アルファロメオが限定発売した超高性能モデル「ジュリアGTA」と「ジュリアGTAm」について、開発関係者が気になる点について答えた!
ジュリア・スプリントGTAとの共通点とは
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FCAジャパンは5月29日、アルファロメオの高性能スポーツサルーンである「ジュリア・クアドリフォリオ」をもとに大幅な軽量化を果たし、高出力化を実現したジュリアGTAとジュリアGTAmを設定、期間限定で注文受付を開始した。
500台の限定生産であるが、日本での受注は84台に達し、世界ナンバーワンのマーケットであるという。そのGTA/GTAmについて、技術責任者とのラウンドテーブルが開かれた。
出席したのは、アルファロメオ・プロダクト総責任者のダニエル・グッザファーメ(Daniel Tiago Guzzafame)氏と、ハイパフォーマンス車総責任者のドメニコ・バニャスコ(Domenico Bagnasco)氏である。彼らの解説をもとに、GTA/GTAmの技術的な特徴を紹介していこう。
ジュリアGTA/GTAmは、1965年に発売されたジュリア・スプリントGTAに敬意を表して開発されたモデルだ。GTAはGran Turismo Alleggeritaの頭文字をとったもので、アレッジェリータは軽量化を意味する。GTAmのmはモディファイドの意味で、GTAをベースにさらに“走り”に振ったモデルだ。
つまり、ジュリアGTA/GTAmは軽量化が身上。ボンネットやルーフ、フロントバンパー、フロントフェンダー、リヤディフューザーはカーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)製だ。GTAmはリアシートを取り外して2シーターとしたのにくわえ、サイドとリヤのウィンドウをガラスからポリカーボネートに置き換えるなどした。こうした軽量化策により、GTAはベース車に対して約50kg、GTAmは約100kgの軽量化を果たしている。
GTA/GTAmの開発にあたっては、ミュゼオ・ストリコ・アルファロメオ(アルファロメオ歴史博物館)に2日間こもり、収蔵してあるオリジナルのジュリアGTAをくまなく観察。現代のGTA/GTAmをデザインするにあたって、「フロントグリルやリアスポイラーはオリジナルを参考にした」(グッザファーメ氏)という。
トランクリッド上部右側にはGiulia GTA/Giulia GTAmのロゴが配されている。通常はバッジを張り付けるところだが、軽量化を追求する観点からペイントとしたのもオリジナルGTAからの引用で、「GTAのスピリットを大事にしている」証拠だ。
「できるだけ、オリジナルのGTAが持つコンセプトを忠実に継承した。軽量化が第一で、パフォーマンス、エンジン、ドライバビリティ、そして空力性能を極限まで追求した」とグッザファーメ氏が話せば、バニャスコ氏は次のように補足した。
「GTA/GTAmとも、スタイリングと機能を両立している。テクノロジーとスタイリングを“マリアージュ”した。伝統のグリルを持ちながら、ラジエーターへの空気の流れを増やす形状としている。リアウイングは空力性能を考えながら、1970年代のジュリアをイメージした」
“マリアージュ”とはうまい表現だ。機能優先でもなく、カッコ良ければいいと考えたわけでもない。両者を溶け合わせてカッコ良く、それでいて高い性能を発揮するカタチにしている。
徹底した空力性能の改善
空力デバイスの開発は、ザウバー・モータースポーツの知見と設備を生かしておこなわれた。
スイス・ヒンヴィルに拠点を置くザウバーは、F1に参戦するアルファロメオ・レーシングの活動拠点でもある。ジュリアGTA/GTAmが備える空力デバイスは、F1マシンの空力開発を通じて蓄積されたノウハウが惜しみなく注ぎ込まれている。
フロントバンパーの下面に配されたパネル状の空力デバイスをスプリッターと呼ぶ。F1ではフロントウイングに相当するデバイスで、GTAmではこれが、長短2段階に調節できる。スプリッターを長い方(標準時より40mm長くなる)に調節すると、より高いダウンフォースを発生するようになる。
一方、リアウイングは4段階に角度を調節することが可能。前後の空力デバイスを調整可能としたのは、F1にならった格好だ。GTAmはGTAよりももっと、サーキット走行で真価を発揮する仕立てになっているが、F1開催サーキットでいえばモンツァのような超高速型サーキットではフロントスプリッターを短く、リヤウイングを低くして最高速を稼ぎ、モナコのような低速サーキットではスプリッターを長く、リヤウイングを立てた状態にする使い方が適していると提案する。日本のサーキットにあてはめれば、前者は富士、後者は筑波や袖ケ浦になるだろうか。
「F1ではアンダーボディの整流が重要。GTA/GTAmもF1と同様にアンダーボディでダウンフォースを増やす策を講じており、エアロフィンがそれに相当する。同時に、デフの冷却にも気を使っている。なぜなら、エンジンのパワーが向上し(デフの負担が増し)ているからだ」(バニャスコ氏)
リアディフューザーは空力性能を向上させるデバイスとしては一般的で、GTA/GTAmの開発にあたっては再設計されている。空力の開発にあたっては、テストに参加したF1ドライバーからのフィードバックも役に立ったという。専用の空力パッケージにより、GTAはベース車に対して約1.5倍、大型のリヤウイングや専用フロントスプリッターを装備するGTAmは約3倍のダウンフォースを発生するという。
エンジンの高性能化
2.9リッターV型6気筒ガソリンツインターボ・エンジンは、ベース車比30hp増となる540hpの最高出力を発生する。ターボの過給圧を上げただけ? と、勘ぐるのは浅はかというもので、コンロッドは新設計され、ピストンオイルジェットは追加され、オイルクーラーを新調し、ECUには新しいマップが与えられている。
単にパワーを引き上げただけでなく、サーキットを連続周回しても音を上げないだけの耐久信頼性が与えられたということだ。刺激的なサウンドを約束するアクラポヴィッチ製のチタンエキゾーストが採用されたのも特徴だ。
前後それぞれ50mm拡大されたトレッドの両端には、20インチの鍛造アルミホイールを装着。レーシングカー由来のセンターロック方式を採用するのは、量産セダンとしては世界で唯一だろう。ラウンドテーブルでは、ベース車に対するサーキットでのラップタイムの短縮幅や、コーナリング、制動の各性能の大幅な向上について説明があった。
となると「日常的に使える?」と、心配になるところだが、グッザファーメ氏は太鼓判をおす。
「1965年のジュリアGTAもサーキット専用車ではなく、公道でも使えるクルマだった。最新のGTA/GTAmも同じ。サーキットまで乗って行ってレースをし、そのまま帰ってくるような使い方ができる。ドメニコが指揮したエンジニアリングチームが素晴らしい仕事をしてくれたからね」
日常使いができるレーシングカーがジュリアGTA/GTAmというわけだ。F1由来の軽量化および空力技術がふんだんに投入されているのが大きな特徴である。
文・世良耕太
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