レッドブルは、ホンダのパワーユニット(PU)を引き継ぎ、来季から”レッドブル・パワートレインズ(RBP)”で自社製PUを開発・製造することになっている。そのテクニカルディレクターには、メルセデスでメカニカル・エンジニアリング部門の責任者を務めてきたベン・ホジキンソンが就くことになっているが、さらに複数のメルセデスのスタッフが、RBPに加入することになった。
メルセデスの製造責任者であるスティーブ・ブルーエットは、RBPでプロダクション・ディレクターに就任する予定。またメルセデスのF1エレクトロニクスチームのリーダーであるオミッド・モスタギミは、パワートレイン、エレクトロニクス、ERS部門の責任者となる。またメルセデスのPUコンセプトのチームリーダーであるピップ・クロードが、ERSのメカニカルデザイン部門を率いることになる。
■レッドブル新F1エンジン部門、メルセデスから有能エンジニアを”引き抜き”。テクニカルディレクターに起用
さらにアントン・メイヨー(メルセデスのエンジニアリング・チームリーダー)がPUデザインの責任者になり、サーキットでの最終検査マネージャのスティーブ・ブロディが、ICE(エンジン)オペレーションチームのリーダーとなる。
レッドブルは、機械開発責任者も、今後数週間の間に発表するとも明かしている。
レッドブルF1のチーム代表であり、RBPのCEOでもあるクリスチャン・ホーナーは、今回の発表に伴い次のように語った。
「レッドブル・パワートレインズを通じて、F1オペレーションに関する全ての側面を社内に持ち込むというレッドブルの使命は、非常にエキサイティングな取り組みでもあるが、非常に要求の厳しい取り組みでもある。そして我々は、成功するためには、もっとも優秀な才能を迎え入れ、彼らに適切なツールを提供し、彼らが活躍できる環境を作り出すことによってのみ、それが達成されるということを理解している」
「今日行なった主要なリーダーシップチームにおける人選は、これらの目標に向けた我々の強い決意を示している。我々は英国に本拠地を構えていることの恩恵を受けている。英国では、実に多くの才能溢れるエンジニアたちに接触することができる」
「我々は新たなテクニカル・ディレクターであるベン・ホジキントンと協力し、ホンダ・レーシング・デベロップメントから移ってくる主要な人員と共に、今日発表された各部門の主要メンバーが、レッドブル・パワートレインズのプログラムに対して豊富な経験、専門知識、革新をもたらす。そして、将来に向けて可能な限り強力な技術的プラットフォームをもたらしてくれるだろう」
レッドブルは、PUを自社開発するための施設を、ミルトンキーンズのファクトリーの敷地内に新たに建設中である。来季から数年間は、ホンダのPUプロジェクトを引き継ぐことになるが、2025年にはレギュレーションの大変更が予定されているため、全く新しいPU開発をしなければならなくなるはずだ。そこには、今回獲得した人材の知見が活かされることになるだろう。
レッドブルに多くの人材を引き抜かれたことは、メルセデスにとってはもちろん理想的とは言えない。しかしメルセデスF1チームの代表であるトト・ウルフは、人材流出を食い止めるために、賃金を引き上げる必要があるとは考えていないようだ。
「我々は何かを失い、何かを勝ち取るだろう」
ウルフ代表はそう語った。
「しかし結局のところ、私はメルセデスの哲学を信じており、メルセデスが本当に良い雇用主であると信じている」
「多くのプレッシャーがかかるが、楽しいこともたくさんある。我々はそれを誇りに思うことができ、それに頼らなければいけない」
「物事には常に変化がある。しかしこう言ってはなんだが、クリスチャンがなぜそうしているかは理解している。彼は地盤固めをしたいのであって、そのためには時々高額な小切手を切る必要も生じる。だが問題はない」
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