目下SUV販売No.1のトヨタ ライズ並みにコンパクト!? スズキが小型SUV「ビターラブレッツァ」の改良モデルを発表!! 日本では知られざるその特長とは?
2019年12月にフルモデルチェンジされた軽クロスオーバーの「ハスラー」が好調ななか、スズキは2月6日にインドで開催された『デリーモーターショー』でマイナーチェンジされた「ビターラブレッツァ」を発表した。
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海外専売モデルの同車ながら、そのサイズは日本でSUV販売No.1モデルとなっている「トヨタ ライズ」に近く、海外でライズ並みに売れている小型SUVとして注目の存在だ。
日本では馴染みが薄い同車、そしてインドネシアで発表された新型「XL7」とともに、日本では情報の少ない「世界のSUZUKI」を紹介したい。
文:永田恵一
写真:SUZUKI
【画像ギャラリー】内装もポップな仕上がり!! 新型&旧型ビターラブレッツァを写真で詳報!!
まさに小さな巨人!! ビターラブレッツァがマイナーチェンジ
従来型のビターラブレッツァ(2018モデル)
スズキがインドでラインナップするコンパクトSUVの「ビターラブレッツァ」は、2016年の登場から満4年を待たずに50万台以上(月平均1万台以上!)を販売したというヒット車である。
(編注:ちなみに、エスクードの海外仕様が一部地域で「ビターラ」の車名で販売されている )
マイナーチェンジ前のビターラブレッツァを紹介すると、まずボディサイズは全長3995mm×全幅1790mm×全高1640mmとなる。
日本車で例えると大人気になっているダイハツ ロッキー/トヨタ ライズの全幅を100mm広げた、あるいはホンダ ヴェゼルの全長を335mm短縮したといったポジションだ。
トヨタ ライズ/全長×全幅×全高:3995×1695×1620mm。全長はビターラブレッツァとピタリ同値だ
ビターラブレッツァは、クオリティはともかくとして、スズキ社内でこちらもコンパクトSUVのジャンルに入るエスクードを思わせるインテリアとエクステリアを持つ。
また、ボディカラーもオレンジをイメージカラーにレッドとイエローという原色系もあり、原色系にはツートンカラーも設定されるなど、全体的に明るい雰囲気を感じさせる。
従来のエンジンは、インドのBS4排ガス規制(ユーロ3相当)をクリアした1.3Lディーゼルのみで、組み合わされるトランスミッションは5速MTと5速AGS(クラッチを自動化した2ペダルMT)、駆動方式はFFのみとなっていた。
燃費の公表値は5速MT、5速AGSともに24.3km/L、価格は約76万3000ルピーから約103万8000ルピー(日本円換算で約118万3000~約160万9000円)だった。
(編注:インドでは2017年に中間所得層=世帯所得約53万~約387万円の割合が約50%に到達するなど経済発展が顕著。とはいえ日本の世帯平均所得は551.6万円なので、現地の人々にとってそれほど安いクルマとはいえないだろう)
改良モデルは外観変更&ガソリンエンジンを追加!!
こちらはマルチスズキが公開した広報写真の新型ビターラブレッツァ。ややCGっぽいのはインド流!? それでもフロントグリル、バンパーまわりが新意匠となっている様子がよくわかる
マイナーチェンジされたビターラブレッツァは、エクステリアではグリルとバンパーの変更が目に付く。
そして、今回のマイナーチェンジ最大の変更点は1.5Lガソリンエンジンの搭載だ。このエンジンは、日本で販売されるスズキ車ではジムニーシエラに近いもので、スペックも最高出力103馬力/最大トルク14.1kgmとジムニーシエラとほぼ同等だ。
近年の日本車では、1.5Lガソリンエンジンの最高出力が115馬力程度あることを思うと非力にも見えるが、これはインドという新興国で販売されることもあり、ガソリンの品質なども考慮に入れ耐久性に代表される安全マージンを取っているためだろう。
新型ビターラブレッツァは新たに1.5Lガソリン車を追加。こちらはユーロ6相当のエンジンだけに、他市場への展開にも希望が膨らむ
また、排ガス規制はインドで2020年4月以降に販売されるクルマがクリアしなければならないBS6(ユーロ6相当)に対応したものとなる。
駆動方式はマイナーチェンジ前同様にFFのみ、トランスミッションも5速MTと5速AGSとなるが、5速AGSは日本で販売されるスズキ車で普及している超小型モーターを使い、加速時のアシストや減速時のエネルギー回生、静かでスムースなアイドリングストップも行うマイルドハイブリッドとなる。
公表される燃費は5速MTが17.3km/L、5速AGSでも18.8km/Lとマイナーチェンジ前のディーゼル車に比べると見劣りする。
ビターラブレッツァを機にディーゼル廃止でガソリンシフト!?
ユーロ3相当の旧式ディーゼルに替わってスズキの他車種へ展開が濃厚の1.5Lガソリンエンジン。ビターラブレッツァ用は、最高出力103ps/最大トルク14.1kgmとなる
これは筆者の個人的な見解だが、インドで販売される低価格帯のディーゼル車は廃止となり、ビターラブレッツァを含めガソリン車のみに移行するのが濃厚に思う。
理由はBS4からBS6に一気に厳しくなったインドの排ガス規制を考えると、スズキの1.2LディーゼルエンジンがBS6をクリアするのは、技術的には可能だとしても、コストを考慮すると、販売価格の値上がりにより商品として成り立ちにくくなるか、商品性が低下するからだ。
これは厳しくなる一方の排ガス規制を頭に置くと世界各国同様で、高額車やディーゼル化による値上がりを燃費の良さで確実にペイできるSUVや大型ミニバン、ベンツなど高い価格を付けられるプレミアムブランドでないと、コスト面でもディーゼル乗用車の生き残りは難しいだろう。
しかし、逆に考えればマイナーチェンジされたビターラブレッツァの価格は発表されていないが、ガソリン車となることで値下げとなる可能性も高く、これはこれで朗報と捉えるインドのユーザーもいるに違いない。
海外で売れ筋!! 3列SUVのXL7が「復活」
インドネシアで発表された新型XL7。かつてはラージSUVの車名として使われていたが、今回海外専売のMPVとして約11年振りに車名が復活
インドや東南アジア圏で販売されるスズキ車には「XL6」という、ホンダ BR-Vや三菱 エキスパンダーのライバルとなる6人乗り3列シートのSUVがある。
こちらは1.5Lガソリンエンジン+マイルドハイブリッドを搭載し、ボディサイズが全長4445mm×1775mm×全高1700mm。
このXL6を7人乗り3列シートとしたのが、インドネシアで発表された「XL7」である。
XL7のインドネシアでの価格は2億3000万~2億6700万ルピア(日本円換算で約184万円~213万6000円)で、インドネシアで生産されるXL7は、周辺のアジア諸国や中南米にも輸出される計画だ。
◆ ◆ ◆
ビターラブレッツァ、XL7とも4WDや安全装備の整備、各部のクオリティの向上といった日本向けの対応を行い適価で販売されれば、ビターラブレッツァはロッキー/ライズの対抗馬、XL7は日本で販売される日本車にはないジャンルとして、成功する可能性は充分にあると思う。
それだけにスズキには、この2台の海外専売車の日本導入を前向きに考えてほしいところだ。
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国内で買えない車に話題性はほぼないに等しい。