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ウーリン・ホングアン・ミニEVへ試乗 51万円のマイクロ純EV 価格以上の完成度

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ウーリン・ホングアン・ミニEVへ試乗 51万円のマイクロ純EV 価格以上の完成度

徹底的な簡素化で約51万円

現在英国で購入できる最も安価な自動車は、ダチア・サンデロというBセグメントに属する小さなハッチバック。英国価格は9845ポンド(約149万円)からだ。

【画像】ホングアン・ミニEV 中国ブランドの純EVは増加中 マイクロカーのシトロエン・アミも 全80枚

さらに小さく、タイヤが4本付いているマイクロカーで良ければ、シトロエン・アミという純EVがある。英国導入はこれからだが、予想価格は6000ポンド(約91万円)を切るという。

もっと手頃な都市部での移動手段をお探しなら、中国に1択がある。この土地で最も安く買えるマイクロカーが、ウーリン・ホングアン・ミニEV。英国通貨に換算すると、3400ポンド(約51万円)でお求めいただける。

当然ながら、ここまで安い電気自動車は中国で高い支持を集めている。1年間に約37万台も売りさばいているという。

シャンチートンヨン・ウーリンという自動車メーカーは、ベトナムとの国境に近い柳州(リュウシュウ)で2002年に創業した。ゼネラルモーターズと上海汽車 (SAIC) とによる中国の合弁企業だ。

その1ブランド、ウーリンが生産するホングアン・ミニEVは、3ドアのマイクロ純EV。過去にも似た例は数台あったが、販売数をこれほど伸ばしたクルマは過去になかった。

この成功を導いた理由の1つが、徹底的な簡素化。恐らく、ホングアン・ミニEVは開発開始から1年ほどで量産に至っている。本物を目の当たりにすると、その粗削り感が伝わってくる。

同じシャンチートンヨン・ウーリン傘下にあるバオジュン・ブランドには、E300という名のよりスタイリッシュなマイクロ純EVが存在する。それと比較すると、ミニEVの簡素さが際立つ。

実用主義な車内には大人4名が乗れる

四角いボディの高い位置にウエストラインが走り、小さな12インチ・タイヤが四隅に収まる。見た目は本当に箱型だ。

今回ご紹介するのは、ホングアン・ミニEVに最近追加となったマカロン。パステルカラーのボディに白いホイールキャップ、最低限の安全装備が追加された上級仕様となる。運転席側のCピラーに、マカロンとロゴが入る。

インテリアは実用主義。ネジが露出し、パネル類はプラスティック製であることを隠さない。ドアハンドルやカップホルダーなどに、ボディと同色のパステルカラーが配され、少し華やかに仕立ててある。

メーターパネルはモニター式で、デジタル技術を感じる唯一の部分。スピードや航続距離など、運転に必要な情報を綺麗なグラフィックで表示してくれる。しかも、バック時は後方の映像を確認できる。

サイドウインドウを開閉するスイッチは、センターコンソール上。ATでいうパーキングはなく、駐車時はハンドブレーキ・レバーを引くだけだ。

全長は2920mmと短いものの、大人4名が乗れなくはない。ドアは2枚で、リアシートへのアクセスはフロントシートの後ろからだから、乗り降りはタイト。足もと空間も広いとはいえない。

リアシートにはヘッドレストがない。長旅は疲れそうだし、むち打ちにも気をつけたい。4名乗車時は、荷室はほぼゼロ。薄いブリーフケースなら入るだろうけれど。

小さな荷室空間のフロア下には、充電ケーブルが収まる。荷室を広げたい場合は、ストラップを引くことでリアシートを折りたためる。

80km/hでもさほど不安に感じない

運転席に座ると、幾つかの問題に気付く。座面が不自然に高く調整できない。+と−のマークが記されたペダルは、中央側にだいぶオフセットしている。

その理由は、マクファーソンストラット式のフロントサスペンションが、車内空間を侵食しているから。着座位置は我慢できないものではないが、ペダルは1時間も運転すれば脚が疲れてしまう。

ステアリングホイールの感触は曖昧。50km/hほどでコーナリングすると、慣性や遠心力とボディが戦っていることが伝わってくる。そのかわり2mを切るホイールベースのおかげで、驚くほど小回りが効く。

車重は約700kgだというが、タイヤが小さく路面の影響を受けやすい。マカロン仕様として、スポーツとエコというドライブモードが追加されているが、乗り心地は不変だ。

スポーツ・モードにするとアクセルペダルの反応が良くなり、回生ブレーキの効きが見違えて良くなる。ただし、ワンペダルドライブできるほどではない。

ホングアン・ミニEVの最高速度は99km/hだという。高速道路を走らせてみたところ、80km/hを少し超えるスピードへ到達できた。意外にも、不安感はさほど強くなかった。

安全性は万全とはいえない。ボディはスチール製で、アンチロック・ブレーキが付いている。マカロン仕様の場合、運転席側にエアバックが付く。チャイルドシート用のISOFIXアンカーも付く。その程度だ。

駆動用バッテリーの容量は、9.3kWhか13.8kWhが選べる。充電速度は遅く、13.8kWhのバッテリーで9時間ほど掛かるという。

低価格が信じられないほどの仕上がり

もちろん、価格が10倍前後は違う欧州の純EVと比べれば、ホングアン・ミニEVは至らないことだらけ。しかし現在の中国では、多くの人に最初のマイカーとして選ばれる存在。自転車に複数人がまたがって移動するより、安全で快適なことは間違いない。

中国での純EVの販売台数は、ここ10年で急激に伸びている。その多くは、これまでフードデリバリーやライドシェアといったサービスの需要が支えてきた。だが、2020年頃から個人ユーザーへシフトが始まっている。

技術進歩でバッテリー価格が低下しており、市場は間違いなく伸び続けている。中国の大都市部では環境汚染対策として、通行できるナンバープレートに制限が掛けられているが、純EVは免除となることも大きいだろう。

ホングアン・ミニEVは、中国で毎月3万台ほどがコンスタントに売れている。他ブランドも含めて、この手のマイクロカーは純EV全体のシェアの40%以上を占めているという。ホングアン・ミニEVの成功で、競合モデルが多く生まれた。

ダチア・サンデロの方が、比較にならないほど優れていることは間違いない。だが、3400ポンド(約51万円)という低価格が信じられないほど、ウーリン・ホングアン・ミニEVの仕上がりが良いことも、確かではある。

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みんなのコメント

15件
  • 近所の買い物とか通勤でしか乗らないなら良さそう
  • 51万円アピールが凄いけど、それはエアコンもエアバッグもつかないベース仕様の話。実際の試乗車は装備が充実してロングレンジのマカロンで現地価格は85万円くらい。誤解を生まないよう、もう少し丁寧にレポートしてほしいですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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