BTCCイギリス・ツーリングカー選手権の現役王者であるアシュリー・サットンが、2018年に発足したTCR UKの第5戦オールトンパークにFK8型ホンダ・シビック タイプR TCRでスポット参戦。予選からいきなりのポールポジションを獲得し、赤旗中断の波乱にも動じず週末2ヒートを制する圧巻のドライビングを披露した。
BTCCではチームBMRに所属し、2017年にスバル・レヴォーグGTをチャンピオンマシンに押し上げたサットンは、TCR UKに参戦中のオリー・テイラーからの誘いを受けパイロ・モータースポーツからTCR UKに初エントリー。FRのレヴォーグGTから乗り換えた久々のFFマシンにも関わらず、フリープラクティスからトップタイムを記録すると、そのままデビュー戦ポールポジションを獲得してみせた。
TCR UK:開幕から連勝中のダン・ロイド、トップチェッカーもペナルティで全勝記録挑戦が幻に
「正直に言って感触を少し忘れていた。前輪駆動のレースカーはBTCCで2年前にドライブしたMG6 GT以来だからね。でもマシンは本当に素晴らしいよ」と、笑顔でホンダ・シビック・タイプRのインプレッションを語ったサットン。
「プラクティス開始5分前は少しナーバスになったよ。FF用のドライビングや、新たなマシンに関して何の手立てもない状態でぶっつけ本番だったからね。でも練習走行を終えてシートポジションを少し変更しただけで、その後は本当に快適にドライブできているよ」
迎えたレース1のスタートも無難にこなしトップを維持して1コーナーに飛び込んだサットンだったが、その後方アイランド・ベンドでセアト・クプラTCRとアルファロメオ・ジュリエッタTCRが絡み、コース脇のアームコバリア(ガードレール)を破壊するほどの大クラッシュが発生し、いきなりの赤旗中断に。
大破したマシンの撤去に加え損傷したバリアの修復に時間を要し、レースは15分に短縮しての再開となったが、サットンは首位をキープしてそのまま9周の決勝レース1をフィニッシュ。波乱にも動じず、BTCC王者の貫禄を示すデビューウインを飾った。
続くレース2に向けては、クラッシュで戦列を去ったカール・スイフト(セアト・クプラTCR)が予選セッションでポールを獲得していたものの、マシン修復が叶わず。結果的にレース1勝者のサットンが実質ポールからのスタートという絶好の機会を得た。
■レース2ではホンダ・シビック タイプR TCRがワン・ツー・フィニッシュ
フロントロウに並んだエセックス&ケント・モータースポーツのルイス・ケント(ヒュンダイi30 N TCR)を従えここでもホールショットを決めたサットンが首位で1コーナーをクリアし、3番手にはスチュワート・ラインズ(セアト・クプラTCR)をかわしたウエスト・コースト・レーシング(WSR)のジェシカ・バックマン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)が上がってくる。
しかしジェシカのゴルフはすぐさまDPEモータースポーツのデレク・パーマー(アルファロメオ・ジュリエッタTCR)にかわされると、コーナーでワイドになりラインズのクプラとも接触。これで彼女は6番手にまでポジションを下げてしまう。
その後、14周のレースは残り5周を切ったところで3番手パーマーのアルファロメオに異変が起こり、テクニカルトラブルによりスローダウン。これでラインズが3番手に浮上する。しかし、その背後から猛烈なスパートを見せるWSRの選手権リーダー、7番グリッド発進のダン・ロイド(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)がラインズに迫ると、2台はコンタクトを繰り返しながらのバトルを展開。ここは開幕6連勝のロイドが意地を見せ前に出ることに成功するも、このバトルの隙を突いたテイラーのFK8シビックが漁夫の利で3番手を手にすることに。
ファイナルラップに入り、そのままの勢いで2番手のケントにも迫ったテイラーは、前を行くヒュンダイに再三のプラッシャーをかけると、最終セクターの右高速コーナー、ドルイドでミスを犯したケントはわずかにワイドラン。そのまま最終コーナーを並んでクリアした2台はテイラーがわずかに先行してフィニッシュラインへ。
首位を一度も譲ることとのなかったサットンがデビュー戦の週末で2連勝を決めるとともに、チームメイトのテイラーが2位に入り、パイロ・モータースポーツのFK8型ホンダ・シビック タイプR TCRがワン・ツー・フィニッシュを飾ることとなった。
これでテイラーは4位に終わったロイドとのポイント差をわずかに詰め、9月8~9日の第6戦クロフトに臨むこととなった。
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