もくじ
どんなクルマ?
ー GRシリーズに続け 86 “GR” プロトタイプ
ー 限定車86GRMNとの違いは?
どんな感じ?
ー 見逃せないタイヤサイズ/銘柄の変更
ー なぜ? ボディは標準と変わらない?
「買い」か?
ー サーキットで走り比べ その結果は?
どんなクルマ?
GRシリーズに続け 86 “GR” プロトタイプ
トヨタは昨年来、組織体系を、製品ジャンルやパワートレイン、コネクテッドなど、製品や技術内容を軸としたカンパニー制に再編しはじめている。
その一環として今年3月に新設されたのが「GAZOO Racing Company」で、同カンパニーではモータースポーツ活動で得た技術を商品の「走りの味づくり」のノウハウとして蓄積するだけでなく、独自の企画として製品化するのだという。
それに合わせて、同カンパニー謹製の商品として、これまで「G’s」と「GRMN」の2本柱で製品化されていたトヨタのスポーツモデルも再編。頂点のGRMNの扱いはこれまでと変わりないが、従来の「G’s」にあたるモデルを「GR」とすると同時に、よりライトなチューニング内容で価格も抑えた「GR SPORTS」を設定することとなった。
この9月19日に多くの新GRシリーズがいっせいにデビューしたが、さらにコアなマニア筋が期待するモデルとして開発中なのが、この「86 “GR”」である。
限定車86GRMNとの違いは?
今冬発売を目指して開発中という86 “GR” は、おおざっぱにいうと、以前ここで報告した100台限定の86GRMN(以下、GRMN)の量産版……といったところらしい。
GRMNとのちがいには、まずベース車両の世代がある。GRMNのベースは前期型の最終フェイズ3だったが、時系列で考えると、今回はおそらく後期型フェイズ2になるのだろう。
それに加えて、GRMNの大きな特徴だった本格GTスタイルのリアウイングや前後カーボンフードなどは、さすがにコストが高すぎるので省略。そして「GRではエンジン本体には手を入れない」という原則にそって、GRMNでは手作業でリビルドされていたエンジン本体やローギアード化された変速機には今回は手が入っておらず、動力系のイジリは専用トルセンLSDと専用センターマフラーにとどまるようである。
今回の試乗車はあくまで開発中のプロトタイプということで、もちろん細部の変更の可能性はなくはないが、少なくとも目に見える部分の部品構成はこれでほぼ確定とか。
どんな感じ?
見逃せないタイヤサイズ/銘柄の変更
GRMN比で注目したいのは、タイヤがサイズと銘柄に変更が加えられていたことである。タイヤサイズはGRMNよりわずかに細く厚くなり、BSポテンザRE71Rだったタイヤ銘柄も今回はミシュラン・パイロットスポーツ4が選ばれている。
タイヤのサイズや銘柄から推測するに、乗り心地やオールラウンド性能はGRMNより引き上げられていると予想されるが、それでも、2.0ℓ自然吸気程度(!)のクルマに45偏平の前後異幅サイズ、しかもパイロットスポーツである。GRMN比で単純なグレードダウンではない。
なぜ? ボディは標準と変わらない?
もうひとつ注目すべきはGRMNでは入念に強化されていたボディが、今回はどうやら標準のまま使われているということだ。他のGRシリーズではスポット増し打ちやブレース追加によるボディ強化が最大のキモとなっているのだが、この86 “GR” だけは例外ということらしい。
86はもともとのボディには2012年のデビュー以来、ほとんど毎年のように手が加えられてきており、さらに昨年デビューした後期型のそれはニュル参戦やGRMNで培ったノウハウを活かした強化が施されている。この程度のチューンではもはや強化の必要なし……ということなのかもしれない。
今回の試乗は千葉の袖ヶ浦フォレストレースウェイでの数ラップにとどまったので、細かいことは書きづらい。
ただ、同時に用意された標準の86(写真橙)と比較すると、その安定感と「踏める度」には雲泥の差がある。最新の86もデビュー初期と比較すると、別物のようにリアが安定して、ステアリング反応もマイルドかつ正確になっている。しかし、今回のように “GR” と同時に乗ると、標準の86がまるで頼りないものに錯覚してしまうのだから、それだけGRの上げ幅が大きいということだ。
この標準の86とは別次元の自律安定性はサスペンションの効能もあるのだろうが、パイロットスポーツのハイグリップと空力の効果もかなりの割合を占めていると思われる。
「買い」か?
サーキットで走り比べ その結果は?
どれくらいの価格で売り出されるかが未定なのでなんともいいがたいし、標準の86も単独で乗るかぎり、悪くないデキのFRスポーツカーである。ただ、少なくともサーキットを本気で攻めようとすると、この “GR” に乗った後では、標準の86にはまるで乗る気がしなくなった。
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