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【試乗】フェラーリ ローマ│落ち着いたルックスと乗り心地にだまされてはいけない、恐ろしいほどのパワーを秘める新たな刺客!

掲載 更新 12
【試乗】フェラーリ ローマ│落ち着いたルックスと乗り心地にだまされてはいけない、恐ろしいほどのパワーを秘める新たな刺客!

普段使いもできる、初めてのフェラーリにうってつけの柔軟さ

フェラーリの車名は、伝統的に排気量や気筒数などそのモデルにちなんだ数字と車形を表すアルファベットが組み合わされ、そこに様々なサブネームが添えられていることが多い。例えば、フェラーリ F8トリブートは、フェラーリの8気筒モデルを自ら記念するという意味が込められた名前。フラッグシップの812GTSならば、800馬力の12気筒、グラントゥーリズモのスパイダーという具合だ。

フェラーリ ローマのカタログを見る

ところが最近、カリフォルニア、ポルトフィーノのように、地名のみというパターンも出てきた。地名も以前は360モデナや550マラネロのように、数字(&アルファベット)に添えられているのが常で、地名のみのパターンは新しい。

そもそも数字やアルファベットのない名前自体がフェラーリの場合は珍しくて、過去の有名なところではモンディアルやテスタロッサ、エンツォ・フェラーリ、ラ・フェラーリが思い浮かぶ程度だ。

カリフォルニアやポルトフィーノのようにとても分かりやすい名前を使い始めた背景には、生粋のフェラリスタ(=ロイヤルカスタマー)以外にもマーケットを見いだそうとしたからだと思う。モデナやマラネロ、フィオラーノは好きモノにしかわからない地名だ(フェラーリファンなら小躍りする名前だが)。そうじゃないユーザーにも親しんでもらえ、しかもフェラーリらしい堂々とした、聞こえのいい名前をつける戦略で、ユーザー層の拡大を計った。

実際、名車スパイダー(250GTカリフォルニア)にちなんだ2ドアRHT(リトラクタブルハードトップ)のカリフォルニアを出した際には、ドイツ製高性能ブランドからの乗り替え組も多かったという。分かりやすい名前のモデルがマラネロの門を広げる役割を果たしたと言っていい。

2019年11月に発表した、新たな2ドアのベルリネッタもまた、とても分かりやすい名前で、イタリアの首都にちなんでローマと名づけられた。首都の名前をそのまま使う、フェラーリにしかできない芸当だ。 一見してシンプルで美しいスタイリングで、現代のスーパースポーツカーがその性能と引き換えに失いつつあったエレガンスをもう一度取り戻したかのようである。

半世紀以上も前のフェラーリ・ロードカーといえば、レースでの強くて真っ赤なイメージとは裏腹に、地味なカラーリングの美しいベルリネッタGTが主流だった。赤いフェラーリのロードカーがもてはやされ始めたのは80年代以降のこと。さらに21世紀になってからは、軽量化やエアロダイナミクスを徹底的に追求した結果、どんどん華々しいデザインになっていく。

レーシングカーじゃないんだから、もっと落ち着いたデザインの跳ね馬に、周りを気にすることなく毎日乗りたいものだ。そんな声が高まった結果、ローマは生まれたのである。

ロングノーズ&ショートデッキの典型的なイタリアンクラシックのベルリネッタスタイル。けれども、きれいにまとめすぎないあたりに、独特のエレガンス表現を見る。鋭くとがったフロントノーズはややバランスを崩しながら下がり、リアシートのキャビンは低く小さくまとめられて、リアデッキも小さめ。

その代わり、前後のフェンダーラインをグラマーに描いたあたり、美しい時代のフェラーリに共通するデザインのDNAが見いだせる。ローマにはサイドフェンダーのSFシールドエンブレムは似合わない。レースのにおいがまるでしないからだ。

エクステリア以上にエレガントなのがインテリアデザインだ。機能重視だった最近のフェラーリの中では秀逸。デュアルコックピットスタイルと名づけられた室内は左右のパッセンジャー席が美しく仕切られており、ドライビングに熱中することはもちろん、その居心地そのものを楽しむ空間にもなっている。 ローマは、最新のポルトフィーノMと並行して開発されたようである。リトラクタブルハードトップをもつポルトフィーノをベースとしつつ、その7割を新設計とし、進化したパワートレーンを積んだ。確かにローマはポルトフィーノのクーペ版ではなかったけれども、今年にほとんど同じスペックをもつポルトフィーノの進化版Mが登場したことで、結果的には姉妹モデルとなっている。

メカニズム的に注目すべきは、フロントミッドに積まれたパワートレーンだ。3.9L直噴V8ツインターボエンジンの最高出力は620psにまで引き上げられ、新開発8速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)を組み合わせる。

従来の7速DCTに比べても、より小型かつ軽量で変速スピードも上がった。エネルギーロスも格段に減っている。パフォーマンスのみならず、燃費の向上にも一役かったというわけだ。

乗り味はまさにジキルとハイド、二つのまるで違う個性が同居したものだった。街中をクルーズするような場面では、優雅なスタイリングそのままに洗練されたラグジュアークーペらしい走りに徹する。弾性の利いたたソリッドな乗り心地で扱いやすく、毎日でも乗りたくなりそうな乗り手を気遣う優しい馬である。

ところが、マネッティーノ(ドライブモード)をコンフォートからスポーツ、もしくはレースにチェンジすると悍馬へと豹変した。ハンドリングはすさまじくシャープになり、あまりの敏感さにおじけづいてしまったほど。そのうえ、低回転域からモリモリと湧き出るトルクが背中を押しまくる。3000回転を超えたあたりから迫力を増すエグゾーストノートに乗せられたなら、高回転域のパワーフィールがめくるめく快感となってドライバーをとりこにする。

十分に懐かせてから、ドライブモードを変えてみることをオススメする。 フェラーリ ローマのカタログを見る 文/西川淳、写真/橋本玲【試乗車 諸元・スペック表】●F1 DCT型式7BA-F164BAA最小回転半径-m駆動方式FR全長×全幅×全高4.66m×1.97m×1.3mドア数2ホイールベース2.67mミッション8AT前トレッド/後トレッド1.65m/1.68mAI-SHIFT-室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m4WS-車両重量1570kgシート列数2最大積載量-kg乗車定員4名車両総重量-kgミッション位置コラム最低地上高-mマニュアルモード◯標準色ビアンコアヴス、ジアッロモデナ、ロッソコルサ、ロッソスクーデリア、ロッソムジェロ、ブルーポッジ、ネロ、アルジェントニュルブルクリンク、グリジオチタニオメタル、グリジオイングリッド、グリジオシルバーストーン、グリジオアロイ、ブルーツールドフランス、ブルーアブダビ、ブルーミラボー、ネロデイトナ、アヴォリオ、ブルースコツィア、グリジオフェロメタリック、アズーロカリフォルニア、カンナ ディ フチーレ、ブルースワター、ヴェルデブリティッシュ、ロッソディーノ、ロッソフィオラノ、ビアンコセルヴィノ、ブル―ローマオプション色-掲載コメント-型式7BA-F164BAA駆動方式FRドア数2ミッション8ATAI-SHIFT-4WS-標準色ビアンコアヴス、ジアッロモデナ、ロッソコルサ、ロッソスクーデリア、ロッソムジェロ、ブルーポッジ、ネロ、アルジェントニュルブルクリンク、グリジオチタニオメタル、グリジオイングリッド、グリジオシルバーストーン、グリジオアロイ、ブルーツールドフランス、ブルーアブダビ、ブルーミラボー、ネロデイトナ、アヴォリオ、ブルースコツィア、グリジオフェロメタリック、アズーロカリフォルニア、カンナ ディ フチーレ、ブルースワター、ヴェルデブリティッシュ、ロッソディーノ、ロッソフィオラノ、ビアンコセルヴィノ、ブル―ローマオプション色-シート列数2乗車定員4名ミッション位置コラムマニュアルモード◯最小回転半径-m全長×全幅×全高4.66m×1.97m×1.3mホイールベース2.67m前トレッド/後トレッド1.65m/1.68m室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m車両重量1570kg最大積載量-kg車両総重量-kg最低地上高-m掲載用コメント-エンジン型式-環境対策エンジン-種類V型8気筒DOHC使用燃料ハイオク過給器ターボ燃料タンク容量80リットル可変気筒装置-燃費(10.15モード)-km/L総排気量3855cc燃費(WLTCモード)-燃費基準達成-最高出力620ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm760(77.5)/5750エンジン型式-種類V型8気筒DOHC過給器ターボ可変気筒装置-総排気量3855cc最高出力620ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm760(77.5)/5750環境対策エンジン-使用燃料ハイオク燃料タンク容量80リットル燃費(10.15モード)-km/L燃費(WLTCモード)-km/L燃費基準達成-

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