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3億5000万円でランボルギーニ「ミウラ」が落札! 復刻「カウンタック」と同じプライスだった理由は「SV」の称号にあり

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3億5000万円でランボルギーニ「ミウラ」が落札! 復刻「カウンタック」と同じプライスだった理由は「SV」の称号にあり

フェラーリだけではないオークションマーケットの指標

 今やランボルギーニ「ミウラ」は、国際クラシックカー・マーケットを象徴するモデルのひとつ。この名作の価格の推移が、市場全体の盛衰をそのまま体現することも多い。

今や億超えも当たり前のランボルギーニ「ミウラ」! 伝説のスーパーカーはボディができる前から歓呼の声に包まれ誕生

 そんな市況のもと、クラシックカー/コレクターズカーのオークション業界最大手「RMサザビーズ」社が2022年5月、モナコの大型見本市会場「グリマルディ・フォーラム」を会場に開催した「MONACO」オークションでは、ミウラ・シリーズのなかでも最も評価が高く、新型コロナ禍にあっても軒並み3億円前後の価格で取り引きされている最終版「P400SV」が出品。ふたたび全世界のファンの注目を集めていた。

マーケット価値が最も高いミウラとは?

 1966年に正式デビューを果たしたランボルギーニ「P400ミウラ」は、2年後の1968年にはV12エンジンを350psから370psにスープアップするとともに、細部をブラッシュアップした「P400S」へと進化する。この「S」は「極端な」を意味するイタリア語「Spinto(スピント)」の頭文字といわれる。

 そして1971年、ミウラの最終進化形として登場した「P400SV」は、Spintoに「速い」を意味する「Veloce(ヴェローチェ)」を組み合わせた頭文字「SV」が授けられた高性能版。パッと見ただけの印象では、ポップアップ式ヘッドライトの特徴的な「まつ毛」が廃止されたくらいの違いにしか見えないのだが、まずV12エンジンは、ネーミングに相応しく385psまでパワーアップされた。

 またシャシーにも手が加えられ、サスペンションのロワアームは剛性アップのためか、P400SまでのA字型から平行四辺形に近い形に変更。アーム長そのものも38mm延長された。またリヤホイールは、オフセットを28mm拡大するととともにリムもワイド化されたことも相まって、後輪のトレッドはP400Sミウラから約100mm増となる1514mmとなった。

 そしてこのホイールとタイヤを収めるため、リヤフェンダーもグラマラスな意匠に拡幅されたのが、P400SVのエクステリアにおけるふたつ目の特徴となった。

 さらに、設計者のジャンパオロ・ダラーラがBMCミニから着想したとされる、エンジンとトランスミッションのオイル潤滑を一体化することで、コンパクト化を図るというP400/P400S時代の潤滑システムは、P400SV後期の94台限定ながら、幻のスペチアーレ「イオタ」での実験成果を生かしてセパレート化されるなど、ブラッシュアップの範囲は多岐にわたるものであった。

 それゆえに「ちゃんと乗れるミウラ」ないしは「維持しやすいミウラ」と評価されたこと。さらに、全シリーズ通算で762台(ほかに諸説あり)のミウラが生産されたうち、P400SVは150台のみ(ほかに147台説などもあり)という希少性も相まって、現在の国際マーケットにおいて「最も価値の高いミウラ」となっているのだ。

欧米では有名なP400SVのオーナー遍歴とは

 今回オークションに出品されたミウラP400SVは、北米市場向けに特別に製作された21台のSVのひとつ。ちなみに北米仕様の最初の8台は、時速190マイルのスピードメーターとエンジン/トランスミッションが分割潤滑となった後期の13台とは異なり、200mphの速度計と一体潤滑式オイルシステムを備えている。つまり1971年型のこの個体、シャシーナンバー#4884は初期型のP400SV。じつは、アメリカに正規輸入されたP400SVの第1号という。

 北米仕様のP400SVは、反射式サイドマーカーやスピンナーのない八角形のセンターホイールナットなど、連邦規制を満たすため本国仕様のSVとは微妙な相違点があるほか、インテリアには3点式シートベルトが装備されていた。

 このミウラSV、シャシーナンバー#4884は、北米仕様車の型式認定を得るためのホモロゲート車両としても供用されたのち、1971年6月にアメリカの地を正式に踏んでいる。そして1971年のボストン・モーターショーに展示された直後に、カンザス州在住のファーストオーナーに引き渡された。

 その6年後には、ジョージア州に住む2代目オーナーのもとに譲渡され、以後28年間にわたって、その地に留まることになる。

 ところがこの2代目オーナーが2005年に逝去。P400SVは高名なミウラ愛好家にして研究家としても知られるジョー・サッキー氏が入手し、同じく有名なミウラ・スペシャリストのゲイリー・ボビレフ氏にフルレストアを依頼する。

 この時の修復は、ベルトーネ社から純正シート素材の供給まで受ける徹底したもので、完成後の2006年には、イタリア車だけのコンクール・デレガンス「コンコルソ・イタリアーノ」でクラス1位を獲得した。

 また、サッキー氏は自著として2008年に出版した「ランボルギーニ・ミウラ・バイブル」の表紙にも、このシャシーナンバー#4884を登用。ピーター・コルトリン氏とジャン=フランソワ・マルシェ氏による、有名なランボルギーニ・ミウラ本の表紙も飾っている。

 そして2015年にはイギリス経由でドイツに輸入され、今回のオークション出品者である現オーナーが入手。ここでも2017年に、17万ユーロ(当時の邦貨換算で約2000万円)を投じて、ディテールのリフレッシュとエンジン、エアコンディショナーなどのフルオーバーホールが施された。

最終落札価格は、安定の3億円オーバー

 来歴、コンディションともに申し分ないこのミウラP400SVだが、2022年5月14日に行われた競売では大方の予想どおり200万ユーロを大きく超える248万ユーロ、日本円に換算すれば約3億4800万円で落札されることになった。

 200万ユーロといえば思い出されるのは、つい先ごろ日本にも初上陸して話題を呼んだ、復活版カウンタック(クンタッチ)LPI800-4の販売価格である。もしかしたら「ミウラP400SVとLPI800-4のどちらにしよう?」などと悩まれるような幸福なエンスージアストもいらっしゃるかもしれない。

 でも、世界限定112台というLPI800-4のオーダーリストに名を連ねることを許されるような真正のランボルギーニ愛好家ならば、すでにオリジナル版カウンタックとともに、ミウラもガレージに侍らせている可能性も高いに違いあるまい。

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  • 手元にある数十年前のカー雑誌の広告に73年式のミウラ(SV最終モデル)の中古車が650万円で掲載されてる。記憶では400万とか500万とかでそこそこ程度の良い個体が買えた時代もあった。クラシックフェラーリやクラシックランボルギーニはもう車というより美術品の価値となり、もしこの先ガソリンエンジン車が一般道を走れない時代が来たとしてもその価値は落ちる事も無いんでしょうね。
  • スパークプラグの上にキャブがあることから「ミウラは燃える」と言われる。

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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