マッズ・オストベルグ(シトロエンC3ラリー2)が復活勝利を挙げた2023年最終戦『ラリー・ハンガリー』以降、この11月からの約3週間を掛けてファン投票が実施されていたERCヨーロッパ・ラリー選手権の70周年記念企画『ERC Greatest Driver of all time』の結果がシリーズ公式サイトで発表され、歴代チャンピオンから選出された16名の頂点に、イタリア出身の名手ジャンドメニコ・バッソが選出されている。
ファンが自分たちの観点から最も優れたERCドライバーを決定する“G.O.A.T(Greatest Of All Time)”選挙は、チャンピオンシップ70周年記念の一環として実施。シリーズで2冠を達成し、かつてのJWRC(ジュニアWRC)でも活躍したP-G・アンダーソンや、シモン・ジャン=ジョセフ、ルカ・ロセッティら時代を超えた16名が、ERCグレイテストドライバー投票の候補者として選出されていた。
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その得票数とデータに基づき12名に絞られたのち、トーナメント方式の勝ち抜きで選抜されていった候補は、それぞれ準決勝を勝ち上がったバッソと、2015年から2017年にかけて前人未到のERC3連覇を決め、近年はWRC世界ラリー選手権WRC2クラスを主戦場とするカエタン・カエタノヴィッチの頂上決戦となっていた。
このグランドフィナーレで実に85%の得票を集めた現役の“職人”バッソが、栄えあるERC史上「最も偉大なドライバー」に決定した。
そんなバッソは、この7月末に地元開催となった第6戦『ラリー・デ・ローマ・キャピタル』でも、国内選手権登録ながら総合初のERC勝利を挙げた34歳のアンドレア・クルニョーラとの勝負を繰り広げ、シュコダ・ファビアRSラリー2で2位表彰台を獲得するなど、自身50歳を迎えた現在も第一線でのドライブを続けている。
当時はIRC(インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ)として開催されていた2006年に自身初のヨーロッパチャンピオンを獲得、前輪駆動のフィアット・プント・スーパー1600や、S2000規定のフィアット・プント・アバルトの開発と熟成を担うなど、名門アバルトのファクトリーチーム契約ドライバーを長く務めてきた。
欧州選手権格式で通算52回の出走のうち、20勝と32回の表彰台を獲得したイタリアを代表するラリーストは、自身もドライバーとして活躍を演じるかたわら、現在は新星アルベルト・バティストーリらを含む次世代の才能を指導する役割もこなしている。
■新王者パッドンはFIAの年間表彰式に出席。喜びを噛み締める
「ERCグレイテスト・ドライバー投票でトップに立ったジャンドメニコ・バッソにお祝いを申し上げたい。そして、時間を割いて投票してくれたファンの皆さんにも深く感謝する」と語ったのは、ERCチャンピオンシップマネージャーのイアン・キャンベル。
「今回のファン投票への反応は素晴らしく、ERC時代のすべてのドライバーが票を獲得したのを見るのは本当にうれしかった。FIAヨーロッパ・ラリー選手権の最初の70年間で、バッソを含め何百人ものドライバーが名を残したが、このようなかたちで彼の功績が評価されるのを見るのは素晴らしいことだ」
その蓄積と系譜に新たに名を連ねることとなったニュージーランド出身の新王者ヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 Nラリー2)は、アゼルバイジャンのバクーで開催されたFIA国際自動車連盟の年間表彰式に出席。イタリアのBRCレーシングチームとの共闘で得た“ヨーロッパ王者”の栄誉を正式に授与された。
「これまでのチャンピオンシップのなかで、最も楽しめたシリーズになった。WRCと同じプロモーターが背後にいて、参戦コストに見合った価値という点では、僕のキャリアのなかでもおそらく世界最高のチャンピオンシップだ」と、はるばる南半球から挑戦して勝ち得た王座の喜びを噛み締めた36歳。
「すべてのプロモーション、すべてのライブステージがあり、ここに参戦するラリー2マシンこそがラリーの目玉で、ファンはそれを見たくて現地に行くんだ。だからこそ僕らもラリーの最前線にあるものを重視し、総合的な結果を競おうとしている」と続けたパッドン。
「僕はさまざまな種類、どんな形態のラリーも大好きだが、このチャンピオンシップには速い常連たちがいて、すべてのラリーに地元のスペシャリストが参戦するという事実も好きだ」
「競争はつねに変化しており、それがファンにとって興味深いものになっている。僕らドライバーにとっても、地元の人々が地元のラリーで輝こうとしているという事実が大好きさ。それは僕らに努力すべき何かを与えてくれる。全体のコンセプトが非常にうまく機能しており、シーズンを本当に楽しんだよ」
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