欧米では「モーターホーム」でゆったりキャンプが主流
日本のキャンピング・スタイルは、クルマの近くにテントを建てるいわゆる「オートキャンプ」が主流で、クルマのなかに寝るのは「車中泊」と特別な呼び方が存在する。ところが、ヨーロッパやアメリカではテント派は、きわめて少数。多くはクルマのなかでゆったりと過ごす「モーターホーム」がメインだ。
いま車中泊派の間で「屋根アゲ」が流行中! 最新ポップアップルーフ一気見せ【ジャパンキャンピングカーショー2022】
家と同じくらい快適な「クラスA」モーターホーム
そのなかでも頂点に君臨するのが、「クラスA」と呼ばれるバスを改造したタイプ。家のなかで過ごしているのと同じ快適さを実現する。なかにはパラボラアンテナを出して、衛星放送を視聴している家族もいるから、同じ「アウトドア」でも求めているものが違う。
ドイツの「ハイマー(Hymer)」は、欧州のモーターホームメーカーでも定評ある高級ブランド。1957年にキャンピングトレーラーを販売して以来、数々の革新的なモデルを発表してきた。とくに1980年代以降の「Bクラス(B-Klasse)」、「Sクラス(S-Klasse)」は、キャンピングカーファンにとって憧れの存在となっている。
ドイツの名門「ハイマー」の最新モデルが日本上陸
2月10日~13日に幕張メッセで開催された「ジャパンキャンピングカーショー2022」にて、「ハイマージャパン」が出展していた「ハイマーB MCI 580」はニューモデル。「メルセデス・ベンツ」がモーターホーム用にチューンした「スプリンター」(FF)のシャシーをベースとし、リヤセクションに独自設計したラダー状の「SLCシャシー」を架装している。SLCとは、スーパー・ロー・シャシーの略だ。
サイズは全長6990mm×全幅2290mm×全高2960mmで、乗車定員は4名、就寝人数は4~5名。今回は参考出品のため価格は付いていないとのことだが、4桁万円の世界であろうことは間違いない。
新しい低床シャシーを使うことで実現したのが、床下の機能アップ。FFレイアウトを生かしてバスタブ状のフロアパンをSLCシャシーに設置し、タンクや電装品を内蔵した。これによって給水タンクは180Lと、吊り下げ式だった前タイプに比べて格段に大きくなった(排水は150)。
メインのリヤラゲッジも一般的な250kgと比べて、破格の350kgとなった。戸建ての家の物置ほどの広さがある。さらに長尺物が入れられるセカンドラゲッジも床下に設置するなど、見えない部分の刷新が大きい。
機能美と高級感はキャンパー界のスイートルーム
インテリアも車格に合わせた高級感に満ちている。とくにデザインがいい。ダイネット式のシートレイアウト、ツインベッド、キッチン、トイレは機能美があふれている。運転席の上にはプルダウン式のベッドを設置。オーナーは十分にプライドを感じられる空間といえる。
もうひとつ軽量シャシーの恩恵を挙げるなら、3t弱(標準装備)という車体自体の軽さ。190psを発生する2.2Lディーゼルターボとの組み合わせで、かなりのスピードが出るという。モーターホームというと走りのストレスは我慢の範囲と諦めがちだが、その悩みも払拭してしまった。また、前車追従型クルーズコントロールなど先進安全装備も充実している。
このモーターホームが想定する旅は2週間から1カ月という。まさに休暇に対する考え方の違いを実感する。週末のキャンプ旅行くらいでは、このクルマの出番はない。願わくは日本でも企業のトップが「クラスA」を使って、ワーケーションでもしてお手本を見せてほしいものだ。
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