新たな仕組みの魅力を、TCRジャパンシリーズでクプラTCR、アウディRS3 LMS TCRを走らせるバースレーシングプロジェクト(BRP)の奥村浩一代表に聞いた。

 TCRは2014年に初めて規定の構想が発表されたツーリングカーカテゴリーで、GTカーにおけるGT3やGT4といったカスタマーレーシングカーのコンセプトを採用。世界各国でTCR規定のシリーズが立ち上げられたほか、耐久レースでも活用された。また2018年からは、WTCC世界ツーリングカー選手権に代わり、WTCR世界ツーリングカーカップがスタートした。

創設5年のWTCRが突然の終幕、2023年から『ワールドツアー』に発展へ。TCR世界ランク制も導入

 そんなTCRだが、2023年限りでWTCRは幕を下ろし、新たなレースシリーズとして『TCRワールドツアー』がスタートすることなった。これは世界中のTCRの公認イベントのうち9つを“ツアー”として繋ぐものだ。

 このTCRワールドツアーのトップ15、そして、世界中のTCRシリーズに参加するドライバーの結果をポイント化し、参加したシリーズ、大会の規模などふたつの係数で重み付けされ、ポイント化した世界共通のランキングシステム『TCRワールド・ランキング』のトップ45人、そしてワールドツアーの上位15人の合計60台が参加できるへの出場権を得ることができる。

 これまではWTCRを頂点とし、各地域のTCRシリーズが存在するかたちだったが、WTCR参戦のハードルは高く、特にコロナ禍に揺れたこの2年間は日本での参戦もなく、なかなかツーリングカーでの世界への挑戦は実現しなかった。しかしこの『TCRワールド・ランキング』は、TCRジャパンシリーズで戦うチーム、ドライバーにも新たな可能性を広げることになる。

■ゴルフやテニス同様、世界基準のドライバーのランキングが実現
 新たなシステムを歓迎するのは、TCRジャパンシリーズで2022年のサタデー/サンデー両シリーズのチャンピオンを獲得したHIROBONをはじめクプラやアウディを走らせ、積極的にシリーズに参入するBRPの奥村代表だ。

「この『TCRワールド・ランキング』というシステムは2年間のポイント制になっていて、そのうちの上位45台と、ワールドツアーの上位15台という総勢60台が、2024年1~2月にサウジアラビアで開催される『TCRワールドランキング・ファイナル』に出場できるというシステムです」と奥村代表は説明する。

「今回WTCRがなくなり、TCRでワールドチャンピオンを決めるという試みはすごくウエルカムです。『世界への扉』が開けたことになりますから。WTCRも出場することも可能だったのですが、同じカラーリングでの2台体制が必要だったり、高額のエントリーフィーが必要だったりと、我々のようなプライベーターには敷居が高かったんです」

「しかし、今回のシステムはTCRジャパンシリーズを戦ってポイントを稼ぐことで世界への道ができます。2023年はマカオでの開催のようなのですが、ワールドツアーのアジア地区のレースにスポット参戦することでもポイントを稼げます。非常に良いフォーマットになったと思いますし、プライベートチームが世界に挑戦できるチャンスはなかなかありませんから。TCRは世界共通のフォーマットで世界中を戦えるというのが魅力ですが、それが実現できる印象ですね」

 この新しいシステムは、もちろんバースレーシングプロジェクトからTCRジャパンシリーズに参戦するドライバーたちのモチベーションアップにも繋がっているという。「もともと日本でWTCRがあったときに、ワイルドカードとして出場できるチャンスがありましたが、TCRジャパンのチャンピオンを獲ったら出場できるようなスカラシップがあれば良かったですし、WTCR自体が日本に来なくなってしまいましたからね」

 そして、奥村代表はこの『TCRワールド・ランキング』がモータースポーツにおいて非常に画期的だと語る。ゴルフやテニスでは世界中のランキングがあり、スポーツニュースでも「世界ランキク1位の……」と紹介されることがあるが、このTCRにおいても、世界のツーリングカー使いのなかで、自分の位置が分かるということだ。これは「モータースポーツのなかでも初めてのことだと思いますし、世界共通のフォーマットがあればこそだと思います」と奥村代表は語った。実際、リアルタイムでそのドライバーの順位がホームページ(https://tcr-worldranking.com/)で見ることができる。

「GT3やGT4は性能調整やレースフォーマットもあり複雑ですが、TCRの場合は、エンデュランスでも還元率は低いものの、ポイントもつきます。面白いですよ。目に見えるかたちでランキングが出るので、シーズンを通じてモチベーションが高く維持できます」

■TCRジャパンの盛り上げに繋げるチャンス
 ただこのTCRワールド・ランキングだが、現在TCRジャパンシリーズが抱えている問題が繋がってくる。TCRワールド・ランキングは当然ヨーロッパ等で戦うプロドライバーも参加しており、TCRジャパンシリーズ王者のHIROBONでも50位台(12月16日時点で68位)、加藤正将が93位、今季タイトルを争った猪爪杏奈でも120位だ。TCRジャパンが現状台数が少なく、ポイントのかけ率が少ないことも関係する。

 この状況を打破するためには、やはり台数が増えることが重要だ。TCRジャパンとしての変革もさらに必要になるほか、こうして世界への道が開けたからには、シルバーの若手ドライバーや、さらにはレギュレーションが必要になるが、プロドライバーが増えれば、フォーミュラとは別の“世界への道”も見えてくる。

「国内にはTCR車両がまだ20台以上あるんです。我々が4台持っているくらいですから。もったいないですよね。それにクルマのBoPもしっかりしていますし、予選もすごく僅差。ドライバーの技量がしっかり発揮されるカテゴリーなので、若いドライバーも自分のスキルアップに繋げられると思うんです」

 TCR車両としてはバースレーシングプロジェクトでも使用するアウディやクプラ、それにアルファロメオ、さらに新型が登場したホンダ・シビック・タイプRも選ぶことができる。もちろんこれにさらに国産メーカーが加わってくれれば、さらなる盛り上がりも期待はできるはずだ(残念ながら今は噂はないが)。またTCR車両はリセールが好調だともいう。「例えばスーパー耐久の車両は今はガラパゴス化しはじめてしまっていますが、TCRは海外でも流通することができます」と奥村代表は言う。

 今回の『TCRワールド・ランキング』、さらに世界統一戦『TCRワールドランキング・ファイナル』は、近年やや台数が減っているTCRジャパンにとっても再興のチャンスとも言える。ふたたび大きな盛り上がりをみせることを、ツーリングカーファンとしても願いたいところだ。

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みんなのコメント

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  • ご年配の方が、道楽でレースをやっている分にはファンは増えないですし、記事に魅力も感じないですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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