2024年のスーパーフォーミュラは、VANTELIN TEAM TOM’Sの坪井翔がチャンピオンに輝いた。参戦6年目、トムスに移籍して1年目での初戴冠となった。
今季の坪井は圧巻であった。昨年チャンピオンを獲得し海外へと羽ばたいた宮田莉朋と同じパッケージを引き継いでの参戦となったが、その分プレッシャーをあったはず。しかし坪井は周囲の期待に応えるかのように安定したパフォーマンスを披露。9戦中7戦で表彰台を獲得し、富士スピードウェイでの3レースでは全て優勝して見せた。最終的にランキング2位以下に30点以上の差をつける圧勝であった。
■岩佐歩夢、スーパーフォーミュラでの1年に幕「悔しいが充実した1年だった。世界の頂点に向け、もっと速く強くなった自分をお見せできるよう頑張る」
スーパーGTのGT500クラスでは既にトムスで2度のチャンピオンに輝いており、今季も3度目のタイトルに王手をかけている状態。坪井はレーシングドライバーとして円熟の時を迎えているように見える。
普段は飄々と、淡々としているイメージの坪井。傍目にはプレッシャーもあまり感じないタイプのようにも見えてしまうが、彼はシリーズチャンピオン記者会見の中で、自分はメンタルが弱いのだと明かす。
「メンタルはめちゃくちゃ弱いので」
「前回の富士大会が終わった後、この鈴鹿大会に来るまでにそれなりのポイント差があったとはいえ、2連戦の重要性も分かっていますし、今までチャンピオンを獲れてきていないということもあって、やっぱりプレッシャーを感じていました」
「それを表に出さないように、なんとかなんとか頑張っていたというだけです。本当、メンタルは超しょぼいです」
ただ、そういった自身の“弱い”メンタルと向き合ってきたからこそのシリーズチャンピオン獲得ではなかろうか。この点について、坪井は次のように語った。
「(メンタルが)弱いので、例えばレースにかける時間をどれだけ増やせるかとか、そういった時間が1分1秒でも勝手に自信にするだとか、『今日俺が誰よりもレースのことを考えてた』と思い込むようにしたり。自分が弱いのを知っているので、その弱さとどうしたら向き合えるかは日々考えていますね」
少しでも長くレースのことを考え、人知れず努力を積み重ねていることを明かした坪井翔。自分の“弱さ”を自覚し向き合うことも、“強さ”のひとつなのかもしれない。
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